第32話 鍛冶工房
スタントンとローレリーヌが洋館へたどり着くと、早速おのおの勝手に行動を始めた。収集が付かなくなる前にローレリーヌを捕まえドリアードと引き合わせた。
「珍しいお客様ね」
とドリアードはマイペースに現れた。しかし、庭を荒らさんとばかりに動き回るローレリーヌを見て、植物を操り捕まえると。
「ちょっとこの子にここのルールを教えるから借りていくわね」
と言ってローレリーヌを連れて行ってしまった。ローレリーヌはドリアードに任せることにしてシゲヒロは洋館の中へ戻り、スタントンを探す。するといつもは地下で作業をしている元奴隷の男の子、アーロンが走ってきた。
「お兄ちゃん。地下にちっちゃなおじさんが来て、仕込む前のお酒飲んじゃった」
シゲヒロは急いで地下に下りるとそこには子供に囲まれながらもそれを無視し酒を飲む駄目親父の姿があった。シゲヒロはスタントンに拳骨を落とし、正気に戻す。
「勝手な行動しないでください。お酒抜きにしますよ」
そう言うと、泣きながらどけ座をして謝る小さなおじさんの姿がそこにはあった。その姿を見て元奴隷の中で年長の女の子であるアゼレアがみんなを引き連れて上に昇っていった。
「ちなみにさっき飲んだお酒は僕の作ったお酒ではありませんよ」
と言うと、急に元気になりどけ座のポーズのまま話しかける。
「お願いします。一口だけでも飲ませてください」
こうなることは分かっていたが、実行せずにはいられなかったシゲヒロは今後、勝手な行動をとらないことを条件に少しだけウイスキーを飲ませた。すると。
「かぁぁぁぁ。こんなうまい酒飲んだことないぞ。これがいつでも飲めるのか?」
「いつでもは飲ませませんよ。許したらスタントンさんは際限なく飲み続けるでしょうが」
「なんじゃい。ケチじゃのう。それよりさん付けで呼ぶのはやめてくれ。儂は奴隷なんじゃから呼び捨てでいいわい」
その後、風呂に入り夕食の席でみんなにスタントンとローレリーヌを紹介した。二人は子供たちに質問攻めにあいながらも楽しそうに話していた。
その後、子供たちが寝静まった頃、スタントンと鍛冶工房について話を始める。
「僕は鍛冶については全くの素人なのだけれど、建てるにあたって金貨五十枚で足りるのかな?」
「儂も外に出るのは久しぶりじゃからの。今のお金の価値を知らん。だがせっかく作るのであれば良い素材を使って作りたいのう」
「いい素材って例えばどんなの?」
「レンガを作る土なんかじゃな。ローレリーヌがおることじゃし、魔力のこもったレンガを作れると一番よいのぅ」
その時、シゲヒロには人工物に限り魔力を付与する力と魂、精霊を憑依させる力を授かっていたことを思い出す。それをスタントンに伝えると。
「それはちと規格外じゃのぅ。付与魔法を使うにはその素材の魔力を使用するのだがの。その素材を手に入れるのが一番難しいのじゃ。それをお主の能力で簡単に解決できる。まあ限度はあるじゃろうがの。とりあえずはレンガに魔力を込めてもらって工房を作る準備から始めようかの」
ほかに案もないため次の日からスタントンは大量のレンガ造り、シゲヒロはレンガへの魔力の付与、ローレリーヌはなぜか洋館の拡張工事に取り掛かることとなった。
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