第378話
アースドラゴンを倒して意識が緩んだせいか、ミルクの張っていた結界魔法の足場が突如壊れてハルトたちは落下して行く。
「うぉおおおお!!!!!」
『ごめんなさいモー!!!』
『すごい、とんでるよ!!』
『ひゃわーー!!』
自前の翼のあるコッコロは落下と同時に翼を広げて飛行をするが、ハルトを含めたヒスイたちには飛行能力はない。
その為、コッコロ以外は悲鳴をあげるか、この落下する状況を楽しんでいた。
『ハルト、魔法を使いますよ。イメージを送ります!』
「頼む!ナビィ!!」
ナビィから送られて来たイメージを使ってハルトは急ぎ結界魔法で障壁を張って行き、次に落下の衝撃を抑える為に水属性魔法でハルトたち全員を包み込める水を障壁の上に生成する。
大量に生成した水に落下したハルトたちは水のお陰で結界魔法の障壁に直接落下することはなく、ミルクは障壁に足を付けた。
障壁にミルクが足を付けたと同時に、ハルトは生成した水を服や装備、身体に付着した水と一緒に魔力に変えていく。
「ふぅ……これで一安心だな。」
『ハルト様、みんな、ごめんなさいモー。』
二十メートルか、それとも三十メートルか、それくらいの距離を落下した恐怖は、アースドラゴンから感じた物とは別種だが、かなり恐怖をハルトは感じた。
「あー、怖かった。ミルク、次からはあんな風にならないようにしろよ。」
『はい、気を付けるモー。』
ミルクも反省しているようで項垂れていた。
「でも、覚悟して自分から落下するのと、突然意識の外から落下するのとじゃ、感じる怖さが違うな。」
『そう?ヒスイはたのしかったよ!』
『ぶわーってなってー!ぼく、たのしかったー!!』
ハルトは突然の落下に恐怖したが、ヒスイとプルンは落下したのが楽しかったようで、ミルクの上ではしゃいでいると、一匹だけ落下するのを免れていたコッコロが戻って来た。
戻って来たコッコロに対して嫌味の一つでも言おうかと思ったが止めて、ハルトはコッコロの額にデコピンを食らわせる。
『痛っ!』
「一人だけ逃げたからな。お仕置きだ。」
指先に魔力を込めてしたデコピンの威力はハルトが思った以上に出たようで、コッコロはミルクの背中で身体を伏せて痛みに堪えていた。
それからハルトたちは結界魔法で作り出した足場を使って地表へと戻ると、倒したアースドラゴンの元へと移動する。
「ここまで近寄ると改めて思うけど本当にデカいな。アースドラゴン。」
『これでもまだ、アースドラゴンの下半身は地面の下にあるんですよ。』
「解体するのも大変そうだ。とりあえずアイテムボックスに収納するか。解体はどうする?ボス部屋でやろうと思うんだけど?」
『次にアースドラゴンに挑戦する冒険者もいないでしょうし、構わないと思いますよ。』
「なら、ボス部屋で解体するか。(一体解体するのが終わるのに、どれくらいの時間がかかるんだろうか?)」
そんな風に思いながら触れられる距離まで近付いたハルトは、顔を上げてアースドラゴンを見上げながらアイテムボックスに収納した。
すると、あれほど巨大なモンスターであるアースドラゴンはアイテムボックスの中へと消えて行く。
そして、ハルトたちの視界の先には今までアースドラゴンが居た場所に大きな穴が出来ており、その先に次の五十一階層への階段やボスモンスターを倒した報酬の宝箱が見える。
向こう側に階段と宝箱の元にハルトたちは移動して行く。
「ナビィ、この地面に水溜まりみたいになってるアースドラゴンの血は、もう素材にはならないのか?」
『なりますね。けれど、回収はしなくても良いと思いますよ。もし回収するのなら土属性魔法を使って土と血を一緒にまとめるのがいいですよ。』
「使えるなら回収するか。ヒスイ、ミルク。手伝ってくれ。」
ハルトはヒスイとミルクに協力して貰いながら宝箱の元へ移動する際に、アースドラゴンの血と土を回収して行くのだった。
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