第232話 ミィの能力
「お兄ちゃん達聞こえる?」
「ああ、聞こえるぞ」
「すごいー! 本当に繋がった!」
声からしてミィは驚いているがどちらかと言えば俺の方がびっくりしている。
「ケントの声も聞こえるぞ?」
しかも、ミィだけだと思ったらラルフにも聞こえていたのだ。
「私のスキルで今お兄ちゃん達三人に繋げているよ」
「どういうことだ?」
「んー、ミィにもわかんない。でもミィも何か手伝いをしたいと思ったら使えるようになったの!」
きっとミィは治療に関わることでスキルのレベルが上がったのだろう。
ただどういう方法で新しいスキルが使えるようになったのかはラルフに見てもらわないとわからないだろう。
「とりあえずこのまま繋げていても大丈夫そうか?」
「ミィは大丈夫!」
「何かあったらすぐにラルフを呼ぶからな」
「わかった!」
♢
しばらく治療を続けると突然地面が光り出した。
「えっ、なんだ?」
「あれは空間転移魔法なのじゃ」
光が強くなり目を閉じると知っている声が聞こえてきた。
「ケントすぐに治療を頼む!」
そこには最前線で戦っていたハワードやカタリーナ、そして担がれたマルヴェインとセヴィオンがいた。
二人は傷だらけではあるもののどうにか手を触れるレベルだ。
「ラルフみんなが帰ってきた。すぐに王族二人をテントに連れて行くから、その他は見てもらってもいいか?」
「わかった! すぐにそっちへ行く!」
「すぐにマルヴェインさんとセヴィオンさんはテントに行ってください! あと魔力不安定症だと思う人もテントへお願いします」
「テントって聖教ギルドは何をしているのじゃ?」
「ムッシェル様はおかえりになりました」
ああ、そういえばそんな名前のやつがいた気もする……。
「おのれ……また聖教ギルドめ!」
カタリーナの足元の地面は真っ二つに割れていた。肌がピリピリするほど圧を感じる。
「ケント様子は――」
こっちにきたラルフも怪我人よりカタリーナの様子を見て戸惑っていた。
「とりあえず魔力不安定症だと思う人をテントに誘導してくれ! その間にガレインと共に治療に当たるから何かあったらミィのスキルで呼んでくれ」
「わかったよー」
どうやらミィにも話は聞こえていたらしい。
その後ラルフにマルヴェインとセヴィオンを見てもらうと、やはり魔力不安定症だった。
「お二人ともテントへお願いします」
「迷惑かけてすまないね」
「そんなに魔物が強かったんですか?」
「いや、腹減ってきてパスタのことを考えてたらつい当たっちまったよ」
マルヴェインの理由もどこか彼らしかった。
こんなに話せるなら元気だ。
俺は二人をテントに誘導すると中の様子に驚いた。
「二人を連れてきた……ガレイン大丈夫か?」
「ん? どうしたの?」
「どうしたって……お前体が光ってるぞ」
ガレインの体からは光が放出されていた。
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