第5話
ローブを着込み腰に収納袋を着けアイテムボックスから170センチほどの世界樹の棒を取り出し結界の側に進む。結界を触ってみようと手を伸ばすとスッとすり抜けた
「壁みたいになっているのかと思ったけど簡単にすり抜けるんだな」
『この結界はモンスターを近づけない様にする退魔結界と生き物の認識を阻害する認識阻害結界と結界そのものを隠蔽偽装する隠蔽偽装結界の三つの複合結界で作られた結界ですので気づかれません。しかも偽装結界の方は結界から出ていきなり現れたと騒ぎにならない様に一時的にハルトにも隠蔽がかかるので安全ですよ』
すごい結界なのはわかったな。俺も結界を張れれば野宿する様な遠出もらくになりそうだな
「そっかリフラス様もすごい結界を張ったんだな。じゃあ行くか」
結界を出ようとした時に【ナビゲーション】が少し慌てた様に声をかけてきた
『ハルトもしかしたらすぐにモンスターが現れるかも知れないので警戒をしてください!』
「わ、わかった」
結界を出る前に辺りの草原を見渡すが見渡せる範囲にはモンスターはいなかった
「いなさそうだな。じゃあ行くか」
『はい、でも気をつけてください。この近くの町はそこそこの大きさの町なので下水処理の為の下水道がありますからネズミのモンスターやスライムはいると思います。ネズミのモンスターは地面の下に巣を掘って作るのでいきなり下から襲われるといけないですからね。なるべく早めに街道に出ましょう』
ネズミのモンスターがいるのか。下にも気をつけないといけないか走ったりは出来なさそうだな
「うん、わかった。ありがとう気をつけるよ」
ネズミのモンスターに気をつけながら結界の外に一歩踏み出した。結界から出ると結界がピシッピシッと音を立てて崩れ光の粒になって消えた
「結界が消えた。結界の制限時間がきたのか?」
『いえ、ハルトが結界を出たから結界が消えたのでしょう。足元に注意しながら行きましょう』
「ああ、そうだな」
草原の草は膝から半分くらいの長さなのでネズミの巣穴があっても見つかりにくそうだ。世界樹の棒が地面に当たるくらいに左右に振りながら街道を目指して進む
それから少ししてネズミに遭わずに無事に街道まで着いた
「ふぅ、ネズミは出なかったな」
『そうですね。ですが街道に出たからといって安心はできませんよ。草むらから襲いかかってくるかもしれませんから町に着くまでは気を抜かないようにしてくださいね』
「わかった気を抜かないよ」
そのまま街道を歩いて行く。町からデカいトカゲが引いている馬車がこっちに向かってくるのを見て端に移動しながら町に向かい歩いて行く
「ナビゲーション今の馬車を引いていたデカいトカゲはなんなんだ」
『地走りトカゲですね。おとなしい草食のトカゲです。調教師が調教したか馬車の操縦者がテイムスキルを持っているのかも知れません』
「あの図体で草食なのか。肉を食べそうなくらいデカいのにな」
『ですが野生の地走りトカゲは戦うと中級の冒険者でも危ないらしいですよ』
「かなりの速さで馬車を引いていたし馬車がなかったらもっと早いだろうな。それにしても草原内を人がちらほらいるなあれは冒険者なのか?」
草原内を人がしゃがんでいたり剣や槍の様な物を振っていたりしている人を見かけるようになった
『成り立ての冒険者ではないでしょうか。薬草採取やネズミと戦っているのでしょうね』
「町もだいぶ近づいてきたしな。俺も冒険者になったらああいう風に町の外でネズミや薬草採取をするのか」
冒険者達を眺めながら町に進む
『そうですね。世界樹の迷宮を攻略する為にも最初はいろいろなスキルの取得をする為にも少しずつ積み重ねながら頑張りましょう』
町に近づいて行くと五メートルくらいの高さの石壁と門やそれを守るための兵士が見えてきた
「おお!デカいな。これ全部石でできているのか?」
『土属性の魔法で作ったんだと思いますよ。それよりもこれからは人もいますし私への返事は私に心の中で話す様にしてください。それで私に聞こえますから』
(こうして心の中で話す感じですればいいのか?)
