第333話

 遭遇したラプトルリザードをすべて倒し終わり戦闘が終了すると、ハルトは手分けしてラプトルリザードの回収の指示を出す。


 「これで最後だな。血の臭いは浄化魔法で消したけど、モンスターがいつこっちに来るか分からないから移動するぞ。」


 『ハルト、どうやら遅かったようです。こちらに向かってくるモンスターを発見しました。』


 最後のラプトルリザードをアイテムボックスに収納して集まって移動を始めようとした時、移動のタイミングが遅かったからか、ナビィが接近して来るモンスターを感知スキルで感じ取った。


 「あの転がって来ている奴だな。」


 『今回のモンスターはアイアンアルマジロです。二匹で行動しているようですね。どうしますか?』


 坂になっている山道を転がって向かって来るアイアンアルマジロを見ながら、ハルトはこれからどうするのかを考える。


 「とりあえず、このままだとアイアンアルマジロに轢かれるから、その対策が必要だな。ヒスイとプルンで協力して弾力のある水を作るか、身体を大きくして転がるアイアンアルマジロを止めてくれ。出来るか?」


 『できるよ!』


 『ヒスイおねえちゃん!まほうでとめよー!』


 『うん、そうだね!プルン!!』


 ヒスイとプルンがハルトたちの前に移動をすると、その間にハルトは動きが止まったアイアンアルマジロたちをどうするのか、それを決めてコッコロとミルクに指示を出す。


 コッコロとミルクの二匹には、動きの止まったアイアンアルマジロへ攻撃を行なうように指示を出すと、コッコロとミルクの二匹は頷き、アイアンアルマジロに攻撃を当てる為に魔力を高め始める。


 そんな間に転がって来るアイアンアルマジロたちは、ヒスイとプルンが用意した弾力性のある水の塊へとぶつかった。


 分厚く弾力のある水の塊に転がり突撃したアイアンアルマジロたちは、そのまま勢いが抑えられていき、水の塊に弾かれるかと思った瞬間、二匹のアイアンアルマジロの内の一匹が鋭い爪で水の塊を引き裂くと、水の塊は弾けてしまう。


 その為、アイアンアルマジロは弾き飛ばされることはなかったが、それでも転がって進んでいたスピードは完全に収まった。


 それを見てハルトは木属性魔法の拘束で二匹のアイアンアルマジロを拘束して身動きを取れないようにする。


 「コッコロ、ミルク。行くぞ!!!」


 『分かったわぁ。行くわよぉ!!』


 『僕も行くモー。モォォォーー!!!!』


 世界樹の棒に魔力を込め先端をハンマーヘッドに変えて、ハルトはアイアンアルマジロへと向かって行く。


 「うぉおおおおおおおおお!!!!!!」


 そして、振りかぶった世界樹の棒を先端のハンマーヘッドの重量を最大まで増やして振り下ろし、アイアンアルマジロの魔鉄と同じ甲羅に直撃する。


 「ギュィイイイイ!!!!!!」


 ガキィーーーンッと甲高い音が響き渡り、更に甲羅が割れた為、アイアンアルマジロは悲鳴をあげる。


 『ハルト、ミルクの追撃です。離れてください。』


 ナビィからの念話が入ると、ハルトは世界樹の棒の形と重量の変化を戻して、その場から飛び退くように離れる。


 すると、ハルトが離れてすぐに大きな亀裂が入り割れた甲羅へとミルクの突進がぶつかった。


 再度、金属同士がぶつかり合う音が響き渡り、そしてアイアンアルマジロの甲羅のひび割れが大きくなって行き、ミルクの突進によりアイアンアルマジロは気絶してしまう。


 『最後は私の番ねぇ!』


 丸々とした身体を浮かせて空を飛ぶコッコロが、アイアンアルマジロのひび割れた甲羅目掛けて突撃を行なった。


 アイアンアルマジロのひび割れた甲羅に魔力が込められ、更に魔力を纏う嘴の一撃で、アイアンアルマジロの甲羅はひび割れが起こったダメージもあり、大きく穴が穿たれる。


 その大きな穴へとコッコロは幾つもの卵を産み落として行った。


 「アイアンアルマジロから距離を取れ!離れるぞ!!ヒスイとプルンは防御を頼む!」


 未だに身動きが取れないアイアンアルマジロからみんなで距離を取って行った。

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