第259話 目覚めないケント ※ラルフ視点
その後パーティーはすぐに中止し、ケントについて話し合うことになった。参加者は王族やケントに関わる者、そして貴族の爵位が高い権力者達だ。
ちなみに孤児院の子ども達は先に帰って行った。
「魔物を呼び寄せるか危害を加える者なら、すぐに殺してしまえ!」
「今回の功労者にそんなことを申すのか!」
「ならまた魔物が近づいてくるのを民を巻き込んで解決法を探せというのか」
「まだ魔物が来るとは決まってないではないか」
「でもこの首輪がそれを象徴しているではないか」
さっきから貴族達は自分達の言いたいことばかり言っており、誰一人ケントを心配する人はいなかった。
そもそもこの事件はアスクリス公爵家が起こしたことなのに、貴族達は自分の意見押し付けるばかりだ。
「それでクレイウェン国王はどうするつもりだ?」
ハワードは王様に意見を求めた。貴族が言ったところで、全ては王様の一言で決まってしまう。
「今はまだ答えは出せない」
「父上! ケントはこの国を救ってくれた英雄に等しい人物ですよ! ケントがいなければ今頃私もいないですし、マルヴェイン兄さんもセヴィオン兄さんもあそこで命が尽きていました」
たしかにケントがガレインのスキルを発現させたことで、次期国王である二人を助けることができた。
助けられたオラも同様だ。ただ、オラにはどうすることもできないのだ。
「腰抜けな国王だな」
「貴様! 他国の民の分際で――」
「やめたまえ!」
鎧を着た男は今にもハワードに掴みかかりそうになっていた。
「国王一人が功労者……いや、子ども一人守ることができない国なら衰退するだけだな」
「クレイウェン王国を侮辱しやがって!」
ハワードは立ち上がりケントの元へ向かって抱きかかえた。
「何が"民を守り抜く切り裂く剣と鉄壁の盾"だ! お前らが腑抜けなら俺はこいつをベズギット魔法国で保護する」
後からガレインに聞いたがクレイウェン王国は騎士家系が多いため、子どもの時から教えられている国訓らしい。
「ケントは冒険者ギルドで預かるのじゃ。お主の友として、そして国王として伝える。どうか自分を攻めず正しい選択をしてくれ!」
カタリーナもハワードと共に冒険者ギルドに戻っていた。
「オラ達もかえ……あっ、これをガレインに渡しておくよ」
オラは画像投影のスキルを発動させて、今さっき見たステータスを渡した。
「これは……?」
「今までのこの騒ぎの原因とオラの家族を殺したやつだよ」
「まさか……」
「オラからしたら犯人も同じ貴族なのに威張っている理由がわからないよ。魔力を欲していたからガレインも気をつけてね」
オラはカタリーナ達を追うように走った。
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