ジン2

アイリスの支援をしろと言われてとにかく皆んなの所に向かった。アイリスは皆んなに慌てず行動する様呼びかける。


アイリス「何処から次が来るのか分からないから気を付けて!なるべく2人以上で対処して!1人では戦わない様に!」


オード「お前達!引くな!ここで下がれば村に被害が出るぞ!冷静に動けば負けはしない!」


オードも何とか頑張って取り巻き連中と連携して凌いでる。不意に剣が振り下ろされた。俺は受け流し、反撃するが避けられる。油断していたつもりは無いが中々の身のこなしだった。

人に近い姿で、肌の色は褐色。それ以外にも色々と違いがある。角がある奴や耳が尖っている奴もいるし、種類も様々な様だ。そう考えると色々興味が出る。じっくり観察していたいけど今はそれどころじゃない。

相手は3人、全員が片手剣だけど盾は装備していない。片手が空くなら防御に使う発想は無かったのか?俺は助かるけど。

1人が剣を大振りで振り下ろしてくる。軌道もわかりやすく左に回避する。だけどその直後更なる追撃が来る。俺はここに来て誘導された事に気付く。

俺は剣を振り上げ弾くと、相手は弾かれた勢いで後ろに退がる。そして今度は3人目が現れ突きを繰り出す。俺はその3人目の突きを受け流し、蹴りを出すが躱される。続けて最初の1人が追撃を開始する。俺は受け止め鍔迫り合いになるが押し返す。3人は横並びで立ち俺を睨む。


魔族1「中々やるな。貴様が"光の聖騎士"を得た男だな?」


魔族2「貴様を倒して手柄を上げる。それが我等の使命だ。」


魔族3「覚悟しろ!」


3人で分けて話す必要あるのか?そんな疑問が頭をよぎるが、連携は悪くない。油断したらやられているだろう。今の所無事なのはシリウスが俺を鍛えてくれたからだと思う。今改めて実感する。あいつが俺を鍛えてくれたのは今日この時の為だ。


ジン「覚悟は出来ない。お前達に勝ってあいつを助けに行かないといけないからな。」


魔族1「ふん!舐めるなよ!」


魔族2「我等3人、魔族軍に於いて連携させれば右に出る者無しと言われている。」


魔族3「その我等3銃士!簡単に勝てると思うな!」


何かあだ名まで言い出した。


ジン「どうでも良いけど早くかかってこいよ。」


何処から出したのか剣が2本になった3人目が突っ込んで来る。3人目が右の剣で攻撃して来る。それを受けると続けて左の剣で攻撃して来る。そのタイミングを狙ったのか、2人目が俺の左側から斬りかかってくる。俺は直ぐに3人目の初撃を弾き、追撃も受け流す。右脚で回し蹴りを入れ、そのまま2人目に3人目をぶつける形で抑え込む。1人目がいつの間にか後ろに回り込んでいた。1人目の剣を振り向きざまに打ち落とし、1人目との距離を詰めその左肩を掴み左足を払い地面に叩きつける。


魔族1「ぐは!」


魔族2「くそ!中々やるじゃないか!」


魔族3「だが我等を殺せぬならこの戦い終わらぬぞ!」


確かにこれくらいじゃ退かないだろう。だけど俺は魔物の延長と言われている魔族でも殺すべきか迷っていた。


エリス「光の聖騎士というからどんな奴かと思っていたが、大した事は無さそうだな。」


ジン「あんたは?」


エリス「3魔将が1人、エリス・ブライトだ。覚えておく必要は無いぞ。今日死ぬ者には意味が無いからな。」


会話が終わるとほぼ同時に仕掛けて来る。相手は細身の剣だ。俺のパワーで押し切れば倒せる。そう思った時、前にシリウスに言われた事を思い出した。


{シリウス「剣は基本、斬るか突くかだ。その点素手は殴る蹴る、頭突きや肘撃ちに膝蹴り、踵とかの骨を当てたり、後は投げってのもある。技の数としてはかなり多彩だ。」


ジン「じゃあ素手の方が有利か?」


シリウス「いや、ある人が言ってたけど。武器を使えば人は最強になれる。でも武器を失えば最期に頼るのは己の肉体だ。ってだから素手で戦えるのは大事さ。でもこんな世界だ。素手はあくまで護身にしかならないよ。だから素手が有利とは言えないと思う。要するに武器は無いよりあった方が良いって話さ。」


