第50話

 4ー9 BL展開?


 翌日、大きな変化がいくつかあった。

 その内の1つは、ご主人様のことだ。

 朝のケアがすむとご主人様は、いつもしないことをわたしに頼んだ。

 「ジェイムズを呼んでくれ」

 はい?

 わたしは、とりあえずジェイムズさんを呼びにいく。

 そして、やってきたジェイムズさんとご主人様は、二人きりで部屋にこもった。

 何?

 わたしは、興味しんしんだった。

 朝から男たちが寝室に二人っきりでこもってする事っていったら、あれしかないでしょ!

 わたしは、わくわくしながら耳をすましていた。

 「ジェイムズ、痛いっ!」

 「申し訳ございません、マクシミリアン様」

 「そっと、して」

 何?

 わたしは、耳ダンボで興奮していた。

 ドアに耳を寄せていると、後ろから誰かがツンツンと背中をつついてきた。

 「ぎやぁあっ!」

 驚いていた振り向くと、ビックリ眼のライザが立っている。

 「ごめんなさい、トガー。でも、そんなに驚かなくっても」

 「い、いや、その、ごめん」

 わたしは、ゆっくりと深呼吸をした。

 ライザは、クスッと笑った。

 「トガー、何してたの?」

 「い、いや、その、何でもないしっ!」

 わたしは、目を泳がせた。

 ライザがじとっとわたしを見つめている。

 大丈夫ですよ、ご主人様!

 わたしがこの扉を守って見せますから!

 「何をしてるんですか?お二人とも」

 扉が開いてジェイムズさんが現れる。

 わたしは、がばっと立ち上がるときいた。

 「もう、すんだんですか?」

 「はい。久しぶりだったので少し手間取りましたが、スッキリいたしました」

 マジか!

 わたしは、ドキドキしながら呟いた。

 「スッキリしちゃったんですね」

 「はい」

 ジェイムズさんがにっこりと微笑んだ。

 「旦那様もお喜びで」

 「そ、そうなんだ」

 まさかの展開にわたしの腐女子心が止まらない!

 ジェイムズさんは、どこかアンニュイな感じでわたしに告げた。

 「旦那様があなたをお呼びですよ、トガー様」

 「はいぃっ!」

 まさか、まさか、自分がそういうことの後始末をさせていただく日がこようとは!

 そそくさと部屋の中に入っていくとベッドの上には、見知らぬイケメンが?

 銀髪の、目鼻立ちの整った美中年がそこにはいた。

 「何をぼうっとしている?」

 「はひっ!」

 わたしは、訊ねた。

 「ご主人様?」

 「ああ」

 御主人様は、にっこりと微笑んでいた。

 「久しぶりに髭を剃ったんだが、どうだ?トガー」

 わたしは、がっくりと肩を落とした。

 そうなんだ。

 髭ぐらいいつでも、わたしが剃ってやるのによ!

 わざわざ、ジェイムズさんに頼まなくてもよ!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る