第11話 忍び寄る悪意

 作業は順調に進んでいた。と言っても、全体の作業工程から見たらまだ半分もできていない。

 労働力が主に俺とテムロ、クロードの三人で、他に皆は其の補佐、と言う感じなので順調ではあるが、どうしてもペースは上がらない。


「おーい、ソウジ。そろそろ今日は終わりにするぞ」


 一人で壁の修繕をして、いい感じに出来上がったと思ったところに、テムロから本日の作業終了のお知らせの声が届いた。


「分かった」


 空を見上げると、日は沈みかけていた。もう一時間程度で日は完全に沈み、夜になるだろう。

 暗くなっては作業は当然できない。作業も丁度ひと段落したし、今日はこの辺で終了だな。

 教会の入り口に戻ると、既にみんな集まっていた。


「お疲れさん。そっちはどうだ?」


 額の汗を拭いながらクロードが作業具合を聞いてくる。


「まあまあだな。テムロは?」


「俺も大体そんな感じだ」


「この調子でいけば、明日か明後日には終わりそうだな」


「そうだな」


 同意しつつ俺達は教会を見上げた。

 見上げた先の教会は、まだまだ補修しなければいけないところが目立つが、朝ここに来た時に比べたら大分マシになったように見える。

 と、そこにシェスタとコロワがやってきた。


「お疲れ様」


「お疲れ様です」


 そう言って手拭いと水の入った器を差し出してくる。

 俺達はそれを有難く受け取り水を飲んで汗を拭き取る。


「今日はもう終わりとして、あとどれくらいかかりそうなの?」


「早ければ明日。少なくとも明後日には終わってるよ」


 手拭いと空になった器を返しながらテムロが答える。


「なら、明日も頑張らないとね」


「おう!任せろ!」


「あんまり調子に乗って怪我だけはしないでよね?テムロは直ぐに調子に乗るんだから」


「う、うるせぇよ」


 自信満々に答えるテムロに笑いながら釘を刺すシェスタ。

 その二人のやり取りを見ていると、何だかモヤモヤした気持ちが湧きあがってくる。


(やっぱり、二人は出来てんだよな・・・・・)


 実は、作業中に材料を取りに教会の裏に向かう時、俺は偶然にも二人が抱き合ってキスをしているところを目撃していた。

 その時もモヤモヤした気持ちが湧いてきて、何だか居たたまれなくなってその場から逃げたのだ。


(あんなことしてんだもんな。そりょあ、デキてて当然だわな)


