第478話
まだ薄暗い中をハルトたちは魔境のラマーリャ山脈を目指して進んで行く。
「やっぱり俺たちだけで行動する方が早いよな。ミルク、もっとスピードを上げてくれ。」
『分かりましたモー。落ちない様にしてくださいモー!!』
結界の足場を駆けて行くミルクの移動スピードが上昇していく中で、ハルトとナビィとコッコロはミルクに貼り付くヒスイとプルンにサポートして貰いながら進んで行った。
それから三十分も経たない内にスタンピードのモンスターの軍勢と最後に戦った地点までたどり着き、それから更に十分ほどで最初に戦った戦場の跡地にたどり着いた。
「結構転がってるな。これって俺たちが回収するのは不味いかな?」
「止めておいた方が良いでしょうね。消えた場合、大量のモンスターの死骸をどうにかする存在が居ると騒ぎになりますよ。」
「それなら止めておくか。」
スタンピードで騒ぎになっていたクロームの町に、更に次の混乱を起こさせる訳にはいかない。
そんな訳でハルトたちは戦場の跡地に転がる大量のモンスターの死骸を無視して進んで行き、ようやく魔力の濃い場所までたどり着いた。
「ここが魔境ラマーリャ山脈か。さっきまでと寒さが違うな。」
「寒冷耐性スキルの効果を増していきますか?」
「スキルの成長もさせたいから止めておく。みんなは寒くても大丈夫か?」
ハルトは従魔のヒスイたちに聞いた。
『ヒスイは大丈夫!!寒いけどね!』
『僕も大丈夫だよー!』
『私も平気よぉ。』
『問題ないですモー。』
「そうか。それならこのまま行こう。」
格下のモンスターが現れるだろうラマーリャ山脈だが、それでもハルトは世界樹の棒に魔力を込めながら進んで行く。
そうしてハルトたちはラマーリャ山脈に入って山脈越えをしようと、標高の高いラマーリャ山脈の山を目指して進む。
「それにしてもモンスターが襲って来ないな。俺たちの強さを感じてるのか?」
「強さではなくて魔力でしょうね。魔力の隠蔽を今以上にすれば襲って来ると思いますよ。」
「そうなんだ。みんなはモンスターと戦いたいか?戦うなら魔力の隠蔽をしながら進む必要があるけど、どうする?」
全員が歩きながら進んでいる中で、ハルトはモンスターと戦いたいかを聞いた。
そうして聞いた結果、どうやらみんなモンスターと戦いたい様だ。
それならとハルトたちはナビィからのサポートをして貰いながら、魔力の隠蔽を行なってラマーリャ山脈の麓の雪原を歩いて進んで行く。
「早速来たか。一番最初はヒスイからだ。頑張ってくれ。」
『うん!行ってくるね!』
ヒスイが積もる雪の中をぴょんぴょんと跳ねながら進んで行き、こちらに向かってくる真っ白な毛皮をした狼のモンスターへと向かって行った。
「ナビィ、あれはスノーウルフであってるか?」
「スノーウルフであってますよ。集団で獲物を襲うモンスターですね。まあそれでもヒスイに傷一つ作る事も出来ない弱いモンスターです。」
ナビィからスノーウルフの情報を聞きながら、ハルトたちはこちらへ向かってくるスノーウルフの群れと戦うヒスイを見守る。
『小手調べだよ!!えい!!』
ヒスイはプルプルボディから細長い触手を数本生やすと、スノーウルフに向かって叩き付けた。
すると、この叩き付けを気付くことが出来なかったスノーウルフの群れのうち、振り下ろした触手の攻撃が命中したスノーウルフは一撃で押し潰されてぐちゃぐちゃに両断される。
このヒスイの攻撃に叩き付けた影響で舞う雪と血飛沫でスノーウルフはヒスイが自分たちよりも強者だと気が付いた。
だが、そんな事に気が付いても遅く、ヒスイが魔法まで使用して攻撃を行なっていく度にスノーウルフは倒されて行った。
それから五分もせずにスノーウルフは全滅し、先ほどまでスノーウルフが居た場所の雪は赤く染まっているのだった。
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