王都到着

色々とあったが前日に何とか王都に到着し、そして王様へ謁見という事になった。今更だけど謁見の申請をしたのは昨日の今日だ。なのに何故か謁見の間には王国の一部の貴族が集まっていた。集まれと言われても直ぐには来れないだろう暇だったのかそれともたまたま居合わせたからか。そんな事を考えていると王様が入ってきた。貴族達が平伏している。俺もやっとくかと考えて平伏する。


ゲイツ「お前何してんだ?」


俺「いや、あんたこそ何してんだ?」


頭を下げる俺と下げない団長。


ゲイツ「俺がやり方を知ってる訳無いだろう。というかお前良い所の坊ちゃんか?」


俺「そういう問題じゃないと思うけど。その内マジで不敬罪で首切られるぞ。」


ゲイツ「考えとくよ。」


王様「良くぞ集まってくれた。感謝する。ゲイツよ。相変わらずだな。連れの子供の方が礼節を弁えているとはな。」


ゲイツ「俺の育ちの悪さは前から知ってるだろう?今更それを言うかよ?」


王様「まぁ、良い。それで緊急とあったが何があった?」


ゲイツ「最近討伐した魔物が人の言葉を話す奴でな。噂じゃそいつの出現が魔王が現れた兆しらしいじゃないか?正式な形じゃないみたいだが宣戦布告だと思うぞ。」


部屋の貴族達が騒ぎ出す。"あの話は本当だったのか?"とか"今直ぐ対策を考えなければ"という声が上がる一方で"軍備増強の理由に使おうとして嘘を吐いてるでは?"と言う奴もいる。証拠がないと納得出来ないのがいてもおかしくはない。


ゲイツ「倒しちまったから証拠は無いが証人がいる。俺とこの小僧だ。小僧に至っては証人ってだけじゃないぞ。その喋る魔物を倒したのはこいつだからな。」


王様「ほう、その子供が倒したのか?」


貴族1「ならば大した事はなかろう。」


貴族2「少々驚きましたが、その程度なら安心ですな。」


信じて無いのか?どちらにしても俺達に好意的な貴族はいないし、応援は望めそうに無いな。


王様「フリードどう思う?」


フリードというとアイリスの親父さんか、この場にいたんだな。集まれる貴族だけ集めたなら王都の屋敷にいた親父さんが参加しない訳には行かないか。


フリード公爵「は!そこの者達の話を裏付ける証拠はありませんが、魔物の大量発生について幾つか報告が上がっています。辺境4都市の戦力増強は必要かと。」


アイリスの親父さんは意外とこっちの味方をしてくれている。ありがたい。


王様「しかし正規軍を使う訳にはいかぬ。よし冒険者を使おう。」


貴族3「おお!流石は陛下!妙案ですな。」


何処の世界にも腰巾着はいるもんだ。カラオケの合いの手と大して変わらない感じで言う。


ゲイツ「おいおい、俺達だって色々大変なんだ。冒険者様の施設なんて建てる資金は無いぞ!」


貴族2「お主は相変わらず不遜よな。それくらい貴様で何とかしろ!」


王様「まぁ、良い。ここは国庫から出そう。辺境都市が潰れれば王都が危険に晒される。それは避けねばな。」


貴族1「おお!陛下は寛大ですな!良かったな傭兵、感謝せよ。」


上から目線でモノを言ってるが、あんたは何もして無いだろう。

結果としては魔王が現れた証拠は無いが魔物の数は増えているという理由でとりあえず冒険者、民間の機関に委託みたいな話で終わった。大した話はして無いから1時間とかからず謁見は終了となった。


ゲイツ「王都に来て謁見の申請までしておいて何だが、来る必要無かったかな?文書だけ送っときゃ良かったぜ。」


俺「でも後々揉めるかもしれないんだろ?それを考えると必要だったんじゃないか?」


ゲイツ「はぁ、そうだな。・・・とりあえず帰るか。」


帰る前にアイリスに挨拶する為、公爵邸に向かう。


俺「これから辺境都市に帰るから挨拶に来た。色々世話にもなったし。」


アイリス「うん。ジンの事はとりあえず私が面倒を見ておくわ。ジンのこれからの舞台は基本学園だしね。」


俺「課外活動的なイベントは手伝えると思うから何とかフォローしに行くよ。」


アイリス「うん。でも気を付けて。多分この後の戦争パートはそっちの辺境が先だからね。」


俺「ああ。」


挨拶の後、俺達は行きで送ってくれた商人と一緒に辺境都市に帰った。行きと違い戦闘は無かったが、宿代も無いから野宿になった。何とも悲しい。そうこうしている内に都市に戻った。住めば都と言うが案外自分の部屋が落ち着く。不思議だ。その日はそのまま就寝して、次の日に会議室での報告会をする事になった。


ティム「って訳で今日まで魔物に動きはそこまで変わって無かったぞ。このまま何も起きないって事は無いと思うがな。」


ゲイツ「分かった。じゃあ今度は俺達王都組だな。小僧!報告!」


俺「俺がすんの?」


ゲイツ「俺は取り仕切る係だから。第一そういうのは立場が低い下っ端の仕事だろ!」


俺「それパワハラだぞ!」


ゲイツ「パワ何だって?とにかく報告!」


パワハラの概念が無かったか。仕方なく聞いた話を聞かせる。皆が微妙な顔をしていた。施設を作っても冒険者が来るのか?治安は維持できるのか?そもそもどうやって施設がある事を他の街の冒険者に伝えるのか?と色々な疑問が出た。何より直近の問題は今戦力が欲しいのにいつ戦力が増えるのか?つまりは圧倒的に足りない人手をどう増やすのかという事だ。


ゲイツ「冒険者達に対しての通達はギルド経由で伝えるらしいが、とにかくしばらく援護は来ないだろうな。」


ティム「そんなの今までと変わらないじゃないか。やってられないな。」


ゲイツ「俺に言うなよ。しょうがないだろ?

あいつらはこっちの苦労なんて一切考えてないんだからよ。」


ティム「まぁ、別にあんたが悪いとは思ってないけど。もう少し何とか出来ないのかね?お貴族様は。」


ゲイツ「そればっかりは何とも言えねぇな。」


今後の方針としては施設を建てる敷地の確保と戦闘については今まで通りに頑張る。という感じで、会議の必要があったのか?と聞きたい結論で終わった。

これからは本格的に戦争が始まる。魔王軍はこの都市だけでは無く。他の3都市でも戦争が開始され、その内真ん中にある2つの都市が突破され王国全土で魔物の数が増え出す。多分この流れは変えられないだろうし、俺だけじゃ手が足りない。俺に出来る事は限られてるからな。

ここからは更に気合いを入れて頑張ろう。嫌だけど。

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