第40話
3ー11 待たされて
約30分ぐらいかな?
わたしは、治療院のドアの外で待たされていた。
なんか、イヤになってきた。
わたしは、今からロブさんたちを追いかけて街の見物にでも行くかな、とか思ていた。
うん。
絶対にそっちの方が楽しそうだし!
後5分待って出てこなければ、3人の後を追いかけよう。
そう、わたしが決めたとき、不意にドアが開いた。
あの赤毛の態度の感じの悪い女がわたしを睨み付けていた。
ほんとに。
なんでこんなに悪意を振り撒かれなくっちゃいけないのか?
「こちらへ、どうぞ」
その女は、ちょっとだけドアの横へとよってわたしを中へと招いた。
「ライナス様がお待ちです」
わたしは、扉の中へと入っていった。
建物の中は、ひんやりとしていてどこからか獣の唸るような声が聞こえているような気がした。
いや、いや。
そんなまさかな!
女がさっさと歩き出したのでわたしも慌てて後を追いかける。
わたしは、心の中で毒づいていた。
なんか、態度悪いな、この女!
女は、建物の南側にある日差しの差し込む居心地がいいリビングみたいな部屋へとわたしを案内した。
どうやらライナス先生の執務室のようだ。
だが、ライナス先生の姿はなかった。
「こちらへ」
女がソファを指した。
「腰かけてお待ちください」
わたしは、黙って腰をおろすと去っていく女の後ろ姿に呪いをかける。
タンスに足の小指をぶつけて悶絶するがいい!
1人っきりになるとわたしは、部屋の中をぐるりと見回した。
なにやら難しそうな本がいっぱいあるな。
ライナス先生は、たぶん研究者タイプなんだろう。
もしかしたらすごいデータとかとってるのかも。
でも、人を見る目はないな。
というか、秘書だか使用人だかなんだか知らんがあの女は、最低だろうが!
わたしは、ぽつんと残されて待ち続けた。
なんか、喉が乾いてくるけどお茶のいっぱいも出てくる様子はない。
マジで最悪な気分だ。
来るんじゃなかった。
わたしがそう思っていたら、扉が開いてライナス先生が現れた。
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