第391話打ち上げ宴会の中で、コアな話

祐による{講演代読」は無事終了し、築地の割烹(叔母美智代の店)で、打ち上げ宴会となった。

(もちろん、従妹の恵美も同席している)

(今夜だけは勉強免除になったようだ)


祐の挨拶や、秋山康の「祐へのお礼挨拶」などがあり、乾杯(姉瞳が元気よく)。

講演代読のビデオを見ながらの歓談になった。


母彰子は、珍しく祐を褒めた。

「上手に書けていた、読みも素直で、安心しました」

祐は、少し笑う。

「それにしても、若菜上は難しい、いろいろあり過ぎて」

元内弟子の日村も、祐を褒めた。

「私も、あそこまでは書けない、今後楽しみ」

祐は秋山康にお酌。

「先生の原稿が基本で、言葉を選んだだけです」

秋山康は、祐の肩を揉む。

「健康を回復して、次は読みたいと思っているよ」

「僕だって、祐君の文を読みたかった」

「とにかく、ありがとう」

(次回以降の話をすると、祐が不機嫌になるので誰も言わない)


父森田哲夫は、手伝いの女子たちにお礼。

「みんなに手伝ってもらって、祐は幸せ者」

「怪我の時は、本当にありがたかった」

(一人ずつ、サイン入りの森田哲夫の発売前写真集を配るので、女子たちは感激している)


秋山康夫妻は高齢のため、打ち上げに参加したのは、約1時間。(出版社が、送って行った)


姉瞳が祐に聞く。

「祐は、次の課題は、葵祭?」

祐は、少し笑った。

「その前にライブバーで、ジュリアとデュオ」

「フランクのソナタ、まだ楽譜を読んでいない」

母彰子は、やさしい顏。

「ジュリアは、命の恩人、大切にね」


祐が頷いていると、父哲夫。

「葵祭の後、日曜日に予定を開けておくように」

「天気にもよるが、愛奈と総務省の選挙のポスター」

恵美が、心配そうな顔。

「哲夫叔父さん、祐君の名前と顏が出る?」

「ますます、大騒ぎになる」

父哲夫は、クスッと笑う。

「そうなったら、なったまで」

「祐なら大丈夫」

母彰子は、やや心配。

「身体だけは、気を付けて」


祐は、答えないまま、別の話題。

「ねえ、母さん、古今と源氏の和歌のリンク解説本、家にあったっけ」

母彰子は、少し考えた。(言葉を選ぶ)

「うーん・・・ないわけではない・・・でも、大型本で、売れていない本」

「細か過ぎて、誰も読まない、かなりなコジツケもあるよ」

「言葉も、かなり難しい、私は嫌い」


平井恵子が祐の顏を見た。

「それ、やるの?無理じゃない?時間あるの?」


祐は、慎重な物言い。

「やりたいような、やっている時間がないような、それが本音」

「難しいのは、コジツケ論と言われること」

「紫式部がどこまで、その和歌を意識して、文に入れたか、それは本人しかわからない」

「でも、簡単な参考書としては、欲しいかな」


母彰子は、考えた。

「私がやってもいい?」

平井恵子が、手をあげた。

「協力しますよ、お願いしたいくらい」


母彰子が祐を見た。

「仕上げは、祐に任せましょう、そういうのは器用だから」

祐は、簡単に同意。

「いいよ、やる」


そんなハイレベルの話を聞くだけの女子たちは、唖然やら、様々。


純子

「源氏と古今の読み直し・・・マジに大変」

真由美

「写真だけにします、無理」

春奈

「楽しそうだ、卒論に使える」

朱里

「これも名古屋で自慢できる、東京に出てよかった」

(などなど、概ね、GOサインになっている)。

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