第116話 闇の中 【side:領主】

 わずかな明かりがつく部屋の中で男は跪いていた。


「結果はどうだ?」


「領主様申し訳ありません。熊に付けて試してみましたが暴走したため手に負えませんでした」


「そうか。やはり動物よりは魔物の方が反応は良さそうか?」


「魔物の方が戦闘には向いていると思います。しかし、ゴブリンに劣化版を付けてみましたがランクが低い物に関しては進化してもさほど戦力にはならないと思います」


「やはり本物じゃないと意味はないのか……。改良版はどうなったんだ?」


「改良版は魔素が多いと言われる池に入れました。すぐに魔物が寄ってきたので魔素を吸い混んだ後は本物同様に使えると思います」


 男は少し考えるとニヤリと笑った。


「例えば魔素を含んだ改良版を街の中に放り込んだらどうなるだろうな」


「そっ……それは……」


「ははは、これで王都はめちゃくちゃになるだろうな」


 男は大声で笑っていると艶やかな声で名前を呼びながら女が扉を開けた。


「あなた大きな声を出してどうしたのよ」


「ああ、愛しのロザリオよ」


 男は女を自分の膝の上に乗せると熱い口づけをした。女性のネグリジェに手をかけるとそのまま脱がした。


「もう、こんなところで脱がして他の男に――」


「それは問題ない。あいつはもう処分するからな」


「えっ……領主様それは――」


「お前は色々なことを聞き過ぎたな」


 男は剣を抜くと素早く振った。すると逃げようとしていた男の体は二つに分裂するように離れた。


「またこんなことしていいのかしら?」


「ああ、私のスキルは変わってるからいいんだ」


「私も聞いた時はびっくりしたわ。魔力を込めて命を殺めると自分の力に――」


「シッ!」


 男は女の唇に指を置くとニヤリと笑った。


「これ以上話すと君の体がもたなく――」


 女は指を払うと男の唇に自身の唇を優しく当てた。


「私は指より口で塞いで欲しか――」


 男はそのまま女を押し倒し、強く舌をねじ込むように激しくキスをした。ねっとりといやらしい音は朝まで響いていた。

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