外れスキルで異世界版リハビリの先生としてスローライフをしたいが、異世界も激務のようです〜チーム医療で様々な問題を解決します〜

第159話 ポルターガイスト？

　エイマーとロンに強制的に連行される形で屋敷の中に入るが、あまりの怖さに俺は目を閉じたまま歩いてる。

「ケントくん？」

「ケント兄さん大丈夫ですよ？」

「いや、絶対なんか居るって！」

「大丈夫ですって」

　エイマーとロンに瞼を掴まれて無理やり目を開けさせられた。強引すぎてついにまぶたまで諦めたようだ。

「うっ、眩し……なんだこれ？」

　目を開けると急に光が入ってきた。

　目が慣れてくると屋敷の中を見渡して驚いた。

　屋敷の外見自体はとても古くて、何か出そうな雰囲気をしていたが、中は綺麗に管理されていた。

「えっ？　なんで綺麗なの？」

「それはギルドが管理してたからじゃないですかね？」

「きっとそうですよ」

　エイマーとロンも特に気にしておらず、屋敷の中に奥に入って行った。

「私が綺麗にしたのに……」

「！？」

　どこか遠くから唸るような声を聞こえたが辺りを見渡すと特に何もいなかった。

「ケント兄さん先行くよー」

「えっ、ちょっと待って！」

　中が綺麗でもどこか違和感を感じていた俺だが一人残されるのも嫌なため急いでロンのところへ向かった。

♢

「結構広いですよ」

　調理場はとても広く食事処をするには充分な広さだった。

「これならたくさんの人数が動けますし、良さそうですね。ケント兄さん聞いてます？」

「ふぇ！？　ああ、広いな」

　俺は調理場に来てからさっきの違和感がさらに強く感じた。こういうのって異世界定番であれば何かが飛んでくるはずだ。

　ポルターガイスト的な何かが起き……いや、特に起きそうにない。

「あっ、調理器具もそのまま置いてありますよ？」

　何も気にしていないエイマーとロンは棚や冷蔵庫を開けたりして、何があるのかを確認しながら中に何があるか全て出していた。

「私が綺麗にしたのに……」

　またどこからか声が聞こえてきた俺は頭の中は真っ白だ。やはり俺以外の誰かがいる。

「違う部屋に行ってみましょうか」

　エイマー達は違う部屋に移動しようと扉に手をかけた。

　その時俺は自分の目を疑った。だって、本当にポルターガイストが目の前で起こっているのだ。

「あわわわ……包丁が」

　包丁が急に浮き上がり、エイマー達がいる扉の方へ向いた。

「えっ？　包丁がどうかしま……きゃ！？」

　振り返ったエイマーの横には扉に刺さる包丁があった。

　頬を掠めたのか、一筋の切り傷できていた。

「出て行け！」

　調理場には怒鳴り声を上げる少女が立っていた。

　エイマーとロンはすぐに反応し、外へ向かって走って行った。

「出たー！」

「出て行け！」

「出たー！」

「出て行け！」

「で……出て行けません！」

　だが俺は出ていけなかった。腰が抜けた俺はその場で座り込んで動けなくなっていた。

「はぁん！？」

　どうやら亡霊も俺に対して怒っているようだ。　

　どうしよう……足が動かないよ……。