穴あきキャンバス

青くさい炎夏昼（えんかちゅう）を歩く

「翅鳴（うる）さいセミも慮外に長生きしていた」

昊天（こうてん）に文句（けち）をつける

不在の靴箱となじみすぎたジャージ姿は

色の足し算をした水入りバケツを被る

ビタミン不足のビタミンカラー

無碍（むげ）無限に描破（びょうは）

鋏で裂き炙るライター

水風船が弾ける如く

消火用スプリンクラーが消したがる

シャバい肖像画を教室からプールへ捨てた

無害は無蓋（むがい）のまま有害は有蓋を成す

校歌（ミサ）が黒板を引っ掻くから

耳鳴りを塞いだって無意味

学生喪服の幼気な過去が心中したいと

四つ葉の草鎖（くさり）で首を吊ったら

俠骨（きょうこつ）を折られて

積乱雲が大きく成って来た場所に

ドミノ倒し自転車が行く先は

下がり花が散っちゃって水（　）蘭蕉（カンナ）が咲いている