たまには我儘くらいいいじゃないか!と好き勝手やってみたら周囲から呆れられる不思議
前回のあらすじ
レベッカ「やっぱりお風呂は恥ずかしい(/// ^///)」
アイト「お嬢様の身体に汚れは残しません!」
□■
「私、街に行きたいな」
レベッカは朝、外の景色を見ながらそう呟く。
アイトはレベッカの言葉に少し考える素振りを見せるが、すぐに否定的な表情を見せる。
「ダメですよ。街は人も多いですし、僕がお嬢様を守れなくなったらどうするつもりですか」
「大丈夫だよ。私アイトのこと信じてるから」
全面的にアイトを信じている。レベッカはアイトにそう伝えて街に行きたいと意思表明をするが、
「お嬢様が信じていてもダメです。そんな綺麗な銀髪の女の子なんてこの領地にはお嬢様しかいないのですから。絶対に狙われますよ」
アイトにとっての問題はそれだった。銀髪の女の子。それが示すのはレベッカであり、悪魔の子だ。故に屋敷程ではないだろうが、それなりに非難の視線を向けられるだろう。
そうなると、折角の外出が気分の悪いものになってしまう。それをアイトは危惧したのだ。
だが、レベッカの好奇心は止まらなかった。
「だったら、髪の色さえどうにか出来ればいいんだよね?」
レベッカはそう言うと立ち上がって髪に触れながら
「"
自分の銀髪を青色に変えてしまった。
レベッカが使った魔法は幻術の類で、実際に変化した訳では無いが、視覚的にそう見える、という話しだ。
屋敷の中で髪色を変化しても、顔がバレているので対応は変わらない。だが、顔があまり知られていない街ならば、髪色を変化するだけで対応は大きく変わるだろう。
「どう?アイト。これで街に出られるかな?」
これで銀髪という髪の問題は取り除いた。
アイトはここで少し悩む。髪の問題が解決できても、街は人が多い。勿論人混みもある。
だが、レベッカにはアイトが直接戦闘指導もしている。近接戦こそ出来ないが、魔法戦ならばなる程度戦える。チンピラや盗賊に遅れをとることはないだろう。
「はぁ………しょうがないですね」
アイトが折れたことにより、レベッカは歓喜の表情を顕にした。
「ありがとう!アイト」
「いいですよ。それで、直ぐにでも出発しますか?」
「うん!」
レベッカは寝間着から外出用の服に着替えた。
レベッカに豪華な服を買い与えられることはないので、一般市民が着ているような、質素な服だ。
レベッカは今、そんな服を着ながら、アイトと一緒に街中を歩いている。
「街ってこんなに賑やかなんだね!私、今まで来たこと無かったからすごく新鮮」
レベッカは楽しそうにしながらアイトと手を繋いでいる。
ちなみにアイトも執事服ではなく、私服だ。流石に執事服で出かけているとレベッカのことが周囲にバレると考えた故の行動だ。
「あまりはしゃがないでくださいね」
アイトはそう言いながら、今にも走り出しそうなレベッカの手を引いた。
「…えっ」
そしてレベッカを胸の中で抱きしめた。
「ちょっ………アイト………」
レベッカは顔を真っ赤にしながらアイトを見上げる。
「お嬢様はおっちょこちょいなんですから。逸れないでくださいね。なんのために手を繋いでると思ってるのですか」
普段のレベッカなら、その言葉に小言の一つでも言っただろうが、今はそれどころではなかった。
(アイトの、心臓の音………)
ドク、ドクと。一定のテンポで奏でるその音を聞いているだけでレベッカの心は和らいでいった。
「お嬢様?」
心臓の音を聞いているレベッカの頭上から、アイトの困惑したような声が聞こえ、慌てて離れた。
「ご、ごめんね。気をつけるから」
顔を真っ赤にしているレベッカに疑問顔を浮かべたアイトだったが、直ぐに気を取り直して二人で歩き出した。
□■
Q.あれ?ここって異世界なの?
A.異世界だよ!?
Q.レベッカの魔法の腕前は?
A.アイトが直接指導したのでプロです。魔力総量も多いので知られてないけど結構な実力者
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