後藤莉奈は中1でムショに入りました
安田 沙織
高1時代
第1話 出所しました
無事に中学卒業の検定も終えて、受験勉強を始めていた莉奈だった。
田岡は、色々な参考書や問題集を差し入れしてくれていた。
一番嬉しかったのは、ノートと鉛筆・消しゴムがたくさんあるこどだった。
いつもは、手に持つのも難しいくらい短くなるまで鉛筆は使っていた。
ノートはたくさんあるので、要点などをまとめるのにとても便利だった。
消しゴムも、いつもはカスを集めて丸めては使っていたがあまり消えなかった。
嬉しくて、勉強も捗っていた。
平穏な日々が続き、7月末になっていた。
申し込んであった、模擬試験の日になっていた。
受験勉強といっても、ただ参考書と問題集をやってただけであった。
普通の人の様に、塾とか家庭教師がいるわけではなかった。
それでも、頭を抱えながら無事にテストを終了して結果待ちだった。
今まで、中1でムショに入ったので。偏差値とかは、理解していなかった。
当然、身元引受人の田岡のところにも結果は届いていた。
田岡が面接に来ると、莉奈に結果を発表していた。
「今回の偏差値は、60だったね。」
「それって、悪いんですよね。もっと、勉強しないといけないですね。」
「いや、60だったら、殆どの高校は進学できるよ。ただ、東大とか行く高校は偏差値は70くらいだけどね。これなら、よりどりみどりだよ。」
「そうなんですか。嬉しいです。」
「でも、まだ1回しかやってないからね。月に1度は、テストを受けて。平均で、60だったら、安心だね。高校の方は、考えたのかな。」
「そうですね。普通高校で、女子校でも男女共学でも構いませんね。少し身体も動かしたいので、高校では部活に入ろうと思います。やっぱり、バスケやりたいですね。」
「それじゃ、運動の時間はドリブルの練習をするといいよ。一応、そう言うと思ってバスケの初心者用の本も差し入れするからね。後は、いつもの受験の本と文房具だよ。」
「いつも、ありがとうございます。本当に、助かっています。」
「いや、これも全部杉田さんから頼まれたものだからね。出所したら、ちゃんとお礼を言ってくださいね。」
「はい。わかりました。必ず、お礼は言います。でも、毎回届けてくださる田岡さんにも感謝してますよ。ありがとうございます。」
「まぁ、高校では内申書とか重視するけど。この成績だったら、問題ないと思うしね。ここの看守長さんにでも、書いてもらうか。女子刑務所の人に書いてもらうけどいいかな。」
「まぁ、それは仕方ないので。問題ないですよ。」
田岡と30分ほど、いつも話しをして別れていた。
それから、毎月莉奈は模擬試験を受けていた。
結果が出ると、田岡が報告に来てくれていた。
12月までやって、大体60~65の偏差値だった。
その頃には、志望校も決まっていて。
少し強い女子バスケの学校に、進学を希望していた。
スポーツで選んだのだが、偶然にもブレザーで可愛いリボンの制服だった。
3回目のクリスマスを向かえ、お菓子など食べて楽しく過ごしていた。
年越しそばやお雑煮も、美味しく頂いていた。
1月になると、莉奈の仮釈放の会議が頻繁に開かれていた。
ムショでの態度・進路・再犯罪の傾向などを話し合われていた。
どれも、クリアしていて問題はなかった。
それも、そうだろう。
正月でも、1人で今年も草むしりの作業をしてたのだから。
出所が近づくと1週間前から、交代でレズプレイをさせられていた。
莉奈は、毎晩の様に激しく逝き狂っていた。
いつも、失神して全裸なので。
終わると、パートナーが抱いて朝を向かえていた。
そして、ついにみんなとの別れの日が来ていた。
莉奈は、みんなに抱きつき泣いていた。
「バカね。出所するんだから、泣かないのよ。これからは、ちゃんとしなさいよ。」
「莉奈、私が戻るまで。うちの組員と仲良くしなさいよ。」
「莉奈。すぐに出たら行くからね。姉さんより、先に私が抱きしめてあげるわよ。」
莉奈は、みんなにお礼を言ってお辞儀をすると部屋から出ていった。
まぁ荷物はなかったので、差し入れされた物だけを大きな紙袋に入れていた。
入所した時は、160センチ満たなかったが。
今では175センチあり、胸も膨らんでCカップくらいだったので。
着てきた服は窮屈だった。
弾きれんばかりに、なっていた。
そして田岡が出迎えてくれて、分厚い鉄の扉の外に出ていた。
田岡は、莉奈の服装を見て笑っていたが仕方なかった。
