第1話 朝のこと
結局、勘違いだと彼女に伝えることが出来なかった私。
連絡先を交換したことでメッセージを送ることでなら伝えることが出来るかと考えたけど、それはなんだか嫌で。
だけど、直接伝えることも出来ず。
さすがにこんな事態はイメージトレーニングですらしたことがなくて。
どうしたらいいか答えが見つからなく悩んだ私は中々寝付けず翌日盛大に寝坊する。
スマホには寺舞さんから何件かのメッセージが送られてきていて。
内容は「おはよーございまーす!よかったら一緒に登校しませんかー?」「せんぱーい?もしかしてまだ寝てたりしますかー?」「昨日分れた所で待ってるので起きたら連絡くださーい!」で。
私は時間を確認して慌てて返事を送る。
寝坊してしまったことと、返事が遅れてごめんということ。
そして、今から急いで準備して全力疾走しても遅刻ギリギリになってしまうから先に行っててほしいことを。
するとすぐに返信がきて。
「わー!わかりました!わたしのことは気にしないでください!走って転ばないよう気をつけて登校してくださいねー!」というメッセージに「うん!ありがと!」とだけ送ると急いで準備を始めた。
それから、なんとか遅刻ギリギリで教室へとたどり着いた私は自分の席に座る。
走ってきたことで呼吸が荒くなっていた私が息を整えていると前の席の子が話しかけてくる。
「おはよー。こんなギリギリなんて珍しいね。どしたん?」
そう言う彼女は古川穂波〈ふるかわ ほなみ〉。
中学からの友達で、私の日課のことも知っていて。
なんとか息を整え終わった私は昨日あったことと、それで寝坊したことを伝えた。
「えー!なにそれ!そんなことある!?ウケるんだけど!」と驚きながら笑っている穂波。
「笑い事じゃないよー。」と若干膨れっ面になる私。
「ごめんごめん。怒らないでよー。」と相変わらず笑っている穂波。
そんな穂波に「どうしたらいいのかな。」と相談する。
すると、笑うのをやめた穂波が「んー。そうだねー。」としばらく考え。
「まぁ、勘違いだってことを伝えるしかないよね。例え傷つけることになっても。」
「だよね…。」
それしかないのはわかっていた。
けど、昨日は伝えられなくて。
そう考えていると穂波が「それならあたしが伝えてあげよっか?」と提案してくれる。
いつも穂波は私が困っていると助けようとしてくれて。
正直すごい嬉しい。
でも、やっぱり自分で直接伝えないといけないと思った私は「ううん。自分で頑張って伝えてみるよ。」と提案を断ることにした。
「そっか。まぁ、そのほうがいいよね。頑張れ叶!」と応援してくれる穂波に「うん!今度こそちゃんと伝える!」と意気込んでいるとスマホに通知が入った。
「せんぱーい!無事学校に着けましたかー?」と寺舞さんからのメッセージで。
「うん。遅刻ギリギリだったけど大丈夫だったよ。」と返事をする。
すると「よかったですー!あ、それでですね!今日のお昼なんですけどご一緒しませんかー?」と返ってきて。
私はその時に今度こそ伝えようと思い「うん。いいよ。」と返信する。
「わーい!楽しみにしてますー!それではお昼時間になったら教室までお迎えに行きますねー!」と返ってくる。
というわけで寺舞さんとお昼を一緒に食べる約束をした私は、今度こそちゃんと伝えられるようイメージトレーニングをしながら、その時を待つのであった。
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