 何だか寂しいような、やるせない様な、複雑な心境であった。


「ソウジさん、どうかしたの?」


「え?あ、ああ、何でもないよ。疲れたのかな?ちょっとボーとしてた」


「余り無理はしないでくださいね?」


「ああ、大丈夫だよ」


 いかんいかん、年下の小さな女の子に心配をかけるなんてみっともないな。気持ちを切り替えていかないと。


「よし、陽があるうちに村から明日使う木材を運ぶぞ。それを終わらせてから今日は上がろう」


「あいよ」


「了解」


 クロードの指示に従い、俺とテムロは今日木材を運ぶために持ってきていた荷車に向かう


「あ、そうだ。テムロ」


「何だ?」


 荷車に向かうテムロにシェスタが待ったをかける。


「もう日も暮れるから、ついでに子供達を村まで送ってあげて」


 村までそんなに距離は無いが、暗くなったら街灯も何もないここでは、暗い中を歩くのは一苦労だ。

 別に危険な魔物とかが出る訳ではないが、陽があるうちに子供達を家に帰しておくことは大事だな。


「ああ、いいぞ」


「それじゃあ、お願いね」


 シェスタは集まっている子供達に今日はこれで終わり、日が暮れるから解散、と言って俺達と一緒に村までかいる様に言い含める。子供達は素直に従い、俺達の方に集まる。


「よし、じゃあ帰るぞ。はしゃいで転ぶなよ」


「「「は~い」」」


「私とコロワは神父様と一緒に教会の片づけをしてるから」


「分かった。それじゃあ、また後でな」


 俺達は子供達を引き連れて村へと歩き出した。




          ♢       ♢       ♢      




 ソウジ達が村に戻るのを見送り、シェスタはコロワを伴い教会の中に戻った。


「さあ、三人が戻ってくるまでにある程度終わらせましょ」


「うん。じゃあ私はここのゴミを集めるよ」


「お願い。私は神父様と奥の方から片付けるね」


 その場にコロワを残し、シャスタは奥で片づけをしているモーガン神父の元に向かう。

 裏口へと通じる廊下でモーガン神父は身をかがめて道具等の一式を片付けている最中だった。


「神父様、手伝います」


「おお、ありがとうシェスタ。ならシャスタはそっちを頼むよ」


「分かりました」


 二人で廊下に出ている道具や椅子、ゴミなどを片付けていく。


「ふぅ~・・・・大体片付いたかな?」


「そうですね。お疲れ様でした」


「やれやれ、年を取るとこういった作業も中々難しい。直ぐに体が悲鳴を上げてしまうよ」


 はは、と苦笑しながら腰を叩く。

 モーガン神父は今年で57歳になる。昔は巡礼で各地を回っていたが、今ではその体力もなくこうして辺境の田舎の教会で神父をしている。

 それが嫌と言う訳ではなく、むしろ良かったと神父は思っている。

 親切な村人に元気な子供達、自分を慕ってくれる心優しいシスター、過去に神父も色々と苦労があったが、それも今ではいい思い出として神父の中を幸福で満たしてくれている。


(本当に、私は幸せ者だ。このような良き人達に囲まれて、私は生きているのだから)


「神父様?どうかなさいましたか?」


「いや、何でもありませんよ」


「そうですか?なら、いいのんですけど・・・・・」


 シェスタが心配そうに神父の顔色を窺う。


(心配させてしまいましたかな、私もまだまだ精進が足りないようだ)


 シェスタの気遣いを嬉しく思う。

 シェスタは子供達からも慕われ、村人たちかの評判も良く、自分を何かと気にかけてくれるシェスタの事をモーガン神父は好ましく思っていた。

 だから、総司がこの村に来たことで、シェスタとテムロの関係が良き方へ進展してくれることを願っていた。


「大丈夫ですよ。さあ、ここはこれぐらいでいいでしょう。コロワの方を手伝いましょう」


「はい。分かりました」


 まだ少し心配そうにしていたが、神父が大丈夫と言うのだから大丈夫だろうと思うことにした。


「さあ、行きましょう」


 そう言って二人はコロワの元に向かおうと足を動かした。

 と、その時――――――


「ん?」


 二人の後ろの奥にある裏口の扉の方からガタリッと音がした。

 何かと思い歩き出そうとした足を止め、音がした方を振り向く。

 振り向いた先には今まで片付けていた廊下と、奥にある裏口の扉があった。

 その裏口の扉が、ゆっくりと開かれる。




          ♢       ♢       ♢       




 村に着いた俺達は、子供達と村の入り口で別れ、木材などが置かれている小屋まで来ていた。


「よし、荷車に積み込むぞ」


 小屋の扉を開け、中にある木材を荷車に積み込む。

 ある程度積み込むころには日が大分傾き、夜の気配がすぐそこまで迫っていた。


「意外と時間食ったな。早く戻らないと完全に暗くなるぞ」


「ガキ共が絡んできたからな~・・・・・」


 村に帰る途中、まだまだ元気な子供達に絡まれて村に到着するのが遅れたのだ。

 本当に子供の体力は化け物かと思うぐらい、子供達は終始はしゃぎ回っていた。


「はは、子供が元気なのはいい事だ。と、忘れてた。ソウジ、これが終わったら俺が泊ってる部屋まで来てくれ」


「ん?いいけど、一体何だ?」


「お前に渡しておきたい物があるんだ」


 渡したい物?


「金でもくれるのか?」


「アホ、そんなわけあるか!いいから後で部屋に来い」


「へいへい、分かったよ」


 何なんだ一体?わざわざ部屋に呼ぶなんて。まあ、行けば分かるか。

 と、テムロが腕組みをして、んん~と唸りながら何かを考え始める。


「・・・・・・夜の部屋に、男が二人・・・・・これは、アレだな」


「大体予想はつくが、一応聞いてやる。アレってなんだよ?」


「体の火照りを持て余した二人がそのまま服を脱いでお互いの体ぼおぅふぉぉ!!」


 このままテムロに喋らすと碌な言葉がしか出ないので、速やかに黙らす。腹パンで。


「お、おま・・・・鍛えた力を、こ、こんな・・・こと・・・・に・・・・・使う・・・・なんて・・・・ゲフッ!」


「俺もこんなアホな使い方したくなかったわ」


 やれやれと肩をすくめるクロード。

 いや、お前も気持ち悪いネタにされてんだから怒っていいんだぞ?


