第124話 特別依頼
「そろそろ話を戻しても良いかの?」
そんな中、声を出したのはカタリーナだっだ。
その場の雰囲気から黙っていたが、中々話し出す雰囲気に戻らなかったため強制的に声を出したのだろう。
「すみません」
「いやいや、ケントは大変じゃったの……。だけど大変なのはこれからじゃ」
「大変?」
カタリーナが魔法ボードに張り出していたのはこの国の地図だった。
そこには中心に王都が書いてあり、トラッセン街やトライン街、遠くにエッセン町も書いてあった。
「これは王都周辺の町街が書いてある地図じゃ」
「地図を出して何が大変になるんですか?」
俺は何が大変なのかわからなかった。
カタリーナは指先に魔力をためて、いくつか丸をつけた。
そこにはトライン街やトラッセン街などの近くも含まれている。
「魔物が集まっているってことか」
さっき俺が出した強制進化の首輪が関係しているのではないかっとマルクスは気づいていた。
「そうなのじゃ」
幸いエッセン町の周囲はそこには含まれず、全部で三ヶ所も丸がつけられていた。
東はトラッセン街、南はトライン街、そのほか西にも付いていた。
「今回集まってもらったのは東のトラッセン街の近くへ調査をしてきてもらいたいのじゃ」
「調査? 首輪の回収じゃなくてか?」
「ああ、首輪が回収できるのであればそれで構わない」
ここ最近魔物の活動が王都周辺で活発になっていたらしい。俺も冒険者ギルドで冒険者同士が話しているのを耳にしたことはある。
「東と南には魔物討伐を受け持ってる組織に依頼は出してあるが、西には人が足りないから出せていないのじゃ。それもあって調査になるのじゃ」
今回魔物が強制進化した後のことを考え、東と南にはAランク冒険者が所属している組織に依頼している。
その理由はどちらも周辺または奥に町や村が多いからだ。
トライン街も奥にはエッセン町があったりするが、トラッセン街は周囲に小さな村はあっても町は無く奥には海しかない。
そのため被害が一番少なく済むように後回しになっている。
「でもなんで僕達なんですか? まだEランクで戦力外ですよ?」
南と東にはAランク冒険者が所属している組織に依頼をしているのに、自分達が行く必要があるのかと疑問に思った。
そっちが片付いたら次は西に行く予定になっているらしい。
「それは一度経験しているからなのじゃ。ケントはすぐに首輪の魔力を遮断する能力があり、ラルフは見極めるスキルを持っている」
本当に首輪があった場合は被害が広まるまでに俺達のスキルで回収できる可能性があるからだ。
他の組織では首輪の話も含めて、上層部しか話を通していないため基本的には討伐が主の依頼だ。
「まだ冒険者になる前の子供らに協力させるのは、ギルドとしても嫌なのじゃが今回はすまない」
カタリーナは俺達に頭を下げた。冒険者のギルドマスターから直接頭を下げられれば、いくら子供の俺達も仮冒険者のため断ることが出来ない。
「わかりました。引き受けます」
「助かるのじゃ! トラッセン街の周辺の地形ならその四人なら知っているだろうし、偵察重視なら戦力も問題ないはずじゃ」
こうして俺達三人と破滅のトラッセン四人の計七人で、トラッセン街周辺の調査と強制進化の首輪の回収依頼を受けることになった。
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