第337話:新しい出会い

書籍版2巻 10月30日発売! https://gcnovels.jp/book/1743

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 ダリルたち狩人ハンタークラン『殲滅の牙城』の連中は、バツが悪そうに帰って行った。


 いきなり俺を潰すとか言って、襲い掛かって来たのに。アッサリ返り討ちにされたからな。


 ダリルを殴り飛ばしたせいで天井にできた穴は、ハンターズギルドマスターのオルドが文句を言いそうだから。魔法を使って直しておく。


 さてと。ジェシカたち『白銀の翼』のメンバーが来たのは良いけど。俺はみんなが待っているから、そろそろ『自由の国フリーランド』の城塞に戻る時間だ。


「アリウス。みんなのことなら気にしなくて構わないわよ。私たち『白銀の翼』が、今日ロワイヤの街に行くことを伝えたら。あとで合流するって言っていたわよ」


 ジェシカがみんなのことを考えないで、行動するとは思わないからな。やっぱり、そういうことか。

 この前、ミリアもロワイヤの街に来たから。ミリアがみんなを連れて来るんだろう。


「じゃあ、気兼ねなく飲むとするか」


「だったら、今日は当然アリウス君の奢りだよね?」


 何が『だったら』なのか、良く解らないけど。マルシアのノリは、いつものことだからな。


「ああ、マルシア。それくらいは構わないよ。狩人のみんなも、今日は俺が全部奢るから。好きに飲み食いしてくれよ」


 狩人たちが歓声を上げる。ホント、現金な奴らだな。まあ、『殲滅の牙城』の連中が乱入して来たのは、俺のせいみたいだし。迷惑料として、メシくらいは奢るよ。


「貴方はアリウスさんに対して、随分と馴れ馴れしいようですね」


 ヨハンがマルシアを睨む。そう言えば、この2人は初対面だな。


「あたしとアリウス君は、マブダチだからね。君はアリウスに雇われているヨハンだよね。ジェシカから話は聞いているよ」


「ああ。アリウスさんが冒険を楽しむのに奴った奴か……なるほどな。結構、良い腕をしているみじゃねえか」


 アランがヨハンを値踏みするように見る。


「貴方たちの方こそ……さすがはSS級冒険者パーティー『白銀の翼』ってところですか」


 今の『白銀の翼』のメンバーたちは、そろそろSSS級冒険者に挑戦することが視野に入る実力者揃いだ。新しく『白銀の翼』に加わった万能タンク、シャイン・オルタリアも800レベルを余裕で超えている。


「なあ、アリウス。また化物みたいな連中を連れて来たな。ホント、てめえといると飽きねえぜ」


 シンディーはカウンターで、グラスに蒸留酒を並々と注ぐと。一気に飲み干す。


「私の仲間を化物扱いするとか。シンディーは相変わらず、口が悪いわね。今度、口の利き方を教えてあげるわよ」


 ジェシカが睨みを利かせると。


「いや、遠慮しておくぜ。ジェシカの姉御・・、化物ってのは誉め言葉だからな。あんたとやるのはもう御免だぜ」


 シンディーがお手上げというジェスチャーをする。


「そう。だったら許してあげるわよ」


 いつの間にか、ジェシカとシンディーの関係も、収まるところに収まったみたいだな。

「アリウス。みんなを連れて来たわよ」


「ここがギルモア大陸? 建物の造りとか、そんなに変わらないわね」


 そんなことを話しているうちに。ミリアがエリス、ソフィア、ノエルを連れてやって来る。

 4人の美人の登場に、狩人たちが勝手に盛り上がっているけど。


「最初に言っておくけど。ジェシカも含めて、こいつらは全員俺の妻だからな。下手なことを考えるなら、俺が相手になるよ」


 狩人たちに釘を刺しておく。みんなが他の奴らと仲良くなるのは、俺がとやかく言うことじゃないけど。下心がある奴は、みんなも嫌がるからな。


「「「「「アリウス……」」」」」


 みんなが嬉しそうな顔で、俺に抱きついて来る。人前でイチャつくなとか、白い目で見られても。他の奴にどう思われても構わない。俺にとって、みんなが誰よりも何よりも大切だからな。


「あたしたちは、とっくに慣れたけど。アリウス君たちは相変わらずだね」


「ホント、口の中に砂糖をぶち込まれた気分だぜ。まあ、勝手にやってくて感じだけどな」


「貴方たち何を言っているんですか。アリウスさんと奥さんたちが仲良くする光景……これほど尊いものは、この世にありません」


 堂々と胸を張るヨハン。


「こいつ……マジかよ?」


「……ヨハンって、物凄く変な奴だね」


 マルシアとシンディーはドン引きしていた。


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