第72話
6ー9 すったもんだ?
ライナス先生が誰と仲良くしようとわたしの知ったことではないのだよ!
「ところでライナス先生」
わたしは、食事を食べ終えるとお茶をのみながら訊ねた。
「居室の方は、どうなっていますか?」
「トガー、そのことだけど」
ライナス先生が待ってましたとばかりに笑顔で口を開いた。
「一人づつ個室っていうのは厳しいかな。二人部屋ではダメかな?」
「できれば個室でいきたいんですけど。でも無理なら大部屋もあってもいいかな」
わたしが答えるとライナス先生は、ホッとした様子で微笑んでいる。
「君の方はどうなんだ?トガー」
「まあ、だいたいはできてますが、1つお願いしたいことが」
わたしは、ライナス先生の方をちらっと伺った。
「リハビリのためのプールと温泉を作りたいと思って」
「ぷーる?なんだ、それは?温泉というのは、聞いたことがあるな。確か、山奥でたまに温かいお湯が湧き出しているもののことだったな?そんなもの、どうやって作るつもりだ?」
「ちょっと、考えがあって」
わたしは、笑ってごまかした。
「あと、プールというのは、水の入った四角い池のことです」
「池?そんなもの、どうするつもりだ?」
ライナス先生がきくのでわたしは、説明した。
「水の中では体が軽くなりますよね?それを利用して運動の訓練をしたり抵抗を利用して体を鍛えたりするわけです」
「なるほど」
ライナス先生が頷く。
「それでは建物を増築するか?そうすれば居室の問題も解決するしな」
わたしたちは、しばらく図面を見ながら話し合っていた。
それを見ていたライザがなぜか、不機嫌そうにため息をついて立ち上がった。
「ちょっと、エミリアおば様の様子をみてきます」
部屋を出ていくライザを見送ってからわたしは、ライナス先生に向き直った。
ライナス先生は、そっとわたしの頬へと触れてきた。
「ライナス先生?」
「トガー」
ライナス先生の唇がわたしの唇に触れようとしたとき、ライナス先生の秘書である赤毛のマチルダさんが入ってきた。
「あら、失礼」
わたしとライナス先生は、素早く身を離した。
「なんだ?マチルダ」
問いかけるライナス先生にマチルダさんは、にっこりと微笑んだ。
「ライナス先生、工業ギルドのギルド長と大工の方が見えられてますけど」
「ああ」
ライナス先生は何事もなかったかのように告げた。
「すぐにここに通してくれ」
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