第204話:下世話な話
シンたちが魔神シャンピエールに
シンたちは再び魔界にやって来たけど。今のところ、魔神シャンピエールが何か仕掛けて来ることはない。
魔神エリザベート曰く、魔神シャンピエールは15,000レベル超の巨人の悪魔ゼフィロスを含めて、主な配下を俺たちに殲滅されたから。戦力を立て直すために、それどころじゃないらしい。
ということで。俺とグレイとセレナは、
今攻略しているのは第65階層。俺たちは3人掛かりで、四六時中攻略しているんだから。ペースとしてはこんなモノだろう。
さすがにずっと3人一緒ってのも実戦的じゃないから。俺は攻略済みの階層をソロで、グレイとセレナも2人で攻略することも並行して進めている。
四六時中、ダンジョンを攻略していると。大量の魔石とドロップアイテムが手に入るけど。たまには下世話な話をしてみるか。
魔石は魔力の塊で。強い魔物ほど倒すと、純度が高くて魔力が多く込められた魔石をドロップする。
純度が高い魔石ほど、強力なマジックアイテムが作れるから。魔石の価値は魔力の純度によって何倍にも高くなるし。希少な魔石はプレミアがついて、さらに何倍も価格が高騰する。
ちなみに
高難易度ダンジョンの中では攻略難易度が最も高い『竜の王宮』の最下層の魔物だと、魔石1個で200万円くらいだ。
最初の最難関ダンジョン『太古の神々の砦』の第1階層の魔物の魔石で、プレミア抜きの買取り価格は500万円くらい。第2階層の魔物だと1,000万円くらい。
同じように単純に魔石の純度と魔力量で、冒険者ギルドの買取価格を想定すると。今、俺たちが攻略している世界迷宮第65階層の魔石の買取価格は、金貨7,250万枚。日本円に換算すると7億2,500万円だな。
ちなみにプレミアでどのくらい価格が変わるかというと。ちょっと極端な例だけど、これまでに市場に流通した最高の魔石は、7箇所目の最難関ダンジョン『神話の領域』の第5階層魔石で。さっきの計算だと買取価格は2億6,500万だけど。実際の流通価格は10億円を軽く超えたらしい。
世界迷宮第65階層はまだ攻略中だから、途中で撤退していて。まだそこまで魔物を効率良く倒せていないけど。真面に攻略できるようになったら、階層1つを攻略するのに掛かる時間は1時間ほどだ。
いや、1時間は早過ぎると思うかも知れないけど。世界迷宮は1,000体以上の階層中の魔物が一斉に出現するから。戦闘に時間が掛かるときは、徹底するような状況だからな。
1時間で1,000体の魔物を倒すと、魔石の価値は全部で7,250億円。俺たちは3人だから、1人当たり約2,416億円ってところだ。
俺たちは金に困っている訳じゃないし。下手に市場に流通させると、魔石の価値が暴落する可能性があるから。最難関ダンジョンと世界迷宮の魔石はほとんど全部『
俺がこれまでに手に入れた魔石をプレミア抜きで、冒険者ギルドの買取価格で計算すると。俺の個人資産は、ロナウディア王国の国家予算の数十年分っとところだな。他にも大量に死蔵しているダンジョンのドロップアイテムは別にして。
ここまで来ると、俺の金銭感覚はとっくに麻痺している。買おうと思えば、国の1つや2つは余裕で買えるけど。勿論、そんなことをするつもりはない。
俺は強くなりたいだけで、金や権力が欲しい訳じゃないからな。今はこの世界の魔神や神よりも強くなって、対抗できる力を手に入れたいんだよ。
※ ※ ※ ※
それから数日後。今日は12月24日だ。元は『
元はマルスの父親が枢機卿を務める『西方教会』の神の生誕を祝う日だけど。今ではサンタクロースがプレゼントをくれたり、家族や恋人同士が一緒に過ごす日と認識されていて。まんま前世の世界のクリスマスと同じだ。
クリスマスイブの12月24日の方が盛り上がるのも、前世の世界と同じで。今日は俺の実家であるジルベルト家の邸宅に、みんなが集まっている。
メンバーはうちの家族と、エリス、ソフィア、ミリア、ノエル、ジェシカ。ホームパーティーだから、勿論ドレスコードはないけど。女子たちはみんなドレスを着ている。
ちなみに双子の弟と妹のシリウスとアリシアの誕生日は12月21日で。2人は12歳になった。
