第56話
異世界生活十三日目 四月二十五日第五風の日
朝起きてすぐにカーテンを開けて外を確認すると今日は雨は降ってはいなかったが雲が出ているのか外は暗い
「おはようナビィ、ヒスイ」
『おはようございます、ハルト』
「ナビィそれで今は何時なんだ?」
『朝の五時過ぎですよ』
「そうか」
浄化魔法と健康魔法を自分自身とヒスイに使いベットから起き上がる
「ナビィこの時間でも薬師ギルドは空いているよな」
『空いていますよ』
「なら早いけどヒスイに作って貰ったスライムウォーターやスライムジェルを売りに行くか。ヒスイはどうする、一緒に行くか?」
『……すぐに戻って来るのなら部屋にいるそうです』
「じゃあ行ってくるか。留守番頼むな、ヒスイ」
部屋の鍵をヒスイに預けると世界樹の棒を片手に持ち部屋を出る。一階に降りても誰もおらず食堂に居たトーヤに声を掛けてからそのまま大熊亭を出て薬師ギルドに向かう
外は朝が早いからか空気が冷たくフードを被っていない顔や頭部が少し冷える。人が少ない朝の大通りを早足で歩いていく
薬師ギルドに着いて中に入ると朝早いからか職員以外の人はいない。男性の職員しかいない受け付けに行く
「おはようございます。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「これの買い取りをお願いします」
ポーション瓶に入ったヒールスライムのウォーターとジェルを受け付けのテーブルに置いていく
「これは……ギルドカードを見せて貰っても」
「分かりました」
薬師ギルドのギルドカードを取り出して職員に渡す。渡された職員はギルドカードを確認するとすぐに返してきた
「あなたがハルト様ですか。ならこれがヒールスライムウォーターとヒールスライムジェルですね」
「そうです」
「少々お時間をください」
ヒールスライムの素材が入ったポーション瓶を持って奥に職員は向かう。それから少しして戻ってきた
「確認したらあのポーション瓶に入っていた素材は本物と確認が出来ました。これが代金の金貨三枚です」
「はい」
金貨を受け取り仕舞うって薬師ギルドを出ようとすると止められて一月に一回ヒールスライムの素材を買い取りが出来ないかと言われ承諾する
「ではヒールスライムの素材の買い取りの時間は月の第五風の日に売りに来ますね」
「分かりました」
今度こそ薬師ギルドを出て大熊亭に帰る。帰る道中広場を歩いて準備をしている屋台やもう売り始めている屋台を見ながら進んでいく
大熊亭に着き中に入るが一階にはいないが食堂には明かりが付いていた。食堂に居るトーヤに戻った事を伝えて部屋に戻ると部屋の鍵が閉まっていた
「あれ?開かないな」
『ハルト、少し待っていてください……もう良いですよ』
ナビィに言われて部屋を開けると今度はちゃんと開いた。部屋の中にいるヒスイがテーブルから身体を伸ばして触手の様にしていた
「もしかしてヒスイが鍵を閉めたのか?」
『そうですよ。ハルトの行動を見ていたので閉めることが出来たのでしょうね』
「それはすごいな」
ヒスイを撫でながら椅子に座ると治癒の枝を取り出して世界樹の棒の形を使いやすい様に変えて魔法の練習を始める。魔力を枝先に多く向かう様にしながら魔力を注いでいく
魔力がなくなりかけるまで治癒の枝に魔力を注いで治癒の枝から若葉や葉っぱが生えてきていた。枝から葉っぱを取りヒスイに薬草の茎と一緒に朝食として上がる
「ナビィ、今から瞑想をするから朝食の時間が来たら教えてくれ」
『分かりました』
魔力回復の為にリラックス出来る体勢になり瞑想をする。それからしばらく魔力回復の為に瞑想をしていると朝食の知らせをナビィから念話で知らされた
「教えてくれてありがとう、ナビィ」
『いえ、それよりも朝食に行きましょう、ハルト!』
ヒスイを抱えて食堂に向かう。食堂に着くと朝食をサーシャに頼むと飲み物を用意してヒスイを下ろしたテーブルに向かい椅子に座る
