今世は幼馴染!前世は魔王と勇者!!

海男

プロローグ






 俺は、たまに変な夢を見る。





 ライトノベルでもよくあるファンタジーの世界で、俺は魔王と呼ばれ、勇者と呼ばれる騎士と戦う夢を見る。



 ラノベ小説の読み過ぎや、アニメの影響かと最初は思っていたが……手の感覚、地に足をつけて歩く感覚、魔法を使う感覚……そして人を殺す感覚……本来、身に覚えがないはずなのに、どこかと思っている自分がいる。



 そして、俺を倒そうとしてくる勇者も知っている。



『魔王!私が……貴方を討ちます!』



 そして敵対し、剣と魔法がぶつかり合う。



『どうして……どうして!何故、私を庇ったのですか……』



 裏切られ、守り。



『どうか、また……貴方に会えたら……』



 そして……二人、命尽きる。





 夢に出てくる勇者とのやり取りは、曖昧でふとすれば忘れてしまいそうなのだが……忘れられない。自分が確かに、そこにいて、そこで勇者と戦い……俺敗れた。



 だが、勇者も俺の横で倒れていた。相打ちなのかと思ったが、そうでもない……だが、分からない。夢の中は曖昧だ。





 だが、これだけは言える。






 この勇者の騎士に俺は身に覚えがある。










「マ……。起き……」




 そう。身に覚えがある。




「マサ…!起きな………!」




 なんかね。嫌っていうぐらい知ってんのよ。





 朝が来た。そして目が覚める。





「マサル!良い加減に起きなさい!遅刻しますよ!」



 まだ4月とは言え、寒い季節には変わらず、大切な相棒(布団)にしがみついていたが目の前にいるな奪い取られ、ベットから上半身から転げ落ちた俺は、視点が180度回転し、下から見上げる状態になった。



 仁王立ちで俺を見下ろしてるのは、女子院がしている制服を着て、透き通るような綺麗な黒髪ロングに、キリッとした整っている顔付きをしているクールな幼馴染を俺は、眠たそうなままジト目で見つめた。



「なんですか。マサル。そんな目をしても登校の時間ですから、はやーー」


「なぁなぁ、問題その1、3+3は?」


「はい?なにを急に……」


「まぁ良いから答えて見てよ」



 仁王立ちしたまま可愛く首をちょこん傾げ、流石の小学生の問題を難なく答えた。



「……6です、ね。それが何か?」


「そうだね、6だね。よっこらせっと……さらに問題その2。それに似た漢字に直すと、どうなる?」



 俺は立ち上がり、学校の鞄を持って去り際にそう言い、自室を幼馴染一人に残し、部屋から出た。


「6……白、シロ……。ハッ!?マサル!ま、まさか……見たのですね!待ちなさい!!」



 顔を真っ赤にした幼馴染が俺の意図の含んだ問題の答えを導き出した結果、大急ぎで俺の後を追いかけてきた。





(まさか……夢に出てくる勇者とやらが幼馴染に似てるとか。どんなラノベだよって話だよなハハッ)


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