田岡の車で、莉奈は大阪に向かっていた。
「そうだな、その格好じゃ杉田さんにも笑われるよ。服を買おうね。」
田岡は、大きなショッピングモールの駐車場に車を入れると電話を掛けていた。
「私だと、わからないからね。妻を呼んだから、一緒に選んでね。そうそう、これも杉田さんが指示したことだからね。」
20分程駐車場で待つと、田岡の妻が車で来た。
女性は、とても綺麗だった。
「莉奈さんね。夫から聞いてたけど、想像以上に美人だわね。私は妻の雪です。よろしくね。」
「後藤莉奈です。いつも、田岡さんにはお世話になってます。」
「じゃ、買い物行きましょうか。下着・服・靴いるでしょうからね。」
雪の後をついていき、ショッピングセンターに入った。
店がたくさんで、目眩がしそうだった。
そのま最初は下着売り場で、サイズとかを計られて雪が選んで買っていた。
莉奈はお礼を言って、荷物を持っていた。
服やスカート・ショートパンツ・ジーンズなどを買っていた。
勿論、店員がサイズをきっちり計ってくれていた。
スポーツ用品も、ジャージやトレーニングウェアー・靴なども買った。
両手は、持ちきれない荷物でいっぱいだった。
田岡は後ろから来て荷物を半分もってくてたので、莉奈はお礼を言った。
全部の買い物が終わると、買った物を全部田岡の車のトランクに入れた。
「莉奈さん、主人はいいから。私の車に乗りなさいね。」
田岡と別れて、雪と一緒に車で出ると。
美容室に連れて行かれた。
まぁ伸ばしっぱなしだったので、それでも髪の毛は元の長さにまで戻っていた。
「じゃ、可愛くカットしてあげてね。多分、髪の毛が長い方が良いと思うけど。お任せするわね。」
なんか、高級そうな美容院だった。
2時間程かかり、髪の毛をカットしてもらった。
「うん いいわね。どっかのお嬢様みたいよ。素敵よ。」
雪はお金を払ってくれたので、お礼を言っていた。
次は美容外科に連れて行かれ、問診の後に全身脱毛をされていた。
勿論、股間もだった。
恥ずかしかったが、仕方なかった。
股間の陰毛は、殆どと言っていいほど無くなっていた。
少し恥丘に逆三角形に毛がある程度になり、それも長さを揃えられていた。
「ここは、ちょっと、時間かかるけどね。何回か、来ないと行けないから。学校始まったら、お休みの日に電話してね。連れてきてあげるからね。」
やっと全部が終わるとお礼を言い、雪と一緒に店を出ていた。
やっと終わったと思ったら、サウナに連れて行かれた。
入浴をゆっくりできるのも、久しぶりだった。
風呂から出ようとすると雪に引き止められて、個室に入った。
1人の女性が、、部屋に入ってきた。
「じゃ、ベッドに寝てくださいね。」
「だいぶ、たまってるから、いっぱい落としてあげてね。」
なんのことだろうと、莉奈は思っていた。
アカスリだった。
もう、自分でも見たくないほどボロボロとアカが落ちていた。
「こんなに、恥ずかしいです。こんなに、アカがついてたなんて。」
「みなさん、これくらい出ますよ。恥ずかしくないですからね。」
まぁ、それでもムショではあまり綺麗には洗えてなかったので。
普通の人の2倍かかっていた。
雪は、3倍のお金を渡していた。
なんか、身体が軽くなったような莉奈だった。
やっと、全部が終わったのは夜の6時だった。
真っ白なビルに、青龍会と看板がかかっていた。
雪は車を玄関の前に停めると、莉奈を連れてビルに入った。
ビルは、5階建てであった。
エレベーターで、4階まで上がると雪は。
「親分、只今連れて参りました。」
「ああ ご苦労様 入りなさい。」
「失礼します。」
雪は襖を開けて部屋に入ると、正座して頭を下げていた。
莉奈も、そうしなければならないと同じ様にしていた。
「おい もっと、近くまでおいで。」
「はい。」
莉奈は杉田の前まで行くと正座して、頭を下げていた。
「お初にお目にかかります。入所してた時は、大変お世話になりました。色々な差し入れをありがとうございました。本当に、救われました。」
「そうか そうか 気に入ってくれたんだな。服買ってきたんだろ。莉奈だったかな。5階に、莉奈の部屋は用意してあって。さっき、幸雄が運んだからあるはずだから着替えてきなさい。」
「はい、ありがとうございます。失礼します。」
莉奈は、部屋を出てエレベーターで5階に上がっていた。
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