「俺とソウジをネタにしてないで、お前はシェスタの事を考えた方がいいんじゃないのか?」


「ゴホッゴホッ!な、なにをっ!!」


 ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながらの返しに、さしものテムロも慌てる。


「シェ、シェスタは関係ないだろっ!」


「今更隠そうとするなよ。気付いてないと思ってるのはお前とシェスタぐらいだぞ?」


 なあ?と俺に同意を求める。

 いや、答えづらいんだが・・・・・


「そ、そうなのか?」


 マジで?みたいな顔をして俺を見るなよ。


「あぁ~・・・・・うん、気付いてた」


 正直に話すとテムロはマジかよ、と言って項垂れてしまった。


「・・・・・・・皆、知ってるのか?」


「村人全員、な。ガキ共も薄々感づいてるだろうよ」


「おぉぉぉぉぉ・・・・・」


 クロードの慈悲の欠片もない口撃に撃沈するテムロ。


「それで?一体いつになったら目出度い報告が聞けるんだ?ん?」


 にやにや笑いを継続して追い打ちをかけていく。


「それは・・・・・まだ・・・・・」


「おいおい、あんないい娘は早々いるもんじゃないんだから、お前がしっかり捕まえておかないと他の男に持って行かれちまうぜ?」


「分かってるよ!けど、シェスタはシスターになることが夢で、俺はそれを邪魔したくなくて・・・・・」


「けど、シェスタの事が好きだ、と?」


 コクリと小さく頷く。

 それを見て、クロードは大きなため息を吐いた。


「難儀な奴だな」


「・・・・・・自分でも分かってる。こんな半端なことしといて都合がよすぎる奴だって言われるのは重々承知だ。それでも、俺はシェスタが・・・・・」


「テムロ・・・・・」


 ・・・・・・・・テムロの気持ちが、少しは分かる。俺も似たようなことで今も悩んでいるからだ。

 美里の事が、今も俺の頭を悩ましている。

 もう二か月は経つのに、未だに頭から離れない。忘れようにも忘れられない。

 俺はきっと、あんな事があっても、まだ美里の事を思っているのだ。

 未練がましく、女々しく、情けないほどに。


(どうしようもないほど、馬鹿な奴だな、俺)


 他人から見たら、好きな女に裏切られた馬鹿な男としか映らないだろう。いや、実際そうだ。

 なのに、俺は未だに美里の事を考えてしまうなんて・・・・・

 ふぅ~・・・・・とまた一つクロードがため息を吐いた。


「ま、なんにせよ、よく考えて答えを見つけるんだな・・・・・ありきたりな台詞になっちまうが、もし力が必要なら何時でも言え。その時は力になってやるよ」


「・・・・・・ありがと、クロード」


「俺も、何かあったら言ってくれ」


 今の俺にこんなことを言う資格はないだろうが、言わずにはいられなかった。

 俺にとってテムロはこの世界に来て、初めて出会った友人と呼べる相手なのだから。


「ソウジも、ありがとな」


 本調子ではないが、テムロは笑って答えてくれた。


「さあ、話はこの辺にして、教会に戻るぞ。今頃待ちくたびれてるだろうからな」


「そうだな」


 俺達は残りの木材を荷車に積み込み、再び教会に向けて歩き出した。




          ♢       ♢       ♢    




 なに?この人達・・・・・・


「おうおう、居るじゃん居るじゃん」


 裏口から姿を現したのは五人の男の人達。この村では見かけたことのない人達だ。

 その人たちはずがずがと足音を上げながら中に入ってくる。

 五人の男の人達は、薄汚れた格好をしており、手にはナイフや斧と言った武器と言えるものが握られていた。


「あ、貴方達は一体・・・・・」


「お、かわい子ちゃん発見!」


 私の質問を無視して五人の中の一人が私を指さす。


「報告通り、いい女じゃないか」


「やべ、何だあの乳。しゃぶりがいがありそうだぜ!」


「それに、顔も俺好みだ」


「この前の女より、上玉じゃん。こいつは楽しめそうだ。へへっ・・・・・」


 口々に勝手な事を言いながら、五人は私を頭からつま先まで、まるで舐める様な視線を向けてくる。


(な、何なのこの人達。一体誰なの?)


 武器を手にした五人は、混乱する私にじりじりと近づいて来る。


(こ、怖い・・・・)


 五人の目は、まるで獲物を前にした餓えた獣の様に爛々としている。


(これが・・・・同じ、人間のする目なの・・・・・)