ジン「武器があっても無くても俺ならパワーで押し切るな。」


シリウス「それでイケる奴は良いと思う。でもそうとは限らない場合だってある。だから剣でも、斬撃や刺突とか動きを組み合わせて色んな技巧で攻めるんだ。お前が使わないとしても誰かは使うって事を念頭に置いて備えておけよ。」}


俺は踏み込む。全体重は乗せず軽く剣を振り下ろす。エリスって奴はそれを受け流すと同時に、手首を回転させ俺の首を狙う。俺は身体を伏せて躱すけど、今度は腕を引き軌道を変え、俺の腹目掛け刺突を放つ。俺は剣で受け止める。流石に驚いたのか目を見開いて後ろに退がる。


エリス「思っていたよりやるじゃないか。」


ジン「師匠に油断するなって言われてるからな。」


ドカンと凄い音がしてそっちを見る。


ジン「シリウス!」


俺は走り出そうとするが、腕を掴まれる。振り向くとアイリスが俺の腕を掴んでいた。


アイリス「行っちゃ駄目!まだ戦闘中よ!後ろから攻撃されたらどうするの!」


理解はしてる。だけどそんな事言ってる場合じゃない。このままだとあいつが殺される。その時どう考えても重傷だったシリウスが起き上がる。驚いて見ていると目が合う。そしてしっかりとした感じで頷いた。どうやったか分からないけどあいつは回復したんだ。あの数秒で。俺は安心して敵に向き直る。


エリス「馬鹿な!あの男は化け物か!」


ジン「俺の友達で師匠さ。俺もどうやったかは分からないけど、どうやら大丈夫そうだ。」


すると今度はシリウスが第一師団長に傷を負わせたみたいだ。


エリス「ドワイト様!」


魔族1「ここは我等にお任せ下さい!」


エリス「すまん!」


さっきはっ倒した魔族達が立て直したみたいだ。ただこっちにも援軍が来た。


オード「無事か!ジン!」


ジン「おお!何とかな。」


オード「ここは任せろ!お前はあっちを!あの隊長格を倒せばこの戦いは終わる。」


ジン「おう!分かった!」


オードにこの場を任せ、向かうとシリウスがあの第一師団長から引き離されてる。俺は意識を集中して剣に魔力を込める。込め終わると同時に俺は走り出す。流石に意表を突いたからか師団長も驚いていた。しかし直ぐにハンマーを構え防御体勢に移る。

だけど俺は見つけた。奴の武器の柄に斬り傷があったのを。多分シリウスが付けた傷だ。俺はその傷目掛け全力で剣を下ろす。ハンマーを破壊し、俺は奴を斬り付ける。


ドワイト「ぐぁ!」


呻き声を上げ後ろに倒れる。師団長に集中し過ぎてここである失態をする。例の敵将の事をすっかり忘れていた。すかさず攻撃を仕掛けて来る。だが俺は案外、運が良い。


アイリス「は!」


エリス「く!」


アイリス「大丈夫?」


ジン「悪い、助かった。」


アイリスが助けてくれた。そのままアイリスが加わり俺とシリウスで3対1だ。俄然、俺達が有利になった。そこでシリウスが言う。


シリウス「もう終わりだな。」


ニヤリと笑いながら言った。いきなりの奇襲で大変だったから、少し余裕が出来て言いたくなったのは分かるけどその言い方だと


アイリス「貴方、何か悪党みたいよ。」


シリウス「え!」


アイリスも同じ事を考えていた様で注意していた。あまり言い過ぎるのは良く無いとは思ったけど言わずにはいられなかった。


ジン「俺も今のはどうかと思う。」


シリウス「は?」


俺に言われてからシリウスが"俺が?そりゃ善人なつもりは無いけど。"とブツブツ呟いていた。とりあえず今は置いておこう。


ジン「これで3対1だ引くなら今のうちだぞ。」


アイリス「見逃すの!」


ジン「こいつら魔物と同じ扱い受けてるけど。俺にはそんな風に見えないんだ。」


アイリス「ジン。」


エリス「甘いな。後悔するぞ。」


ドワイト「退くぞ!次は無いぞ!光の英雄。」


何処からか笛の音が聞こえ魔族達は撤退して行った。

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