第239話

 倒したダガーアントに近付いてアイテムボックスに収納しようとした時、ナビィにアイテムボックスに収納するのを止められる。


 『脆くなったダガーアントの素材はそこまで価値はありません。ですから魔石だけ解体して取り出してください。』


 「この解体ナイフでも簡単に突き刺さるくらいだもんな。ヒスイ、プルン。協力して脆いダガーアントの魔石を取り出して置いてくれ。」


 『ませきだね!わかったよ!』


 『ぼくもかいたいだー!』


 ヒスイの酸攻撃を受けていないダガーアントだけを選んでアイテムボックスに収納していく。


 『ませきだよ!』


 『とってきたよー!』


 ヒスイとプルンがダガーアントの体内から取り出した魔石を受け取ると、ハルトたちはダンジョン探索に戻った。


 それから二回ダガーアントの群れと遭遇して倒していったハルトたちだったが、今度はこの階層から現れるボムコッコの群れと遭遇した。


 『とにかく爆発する卵から身を守りましょう。このイメージの魔法を発動してください。』


 ボムコッコをいち早く発見したナビィから魔法のイメージが送られてきた時にボムコッコたちが居る場所から拳大の白い卵が投擲される。


 『ハルト!早く防御を!』


 「分かってる!!!」


 世界樹の棒を振るいハルトたちを中心に風が吹き荒れる。


 吹き荒れた風によりこちらに向かって投げられたボムコッコの卵はあらぬ方向に飛んで爆発したのか爆発音がした。


 『まだ卵を投擲しているようですね。もったいない!』


 「ナビィ、このまま防いでいるだけじゃ駄目だろう。どうすればいい?」


 ボムコッコの投げる卵の射程範囲は三十メートルを超える為、今のままだとボムコッコの卵を避けながら進まないと行けない。


 どうすれば良いのかをすぐには思い付かなかったハルトは、ボムコッコのナビィに対策を聞く。


 『ここはヒスイとプルンに頑張って貰いましょう。』


 『ヒスイ、がんばるよ!なにをすればいいの?』


 『ぼくもやるよー!』


 ナビィから作戦がハルトたちに伝えられる。


 その作戦とはヒスイとプルンが協力して地面に穴を作り、ボムコッコに二匹で近付いてボムコッコを倒し数を減らしたらハルトが駆け付けるという作戦だ。


 そして、作戦は実行された。


 ヒスイとプルンが穴を土魔法を使い、地面を掘り進めて、今どの位置なのかをナビィから聞きながら囮になっていると、今まで投擲されていた卵が飛んで来なくなった。


 『ハルト、今現在ヒスイとプルンが強襲してボムコッコを攻撃しています。ボムコッコはヒスイとプルンに意識が向いているのか、今はハルトのことを気にしていません。今のうちに接近しましょう。』


 「ヒスイとプルンが頑張っているのか。なら、急がなきゃな!」


 周囲に吹き荒れる風の結界を解くと、ハルトは身体強化の強さを高めてボムコッコが群れていた大岩に向かう。


 風の結界を無くして改めて大岩の上を見てみると、ヒスイとプルンがボムコッコを襲っていた。


 プルプルの身体から生やした触手を振るい攻撃しているヒスイと四本の剣を振り回すプルンの二匹にボムコッコは慌てた様子を見せている。


 あまりに近くでボムコッコは爆発する卵の使用は出来ていない為、攻撃手段は少ないがボムコッコの嘴で啄まれてヒスイとプルンもダメージを受けているとナビィに伝えられる。


 「コケコッコーー!!!!」


 そんな話を念話で聞かされながらボムコッコに接近しているハルトにボムコッコの一匹が気が付いたのか鳴いた。


 「気が付かれたか!でもこうすれば!」


 ヒスイとプルンと戦っているボムコッコの内、何匹かが爆発する卵を投擲してきた。


 真っ直ぐに飛んでくるボムコッコの卵にハルトは風魔法を発動してこちらに来ないように風を吹かし操る。


 そうすると爆発卵の射線が変わり、ハルトの側を通ることなく何処かに飛んで行った。

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