外れスキルで異世界版リハビリの先生としてスローライフをしたいが、異世界も激務のようです〜チーム医療で様々な問題を解決します〜

第2話 異世界転生？

「んー、頭が重い」

　次第に視界がはっきりすると俺の目の前には木が揺れていた。

「ここはどこなんだよ」

　体を起こすとなぜか体に違和感を感じていた。それでも体の痛み俺の意識は朦朧としていた。

「考えても仕方ないからとりあえず歩くか」

　俺は痛みに堪えながらもどこにいるかわからないため少し歩くことにした。

　しばらく歩くとどこか滝や川が流れる音が聞こえた。そこには小さな滝と川の流れていた。

「喉が乾いていたからちょうどいいや」

　俺は川に顔をつけて満腹になるまで水を飲んだ。そして俺は顔を上げ水面に映った人物を見て驚いた。

「誰だこいつ？　ってか結構イケメンじゃんか」

　手を動かし顔を触ると水面に映った少年も顔を触っていた。

　驚いた俺は立ち上がると水面に映っていた人物も動いていた。

「これが俺ってことか？　いったたたたた！」

　俺は水面を眺めていると水面に映った少年の十年間の記憶と相澤としての記憶が蘇ってきた。

　そして俺は死んだことを理解したぬ。

「死んだのか？　まぁ、イケメンに生まれ変わったんだし別にいいか」

　俺は思ったよりも楽観的だった。どちらかと言えば今は誰かわからないがイケメンの少年に転生したことを喜んでいた。

　前の俺はブサイクで彼女も出来たことなかったからな。イケメンに生まれれば人生チートだ。

　とりあえず俺はどこにいるか把握するために、滝の方まで歩いて行くと滝の裏には人が一人だけ入れる程度の小さな穴があった。

「今日はとりあえずここで隠れようか。魔物にやられても俺には倒せないからな」

「魔物！？」

　俺ははいつのまにか"魔物"という言葉を口に出していた。

　少年の記憶を探ると魔物というものがこの世界には存在していたのだ。

　魔物は動物と違い、攻撃的で心臓の近くにある魔石という核を取るか息の根を止めることで倒すことができると言われている。

　少年はあまり勉強をしていなかったからか頭の中にある情報はこれのみだった。

　俺は他にも自身の今後を考える手がかりがないかと記憶を探っていた。

「ひょっとして例のあれもあるのか？」

　俺は前世の時にはそこそこ漫画やゲームを好んでいた。

　最近は異世界転生のアニメや漫画が流行っていたため、異世界と言ったらこれだと思うある言葉を口にした。

「ステータスオープン！」

　低い音とともに目の前には半透明の板が現れた。

　そこには名前と年齢、職業そしてスキルが書いてあった。

《ステータス》

[名前]　ケト

[種族]　人間/男

[能力値]　力E/C　防御E/C　魔力E/C　速度E/C

[固有スキル]　理学療法

「本当にゲームの世界みたいじゃんか……それにしても弱いな」

　出てきたステータスにゲームのような世界観を感じた。

「しかも固有スキルってここだけ異世界感が無いんだけど」

　固有スキル【理学療法】をなぞると自然と目から涙が溢れでいた。

　やっと自身が相澤としての命を失ったことに実感が湧いてきたのだ。

　そして少年の記憶からスキル【理学療法】であったからこそ受けていた迫害や暴力に涙が止まらなくなっていた。

「こんなスキルがなければ奴隷にならずに済んだのに」

　俺は少年ケトの五年前の記憶に遡っていた。