第15章 武闘大会

第546話 大歓迎ですよっ!

 先ほど模擬戦を終え、今は反省会をしているところ。

 そして、今回から大部屋の談話室を使っている。

 というのが、今回の模擬戦にはエトアラ嬢とセテルタだけでなく、彼らの取り巻きたちも一緒だったからだ。

 まあ、ヴィーンたちが加わったあたりから、そろそろ大きめの部屋を借りたほうがいいかなって感じにはなりつつあったけどね。

 そんなふうに思っていたところで、今回大量に参加者が増えたので大部屋を使うことになったってわけだね。

 それで、セテルタ個人は既に何度か参加しているので、ある程度の腕前は把握済みである。

 しかし、その取り巻きやエトアラ嬢たちのほうは今回が初めて。

 というわけで、これはもうお馴染みの展開といえるだろうが、準備運動的な意味も含めつつ最初は素振りや型などの練習をみんなでする。

 その際の動きを見て、だいたいの実力の見当をつけるってわけだね。

 フッ、俺らクラスになるとな……そうした練習の様子を見ただけである程度分かっちまうんだ。

 とかなんとかカッコつけてみた……クールだろぉ?

 そうして体が温まってきたかなってところで、模擬戦開始となるわけだ。

 そんなわけで、今回初参加のエトアラ嬢の実力についてだが……これはなかなかのものだった。

 まず、物理戦闘能力について、これはいくぶん教科書どおりといった印象もないではなかったが……それでも、しっかりと鍛錬を積んできた者の動きだった。

 この点については、令嬢ということもあってあまり実戦に出る機会がなかったのだろうと思う。

 まあ、ファティマやパルフェナもそれまではどっちかっていうと、実戦より訓練の割合のほうが多かったようなことをいっていた気もするしな。

 それから、魔法に関していうと、保有魔力量についてはさすが侯爵令嬢といったところだろうか、ロイターには及ばないものの、かなり豊富にある。

 そのため、ケチケチすることなく魔法をバンバン撃ってくるって感じだね。

 加えて技術のほうも、魔力操作をそれなりに頑張ってきたであろうことが推し量れるほど、上手に効率よく魔法を運用できている。

 というわけで総合評価としては、実戦経験こそ足りないものの、かなり高いレベルでまとまっているという判断になるだろう。

 それに実戦経験のほうもね、これから俺たちとつるんでいくうちに、自然とどんどん積まれていくんじゃないかな?

 とまあ、こうしてエトアラ嬢の実力を分析していけば、夜会のときセテルタに対して「わたくしがあらゆる力を手に入れ、陰ながらずっとあなたを守っていってあげようと思っていたのに……」といっていた言葉は、ガチだったんだろうなって気がしてくるね。

 それから、エトアラ嬢とセテルタそれぞれの取り巻きたちの実力のほうはね……これはまあ、そんなもんかなって感じ。

 いや、別にけなすつもりはないんだけどね。

 それでたぶん、出会った頃のトーリグやハソッドよりは強いだろうけど、現在の2人には劣るってレベルだと思う。

 とはいえ、トーリグとハソッドもね、ソイルに触発されてというべきか、この夏休みに猛特訓を積んだきたのだし、侮ってはいけないんだけどさ。

 そんな感じでエトアラ嬢とセテルタの、今のところちょっと物足りない取り巻きたちだけど、こうして俺たちと一緒に訓練をしていくことによって、どんどん実力をつけていくに違いない!

 さらにいえば、日常的に魔力操作もやっていってもらうつもりだし!!

 フフッ……もう、君たちは魔力操作から逃げることはできないのさ……フフフフフ。

 そうして君たちが今よりもっと強くなるとき……そのときが楽しみだなぁ! 本当に!!


「アレス……戻って来い」

「……んあ?」

「まあ、ワクワクを抑えられない気持ちも分かりますけどね……」


 おっと、少しばかり気持ちが飛んでいってしまっていたようだ。

 そこでロイターとサンズに声をかけられたことで、戻ってきたのだった。


「それでは、今日のところはこれぐらいにしましょうか」

「うん、そうだね」

「わたくしも知らないわけではありませんでしたが……こうしてあなたたちはとても楽しい時間を過ごされていたようね?」

「はい、エトアラさんもぜひ、これからもご参加ください」

「大歓迎ですよっ!」

「ありがとう、時間を見つけて参加させていただくわ、ねぇセテ君?」

「うん、一緒に強くなろう、エト姉!」


 ふぉっ!? ふぉぉぉぉぉっ!!

 ……いい……実にいい光景だ! ……これだよ、これ!!

 こんなにも美しいものを見せてもらって、ありがとう……感謝するよ。

 フフッ……フフフフフ。


「まったく、お前という奴は……」

「あはは……もうダメかもしれませんね……」

「えっと、アレスさん……大丈夫ですか?」

「キレられんの覚悟でいうけど……キメぇぞ?」

「確かに……これなら怒った顔のほうがマシかもしれませんねぇ?」

「………………なるほど、顔で語る……か」

「え? ちょ! ヴィーン様!?」

「ダメですよぉ! こればっかりは、アレスさんから変な影響を受けないでくださいねぇ!?」

「う~ん……ヴィーン様をアレスさんに近づけたのは失敗だったかな?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る