『はい、それでいいですよ』
(じゃあ町に入ろうか)
『待ってください。まだハルトは身分証を持っていません。ですので町に入るには銀貨三枚を支払う必要があります。あの警備をしている兵士に町に入るための許可書を貰いましょう』
(兵士に話しかければいいのか)
『はい。そうしなくても町に入るには兵士にギルドカードを見せる必要がありますから冒険者になっても出入りの時はギルドカードを見える様にするといいと思いますよ』
(じゃあ行くか)
町に入ろうと開かれている門を通る為に門を警備していた金属鎧着ている兵士に近づいて話しかける
「すみませんまだギルドカードを持っていないので町に入る為の許可書をお願いします」
「そうか用意するから少し待っていてくれるか。スコット許可書の用意をするからそこの坊主を見ててくれ」
「おう、マークわかった。行ってこーい」
話しかけたマークと呼ばれた兵士が離れて行くともう一人のスコットと呼ばれていた兵士が近づいてきた
「じゃあ少しだけ待っていろよ」
「はい」
待っている間に門の向こうを覗いていると結構人がいる様だ
『ハルト待っているだけでも時間がもったいないですしあの兵士に冒険者ギルドの場所や宿屋の場所でも聞いたらどうですか?』
「(そうだな)あの聞いてもいいですか?」
「ん、なんだ」
「この町の冒険者ギルドの場所と一人部屋のあるご飯の美味しい宿屋を聞きたいんですけど」
スコットは顎の髭を撫でながらこちらを見て答えた
「ああいいぞ。冒険者ギルドはこのまま門から真っ直ぐに進めば広場があるそこから左に曲がり進むと魔境側にある門の近くにある。その中でも一番大きい建物があるからすぐにわかるだろう。それに看板もあるから見たらすぐにわかるだろうな。宿屋の方はなあ、一泊銀貨二枚するが美味しい所があるよ大熊亭って名前だ。そこはよく昼飯を食べに行くからな美味いのは保証する。場所は冒険者ギルドがある通りにあるから冒険者ギルドに行くなら途中にある熊の形の看板があるからそこだ」
「(とにかく真っ直ぐ行けば冒険者ギルドも宿屋もあるのがわかったな)教えてくれてありがとうございます」
「おう、こんくらい別に構わねえよ」
話が終わる頃に最初に話しかけたマークが何かの結晶と共に戻ってきた
「待たせたね」
「いえ、大丈夫です」
「そうかい、じゃあさっそく許可書を渡す為に幾つか質問があるこの結晶を持ってくれ」
「はい(【ナビゲーション】この結晶なにかわかるか)」
マークに結晶を渡され持つ
『これは真偽の結晶ですね。本当のことを言うと青く光り嘘を言うと赤く光ります』
「じゃあ質問をするね、はい、いいえで答えてくれ。君はこの町に危害を与えるかい?」
「いいえ」
結晶がフウっと青く光るのが見えた
「次の質問だ。君は犯罪歴があるかい」
「いいえ」
また結晶が青く光る
「最後の質問だ。君は何しにリコプスに来たんだい」
「冒険者になりにきました」
結晶が青く光るのをマークは確認すると頷いて鉄で作られた許可書を取り出し渡してきた。結晶を渡して許可書を手に持つ
「これが入門許可書だ。それは三日間入場許可が出ているがそれが過ぎると不法滞在になるそれまでにギルドに行きギルドカードを作って貰ってきてくれ作り終えたら許可書は門にいる兵士に返してくれ」
「わかりました」
「ああ、許可書での入門は銀貨三枚かかるぞ」
隣にいるスコットに言われ収納袋から銀貨三枚を取り出して渡した
「リコプスにようこそ」
スコット達にそう言われながら門を通りリコプスの町に入った
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