第228話 あれは実にいいものであった
原作ゲームの進捗確認……というか、主人公君のお悩み相談を様子見なんていう寄り道を経て、魔力練習場へやって来た。
まぁ、魔力操作を常日頃から訓練しているし、常時展開の魔纏を筆頭に魔法もいろいろ頻繁に使っている。
そのため正直なところ、魔法に関しては結構自信がある。
しかしながら、それで甘く見て失敗したら物凄くへこみそうだし、一応準備はしておくべきだろう。
……何より、エリナ先生にいいところを見せたいからさ!!
それから、試験の内容として予告されているのは、簡単にいうと的当て。
それでやり方についてだけど、学園に入学してすぐにやらされた魔力測定で、障壁魔法を何枚割れるかってやったでしょ?
あの障壁魔法があっちこっちに大小様々のサイズで配置もランダムに展開されるから、それに制限時間内でどれだけ魔法をヒットさせられるかって感じのことをやる。
そこで当然のように、サイズが小さいだとか、遠かったりすぐ消えたりするような、当てづらい障壁魔法にヒットさせると得点が高くなる。
あと、障壁魔法はもちろん破壊してもいい、というよりそのほうが加点されて高得点を狙える。
とりあえず、内容としてはこんなもんかな?
ちなみにこれ、原作ゲームではミニゲームとして遊ぶことができる。
そんなんメンドイっていうプレーヤーは、飛ばすこともできるという親切設計。
その際は、操作キャラである主人公の魔法系ステータスからコンピューターが勝手に判断して成績を付けてくれるって感じ。
あと、ミニゲームは原作ゲームで出てきたそのときしか遊べないわけではない。
シナリオを進めていくと、ミニゲームを集めたゲーセン的な場所に行くことができるようになるので、そこでいつでも遊べる。
よって、前期試験のシナリオ中はミニゲームを飛ばすプレーヤーが割と多いかもしれないね。
俺も最初のうちはやってたけど、何度も周回していくうちにだんだん、「今はいいや」って飛ばすようになってった気がするし。
とまぁ、そんな感じで原作ゲームの設定なんかにも思いを馳せつつ、的当てを開始しよう。
というわけで、魔法練習場に備え付けられている障壁魔法を展開させる装置のスイッチを押す。
すると、あっちこっちに大小様々な障壁魔法が展開される。
「よっしゃ、割ったるでぇ!」
そんな掛け声とともに、障壁魔法が出現する度、つららを射出する。
「いいぞ、どんどん来い!」
そうして、障壁魔法が出現してはつららを射出、その繰り返しをひたすら続けていたのであった。
「ふぅ……こんなもんかな?」
夕食の時間が近づいてきたので、本日の的当て練習を終えることに。
そんで出来栄えとしては、ほとんど全弾命中だったのでまあまあかなってところか。
なんか、妙に消えるのが早過ぎるのとかがあったからさ、何発か外してしまったのだ。
この辺は、次の課題といったところだね。
そして、魔法練習場にも運動場と同じように更衣室兼シャワーが併設されているので、今日も自室に戻らずそれを利用する。
そんな感じでサッパリしたところで、夕食をいただきに食堂へ移動し、ロイターたちと合流。
「今日の模擬戦だが、私が1人に挑戦してみようと思う」
「ほう、ロイターよ……お前もあのワクワク感を楽しみたくなったのだな?」
「端的にいうと、そうなる」
「フッ、4人の攻撃に対処し続けるときのあのヒリヒリとした感覚、あれは実にいいものであった……お前もそれを存分に楽しむがいい!」
「もとよりそのつもりだ!」
「やはり、思ったとおりですね……それでは僕が明日1人にさせてもらうとしましょうかね」
「思ったとおり?」
「みんな1人に挑戦したくなるだろうなぁ、って思ってましたからね……それはともかくとして、僕もしっかりと学ばせてもらうとします」
「確かに、いわれてみればそうだったかもしれんな……まぁ、とりあえずサンズよ、お前も楽しめ!」
「はい!」
こうして夕食を終え、模擬戦をしに運動場へ向かう。
また、ロイターの希望にファティマとパルフェナはあっさりと了承し、ロイター対俺たち4人の模擬戦が決定した。
ついでに、明日はサンズというのもこのとき決まった。
というわけで早速、模擬戦を開始することに。
ちなみに、今日の俺は木刀を選択。
あ、トレントの木刀じゃなくて普通の木刀ね?
じゃないと、やり過ぎになっちゃうかもしれないからさ……
「ロイターよ、いつかのようにまた、お前の手足をボキボキにしてやろう……ありがたく思うがいい」
「フン、その程度……どうということもない!」
そんな言葉を交わしながら、俺たちは打ち合う。
「ロイター様、アレスさんだけではありませんよ?」
「知っている!」
そう返事しつつ、サンズへの対処もこなすロイター。
だが、そこにファティマとパルフェナの攻撃も殺到する。
「どうしたどうした!? まだまだいくぞ!!」
「クッ!」
俺も昨日経験したから分かるが、4人からの飽和攻撃、そのすべてに対応するのは並大抵のことではない。
よって、防御が手薄な部分から被弾していくことになるわけだ。
だが、さすがはロイターというべきか、回復が早い。
正直、この点については、素直にロイターのほうが俺より上だと認めざるを得ないだろう。
「それなら、回復が追い付かないぐらいの速度で攻撃を加えるのみ!」
「させるか!」
「……隙ありね」
「うぐっ! ……だがっ!!」
こうして、さらにヒートアップしていく俺たちの模擬戦。
……というか、ロイターのサンドバッグタイムが過ぎていくのだった。
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