クリスマスと誕生日が近いと、一緒に祝うって話を良く聞くけど。うちはキチンと別々に祝っている。むしろクリスマスよりも、シリウスとアリシアの誕生日の方が盛大に祝うくらいだ。
2人の誕生日の日と今日は、世界迷宮の攻略も少し早めに利切り上げて来た。グレイとセレナも事情は解っているから、文句なんて言わない。
今日はグレイとセレナも誘ったけど。2人きりでゆっくり過ごすそうだ。
料理とクリスマスケーキは母親のレイアと、みんなが一緒に作ってくれた。妹のアリシアも手伝ったそうで。他も全部美味かったけど、アリシアが初めて作ったプティングは美味かった。
みんなで食事を終えて、プレゼント交換をして。俺が用意したプレゼントは最難関ダンジョン産のクロムハーツのペンダントだけど。効果は……まあ、良いだろう。
シリウスとアリシアが寝る時間になって。みんなで飲み物を飲みながら、ゆっくり過ごす。
今夜はみんなジルベルト家の邸宅に泊ることになっている。みんなが泊れるだけの客間はあるからな。エリスはみんなとお喋りしたいからと、俺とは別の部屋に泊ることになった。
『後はみんなでごゆっくり』と父親のダリウスと母親のレイアが、寝室に引き上げたから。部屋に残ったのは俺たちだけになった。
今でもみんなとは、それなりの頻度で会っているけど。こうして全員が集まるのは久しぶりだ。みんなもそれぞれ忙しい日々を過ごしているからな。
「ねえ。みんなに1つ提案があるんだけど」
エリスの言葉にみんなが注目する。これからエリスが何を言うのか、俺は事前に聞いているし。承諾済みだ。
「アリウスの家に、みんなの部屋をそれぞれ用意しようと思っているの。いつでもみんなが来れるように。勿論、みんなが嫌じゃなかったらだけど」
みんなが俺の方を見る。俺はゆっくりと頷く。
「これはエリスと話し合って決めたんだ。俺にとってエリスが特別なことは今も変わらないけど。みんなのことも大切だし。どんなことがあっても、みんなを守りたいんだよ。
だから何かあったら、みんなには俺を頼って欲しいし。特別なことがなくても、気楽に来て欲しいと思っているよ」
俺『
「このブレスレットは1日に3回まで『
みんなの中で『転移魔法』が使えるのはエリスとジェシカだけだし。ジェシカも毎回『転移魔法』を使っていたらMPを結構消費して、ダンジョン攻略に支障が出るからな。
俺はみんなのことを縛りつけるつもりはない。他に好きな奴ができて、みんなが幸せになるなら、それが1番だからな。
「アリウス。そんなことを言ったら、本当に毎日行っちゃうわよ」
「ああ、ミリア。おまえは王都に住んでいるんだし。別に引っ越して来ても構わないからな」
「ア、アリウス君……私も良いの?」
「ノエル、勿論だよ。『転移魔法』のブレスレットは、緊急避難用に使っても良いし。引っ越して来るなら、家の鍵も渡すけど」
「だったら私も、毎日アリウスの家からダンジョンに通うわよ」
「だからジェシカ、俺は構わないって言っているだろう」
「私はさすがに、アリウスの家に住む訳にはいきませんけど。夜の間だけ、こっそり行くことはできますね」
みんなが嬉しそうだ。エリスの提案に従って正解みたいだな。
「だけどこんなことをしたら、アリウスの評判が悪くなりませんか? その……沢山の女子を囲っているとか、言われちゃいますよ」
ソフィアが心配そうに言うけど。
「他人が何て言おうと、俺は気にしないし。評判なんて今さらだろう。魔王アラニスには悪いけど、俺は『魔王の代理人』として恐れられているからな」
『魔王の代理人』として、俺は色々と仕出かしているからな。女子絡みの悪評なんて、それと比べれば大した話じゃない。
「私としては、評判が事実になる方が嬉しいわよ。アリウスを独り占めするつもりはないって、みんなには言ったわよね。勿論、選ぶのはみんなとアリウスだけど」
エリスがみんなを包み込むような優しい笑みを浮かべる。エリスが本気で言っていることは、俺には解っている。
こうして俺はみんなと、共同生活をすることになった。
※ ※ ※ ※
アリウス・ジルベルト 19歳
レベル:17,880(+512)
HP:189,658(+5,444)
MP:289,268(+8,312)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます