第12話
この世界だと362日で一年なのか
(今日は何日の何曜日なんだ)
『四の月の第3風の日です』
今日は4月13日ってことなのかな。少し肌寒かったし日本の気候とはやっぱり違ったのか異世界だし
(あのさどれくらいこの町にいようか)
『それならこれから1年くらいこの町でレベル上げやスキルの取得、能力値を上がる修行をするのはどうですか』
(そうだな。まだ弱いしな俺)
『近くには小さいですが魔境もありますしね』
(なあ、その魔境っていうのはなんなんだ)
『魔境とは魔力が溢れる土地の事を言います。そしてその様な土地にはモンスターが魔力により湧いて出てきますし魔境の中は広さが拡大されて外から見ることができる大きさよりも中の土地はかなり広くなります。ですのでいくらモンスターを狩猟しても数はほとんど減る事はないでしょうからレベル上げには最適な土地が魔境です』
(なんで魔境には魔力が溢れるんだ)
『それは星を巡る魔力が噴き出しているからですね。それぞれの世界樹が宇宙から魔力を取り込みそれぞれの属性の魔力をこの星に巡らせる事でこの星に自然魔力を循環させています。その循環している魔力が漏れ出して溢れる場所が魔境になります』
(そうなんだ。それで湧いて出るってどういう事なんだ。いきなりモンスターが魔境の中では現れるのか?)
『そうです。モンスターは繁殖で増えるのと魔力による自然発生で増える二つで数を増やしていきます。ですので魔境では魔力による自然発生で増えるモンスターの方が多いです。それにモンスターが生み出される瞬間は魔力が集まるのでよっぽど鈍くなければ集まった魔力に気づきますよ』
なるほどいくらモンスターを狩猟しても数が減らないならレベル上げにはいい場所ってことか
(でもこれモンスターを倒さず放置していたらモンスターが溢れるんじゃないのか?)
『そうです。なので放置しているとモンスタースタンピードを起こします。魔境でのスタンピードで溢れたモンスターを放置すると魔境が何故か広がったりモンスターたちの中には魔境を離れそのモンスターが生活できる環境で繁殖して数を増やすことがあります』
(迷宮以外もスタンピードを起こす場所があるのか……なんで魔境が広がるのかわからないのか?)
『はい、モンスターたちが住みやすい環境にするためにそうしているのかそれとも魔境の魔力で生み出されたモンスターの魔力に星の魔力が引き寄せられているのかよくわかっていませんね』
そっか……わからないのか……まあ知ってもあんまり俺には意味ない様な事だしな。それにしてもナビゲーションって長いよな
(ナビゲーションって長いからさ呼び方ナビィにしようと思うだけどどうだ)
『ナビィ……ですか?まあ構いませんけどそんな長いですか?』
(ほら戦闘中とかの時に呼びやすい方がいいと思うしな)
『なるほどそうですか……うん?なんか美味しそうな臭いがしませんか?』
確かにナビィが言う通り食欲が湧く様な臭いがしてきた
(もう夕ごはんが出来ているんじゃないか?もうそろそろ五の鐘が鳴る時間なのか)
『もうそろそろのはずです。下に降りますか?』
(鳴ってからでいいんじゃないか)
鐘の音が鳴るまでナビィと念話をしながら待っているとゴーンゴーンと鐘の音が聞こえてきた
(鳴ったな……降りるか)
『夕ごはんはウサギのシチューでしたね。どんな味か楽しみです!』
一階の階段を降りていると他にも宿の客が居りサーヤちゃんが夕ごはんを運んでいるのが見えた。一階に降り空いているテーブルに座るとサーヤちゃんがこっちに来た
「ハルトお兄ちゃん夕ごはん持ってきていい?」
「お願いサーヤちゃん」
「うん、じゃあ持ってくるね。今日はシチューなんだよ。お父さんのシチューは美味しんだから!」
「それは楽しみだな」
サーヤちゃんが厨房に向かって行くのを眺めこっちに夕ごはんを持ってくるのを待つ。それから直ぐに夕ごはんが乗っているお盆を持ってサーヤちゃんが戻ってきた
「持ってきたよ。これがウサギのシチューでこれがサラダとパンだよ。それとねこの水はポルゴ水だよ」
「美味しそうだな」
「ハルトお兄ちゃんちょっと待っててわたしの分も持ってくるから!」
そう言ってまたサーヤちゃんが厨房に行くのを見てから目の前にある夕ごはんを見る。サラダは葉物野菜のサラダでドレッシングがかかっておりパンは丸い形のパンだ。メインのシチューは一口サイズのウサギ肉やジャガイモ、ニンジン、タマネギがゴロゴロ入っているのがわかり早く食べたくなってくる。サーヤちゃんがくる前に一口ポルゴ水を飲む。
「うっ!酸っぱいなこの水」
『本当ですね。ポルゴ水と言っていたので予想はしてましたがですが口の中で爽やかな香りがしますね』
(ポルゴって酸っぱい果実なのか?)
『はい、調理しないと食べられない物です。皮膚に付くとその場所が溶けますからね。これはちゃんと調理されてるから大丈夫ですよ』
(そんなのがあるのか)
夕ごはんを見ながらポルゴ水を飲んでいる間にサーヤちゃんは自分の分の夕ごはんを持ってきて向かいの席に座った
「じゃあ食べようハルトお兄ちゃん!」
「ああ、でも配膳の仕事があるんじゃないのか」
「もともとわたしも夕ごはんの時間だったから食べ終わってお母さんが忙しかったらわたしも配膳を手伝うだよ。お母さんもほらこっち来たでしょ」
確かに厨房からサーヤの母親がこっちに来たのが確認できた
「サーヤお客さんの食事の邪魔しちゃダメでしょ」
「ハルトお兄ちゃんわたし邪魔なの」
サーヤがこっちを上目遣いで見てくる
「邪魔じゃないから大丈夫ですよサーヤちゃんのお母さん」
「そうですか?それならいいのですが」
そういったやり取りをしていると数人の客がやってきた。その客の方にサーヤの母親が行き接客をしている間に夕ごはんを2人で食べる
「じゃあ食べよっかサーヤちゃん」
「うん、いただきます!」
「いただきます」
『これって私もやる方がいいんですかね。いただきます』
まず最初にメインのシチューを食べる。木のスプーンを使いウサギの肉をシチューと掬い口に入れ食べる
「美味しいな」
「そうでしょ!もっといっぱい食べてよ!」
『肉が噛む毎に口の中で肉の旨味が溢れるこのシチューのルーの味も肉の旨味に負けず合わさる事でこの味を出しているのでしょうか美味しいですねこれは!』
今度は木のホークを使いサラダを食べる
「このドレッシング酸っぱいな」
「それねポルゴの果汁が少し入ってるんだよ。だから酸っぱいんだ」
『このドレッシングはポルゴの果汁をベースに塩や砂糖、胡椒、オリーブオイルが入っていますね。ポルゴの爽やかな香りが口の中のサラダを噛む毎にする。これはいいですね』
次はパンを千切りシチューに漬けて食べる。パンは温かく堅いパンかと思ったが簡単に千切れる。千切ったパンをシチューに漬けて食べる
「シチューを漬けて食べると美味いな」
「パンだけでも美味しいんだから食べてみてよハルトお兄ちゃん」
『パンの香ばしい香りとシチューの味がしますね。噛む度にパンの表面がパリパリし中が柔らかくこれも美味しい』
「わかったパンだけで食べてみるよ」
一口ポルゴ水を飲んで口をさっぱりさせてから今度はシチューに漬けずにパンを食べる
「漬けなくても美味しいな」
「でしょ!美味しんだからね!」
『これは外はパリっと中はしっとりしてますね。これは小麦の味なのですか』
「そういえばハルトお兄ちゃん冒険者ギルドに登録したんでしょどうだったちゃんとなれた」
「ちゃんとなれたよ」
「ギルドカード見せてよ!」
周りはこっちを気にしていない様だし見せてもいいかな。冒険者ギルドカードを取り出しサーヤに見せる
「わー綺麗な色だね。緑色?」
「そうだな。戻すから」
「もうちょっと見たかったなー」
「また今度なまだ食事中だし食べよう」
サーヤと今日あったことを話しながら夕ごはんを食べていき最後にはシチューの入っていた皿をパンで皿に残っていたシチューを取って食べポルゴ水を飲み口をさっぱりさせる
「「『ごちそうさまでした』」」
「ハルトお兄ちゃん食べ終わったら食器はお盆ごとあそこのカウンターに置くんだよ。ほら一緒に行こ」
お盆をカウンターに持って行く。どんどん大熊亭には夕食を食べる為に客が来ていた
「わたしはこれから忙しくなりそうだから仕事に戻るね」
「わかったよ。夕ごはん作ったのサーヤちゃんのお父さんだろ美味しかったって伝えといてくれる?」
「わかった伝えとくね」
「サーヤちゃん仕事頑張ってね」
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