ヒスイをムニムニ触って朝食を待っていると思いのほか早く朝食がきた。朝食のスープとトーストしたパンで挟んだサンドイッチをヒスイにも分けながら食べていく
ナビィの食事の感想を聞きながら食べ終わるとちょうどそばに来たサーシャが食器を下げてくれたのでそのまま部屋に戻る
部屋に戻るとヒスイをテーブルに下ろして防具に着替えていく。防具に着替え終わるとヒスイを抱えて部屋を出ると食堂にいるサーシャに部屋の鍵を預けて訓練所に向かう
日が昇ってきたが雲が空を覆っていて薄暗い。門兵に冒険者ギルドカードを見せて門を出ると訓練所に向かう
訓練所の中には昨日、雨が降っていたのにも関わらず冒険者が泊まっているだろうテントが少ないがあった
「寒くないのかあれは」
『門が閉まるまでに間に合わなかったのか野営の練習でもしていたのでは』
テントを通り抜けて訓練所の奥に向かうと雨で濡れてぐちゃぐちゃになっている訓練所を歩きながら奥に着く
『ハルト、風魔法の取得の前にぬかるんだ地面を乾かしてからにした方がいいですよ』
「確かにぐちゃぐちゃたもんな。土と水の魔法でいいのか」
『そうですね』
「ならやるか」
ぬかるんだ地面に世界樹の棒を向けると地面から水分を取り除くイメージをして水属性の魔力を放出して地面から水分を取り除いていく。地面から水分を取り除き水の塊にして石の壁に向かって飛ばす。でこぼこになった地面を平らに整地するイメージをして魔力を放出して地面を動かしていく。整地が終わると魔力をそれなりに消費したからか二メートルくらいの範囲が乾いて平らの地面になった
「こんななんでいいかな」
『これなら大丈夫でしょうね。靴も汚れていますので浄化魔法で綺麗にしてから風魔法の取得を頑張りましょう、ハルト』
「そうだな」
浄化魔法を使用して靴を綺麗すると乾いた地面に座り瞑想で魔力を回復していく。その間にヒスイは水魔法の練習をナビィの指示を受けて周りの地面から水分を取り除いて地面を乾かす魔法の練習を始めた
魔力が完全に回復すると立ち上がり俺も風魔法の練習を始める。回復した魔力を使い世界樹の棒の先から魔力を放出して大量の魔力を使い少量の風属性魔力に変換する。変換した魔力を集めてそこから風を生み出すイメージをする
そこから魔力がなくなったら瞑想での魔力回復を繰り返し行いそれを数回繰り返しているととうとう風魔法が使えた
世界樹の棒の先に集めた風属性魔力から風が生み出され風が吹いている。風が生み出されたのを確認してもう一度やってみると変換する魔力の消費が減り先ほどよりも早くまた風を生み出した
「ふぅ、やっと風魔法も出来たな。ナビィ、これから魔法を早く戦闘に使える様にしないとな」
『それならやはり繰り返し魔法を使ってイメージと魔力の変換、放出を慣れるのがいいかと思います。世界樹の棒を使いますので木魔法の練習からするのが良いと思いますよ』
「最初はナビィがやったみたいに硬い種を飛ばす魔法のイメージでやってみるかな。使える様になればモンスターの素材も傷つきにくいし」
形は銃の弾、それを硬く、真っ直ぐに飛んでいくイメージをして木属性の魔力に変換して魔力を集める。弾丸の形の種が生成されそれが石の壁に向かい世界樹の棒の先から放たれる。放たれた弾丸種は石の壁に当たり砕けた
「出来たはいいけど魔法の発動までがやっぱり遅いな」
『熟練の魔法使いじゃなければ早く魔法を使えませんからね。ハルトも繰り返し行いイメージを持っと固めると良いですよ。それにまだ種の硬さも硬くないですからもっと硬いイメージをしてください』
世界樹の棒を使用しての木魔法の為か魔力の消費が非常に少なく昼食の時間までに魔力切れが一回しかなく魔力を瞑想で回復している時にナビィから昼食だと念話をされた
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