 その時、恐怖で立ちすくむ私の前に、神父様がサッと背中に庇うように立ちふさがった。


「あん?なんだジジィ、邪魔だ、退けよ」


「退きません」


 鋭い眼光にさらされてもその場をどくことなく静かに言い返します。


「殺されたいのか?あぁ?」


 手にしたナイフを神父様の目の前に突きつけ脅してきます。それでもなお、神父様は退こうとしません。


「・・・・・・いい度胸じゃねえか、ぶっ殺してやるよ!」


 退こうとしない神父様に業を煮やした男が、神父様の顔に刃を突き立てる為に大きく腕を振り上げた。


「ファイアボール!」


 腕を男に突き出してその呪文を唱えた瞬間、神父様の手から握り拳大の火の玉が発生し、男の腹部に直撃した。


「ぐわっ!」


 直撃を受けた男はその場に仰向けに倒れ、動かなくなった。


「こいつ、魔術を!」


「やりやがったなクソジジィ!!」


「こちらです!!」


 神父様に腕を引っ張られて聖堂に向けて走り出す。


「待ちやがれ!」


 逃げる私たちを追うように、残りの四人が鬼の形相で追いかけてくる。

 逃げながら明日使う為に立てかけておいた木材を倒して足止めをしながら、私と神父様は聖堂に向けて廊下を走る。


「はぁはぁ・・・・こんな事なら、もう少しまともに魔術の修行を積んでおくべきでした」


 そう言えば昔神父様から来たことがある。

 修行時代に少しだけ魔術を習ったと。一応使えるが魔術師なら誰でも使えるような初級の魔術しか使えませんが、と言っていた。

 さっきのはその初級魔術の一つだったようだ。

 息を切らして聖堂の扉を開いて中に駆け込むと、コロワが駈け寄ってきた。


「神父様、シェスタお姉ちゃん!今の事は何?何があったの!」


 さっきの魔術で起きた音がここまで聞こえたのだろう、コロワは怯えながら聞いてきた。


「恐らく、クロードの言っていた盗賊です」


 そう言えばクロードさんが言っていた。盗賊が来るかもしれないから注意しろと。でもそれは・・・・・


「北に向かったからここには来ることはないだろうって・・・・」


「考えてる暇はありません。直ぐにここから・・・・」


 逃げよう、と続けようとした神父様の言葉を遮る様に、入り口の扉が大きな音を叩て乱暴に開かれた。


「おっと、逃がしはしねぇぜ」


 そう言いながら姿を現したのは、クロードさんと同じぐらいの大柄な体の男。

 その男の後ろからぞろぞろと別の男の集団が聖堂内に足を踏み入れる。


「初めまして、神父様。俺はこの盗賊団『赤蜘蛛』の頭をやっているデップだ。短い付き合いになるだろうが、よろしくな」


 ニヤリと笑うその男、デップは笑う。

 デップは先程の男達と比べ物にならないほどの獰猛な笑みを浮かべて私たちを見下ろす。


「くっ・・・・貴方達、一体何が狙いですか!」


 私とコロワをその背に庇いながら神父様が問うが、男達は下卑た笑みを浮かべながら近づいて来る。


「狙い、か。そうだな・・・・・自由かな」


「自由?」


「ああ、好きな様に奪い、好きな様に女を抱き、好きな様に殺す。俺達はそんな素晴らしい自由を求めてる!だから、神父様よぉ・・・・・そんな素晴らしき自由の為に、その命を哀れな俺達に捧げてくれなかぁ?」


 馬鹿げてる。そんなものが自由だなんてあるはずがない!


「そんな身勝手な事で、貴方方にこの命を捧げるつもりはありません!」


 神父様は堂々と言い放ち、魔術を使う為に腕を突き出した。


「はぁ~・・・・そうかい。なら、好きにやれせてもらう・・・・・おい」


 その一言でデップの近くにいた数名の男達が私たちに向かって襲い掛かってきた。


「ファイアボール!」


 神父様の手の平から放たれた火球が一人の男に直撃する。

 直撃を受けた男はその場に崩れ落ちるが、その横を残りの男達が駆け抜けてくる。


「くっ!ファイアボール!ファイアボール!!」


 立て続けに二度の呪文を唱えて放たれた火球は、一つは命中し、もう一つは避けられて椅子に着弾する。

 魔術を避けた男が接近して手にしたナイフを振り上げる。

 私とコロワを奥の精霊像の方に突き飛ばし、自らも後ろに飛んで回避するも、腕を切られてしまった。


「神父様!」


 それを見て、反射的に神父様の元に駈け寄ろうとした私を、神父様の鋭い一喝で足を止めた。


「来るな!そこでジッとしていなさい!!」


「でも!」


「おうおう、頑張るねぇ神父様。まさか魔術を使えるとは思わなかったぜ。だが・・・・・・・」


「ッ!!」


 バンッ!と音を響かせて、奥の廊下に通じる扉が開かれた。

 開かれた扉から先程の四人の男達が姿を現し、神父様に向かって襲い掛かった。

 それを迎撃しようと神父様はそちらに向けて手を突き出そうとするが・・・・・・・


「がはっ!!」


「神父様!!」


 先程ナイフで切りかかってきた男が、ガラ空きの神父様の背にナイフを突き立てた。


「こ、このっ!」


 振り払おうと藻掻くが、後から迫ってきていた男達が次々とその手に握る刃で、神父様は滅多刺しにする。

 何度も何度も、必要以上に神父様の体を刃で傷つけていく。

 やがて、男達は手を止めて離れる。


「そ、そんな・・・・」


「やだ・・・・・神父さまぁ・・・・・」


 そこには、体中を傷つけられた神父様の体が、血の海に沈んでいた。

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