第342話
スライムボディのプルプルな身体が、ロックワイバーンの血肉で赤黒くなっているヒスイとプルンの二匹がハルトの方へと這い寄って来る。
『ハルト!ヒスイ、がんばったよ!!』
『ぼくもがんばったー!』
「お疲れさま。ロックワイバーンの中に居た時大丈夫だったか?結構ロックワイバーンに攻撃していたんだけど。」
ヒスイとプルンに聞くと、ロックワイバーンの体内を捕食していた時、かなりの攻撃の振動や衝撃が来ていたそうだが、二匹はナビィからのサポートや魔法を駆使して防御していたお陰で大丈夫だったそうだ。
『ハルト、ヒスイたちを健康魔法で回復してあげてください。それからロックワイバーンの収納です。』
「そうだな。二匹共、頑張ってくれたもんな。」
ヒスイに世界樹の棒を向けると健康魔法を発動してヒスイを癒していくと、次はプルンを癒して、ハルトはロックワイバーンをアイテムボックスに収納する。
モンスターと戦闘をすることが可能なくらいに、ハルトたちの回復が終わると出現した宝箱へと向かう。
「銀の宝箱か。」
『ハルト、あけないの?』
『ねえー、ぼくがあけてもいーい?』
「そうだな。プルン、良いぞ。」
『やったー!ヒスイおねえちゃん!いっしょにあけよー!』
『うん!プルン、いっしょにあけよ!!』
そうしてヒスイとプルンが宝箱を開けるのを見守り、ハルトは開かれていく宝箱の中を見た。
宝箱の中には一本の弓が入っていた。その弓は青みの強い金属で作られており、その金属の色はミスリルだろう。
ナビィにミスリルの弓で当たっているのか聞いてみると、やはりこの弓はミスリルの弓で当たっていた。
「弓は誰も使わないし、溶かしてインゴットに変えるか?」
『そうですね。次の三十一階層からはミスリル鉱石が採掘されるみたいですけど、ミスリルは貴重ですから使わないのなら、その方が良いでしょう。』
「みんなはミスリルの弓は使いたいか?」
ハルトが聞くが、ヒスイたちは誰も弓は使わないそうだ。
このミスリルの弓はインゴットへと姿が変わることが決定すると、ハルトは宝箱の中のミスリルの弓を手に持ちアイテムボックスに収納する。
そして、宝箱の出現と一緒に現れた三十一階層へと続く階段を降りて行き、ハルトたちは三十一階層にたどり着いた。
「暗いな。みんな見えてるか?」
『みえてるよ!』
『ぼくもー!』
『見えてますわぁ。』
『ハルト様!僕も見えてますモー!』
「それなら灯りを付けなくても、この階層でも探索出来るな。」
全員が三十一階層の真っ暗な洞窟でも夜目のスキルで視界を確保することが出来ることを確認した。
そして、広場になっている階段近くの一角にハルトは結界を張って、そこで小休止をする。
「それにしてもどうやってこの洞窟の中から鉱石を探し出せばいいんだ?三十一階層にたどり着いたら教えてくれるんだろう。ナビィ。」
『それはイメージはこんな感じですね。複数の属性を使う魔法ですが、岩や土を調べるのには良い魔法ですよ。』
ナビィから送られて来たイメージを休憩中のハルトは覚えていく。
ナビィから送られたイメージだとハルトを中心にして広範囲を調べられる魔法になっている。
「イメージ自体は分かったけど、これを使っている間は動けないな。それにこの魔法だとモンスターに気付かれないか?」
『それは仕方ありません。ですが、この魔法を使わないと、洞窟の壁の表面に見える鉱脈をからしか採掘できないので効率が悪いです。』
「この階層だとモンスターはすべて格上だろう。大群で来られると、勝てるか不安なんだけど。」
『そうですね。それなら今日はこのままこの場所で休みましょうか。それで二十階、三十階のボスモンスターの魔石でゴーレムを作りましょう。四号機と五号機を。戦力の追加です。』
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