第363話伊東合宿⑦女子たちは、湯船の祐を急襲、混浴になる。

翌朝、祐は露天風呂(もちろん、男風呂)に一人。

夜明け前に、少しだけ寝て、ぼんやりとした頭で、湯船につかっている。

見ているのは、伊東の美しい海。

本当は、二度寝するのが一番。

でも、女子たちも、やかましいので、それは無理。

少しでも血行をよくしようと、(寝汗もかいていたので)、露天風呂に入ったのである。


少しして、女子たちの笑い声が聞こえて来た。

「まあ、のぞかれることもないだろう」と思うので、のん気に湯船につかっていた。


しかし・・・状況が変わった。


まず、愛奈の声。

「ねえ、祐ちゃん、そっちにいっていい?」

「男風呂からの風景も見たいなあと」(かなり明るい声、これは困った)


祐は、焦った。

「僕が出てからにして、すぐにあがる」(この時点で女子たちに恐怖しかない)


真由美の声がした。

「心配しないで、私たちバスタオル巻いて行くから」

「祐君とお話もしたいなあと」(祐は、この時点で女子たちは痴女集団と思った)


祐は拒絶の意思を示す。(祐自身がキッパリとダメを言う必要を感じたから)

「恥ずかしいからだめ、人間、礼節が大事」(言ってしまって変だと思ったけれど、今さら仕方がない)


朱里の声がした。(良く通るきれいな声、最近、祐は、朱里が気にかかる)

「今から行くよ、もう愛奈ちゃんと春奈さん。純子さんがそっちに」


直後だった。

その言葉通り、愛奈と春奈、純子がタオルを巻き、男風呂に入って来た。


純子は、いつものやさしい顔。

「祐君、タオル外したほうがいい?」

「見なければいいんだよね」


祐は、純子に弱い。(どうしても抵抗できない)

「まあ・・・見ません、それは」

「湯船で、バスタオルはよくない」

(オウム返しのようなもの、祐に余裕がない)



真由美も笑顔で入って来た。

「ここだけの秘密にしましょう」

(そのままタオルを外して、湯船につかる)


祐が目を閉じていると、(もう、目が開けられない)、ざぶざぶと音を立てて、湯船が揺れる。

祐は、おそらく、全員が入ったと確信した。


愛奈から声がかかった。

「祐ちゃん、目を開けてよ」

「ここだけの秘密だから」


祐が目を開けると、女子全員はバスタオルを外した状態で、湯船につかっている。


そして、いろんなことを言って来た。


「危ないことを考えなければいいかな」

「祐ちゃんは、本当は見慣れているでしょ?」

「でも・・・純子さん、浮いている」

「えへへ・・・肩こり解消になるよ」

「確かに重そう、少し分けて欲しい」

「それでさ、祐君の肌、いつも思う、メチャきれい」

「もち肌だよね」

「大女優のY・Tさんが、触る癒しって、祐ちゃんを見ると、撫でるの」

「へえ・・・撫でてもいい?」

「赤い顔しているよ、大丈夫?」

「あの、おでこも可愛い、シャンプーしたんだ」

「今度、私もしてあげたい」

「このお風呂で?」

「その前に、撫でたい」

「祐君をモデルに彫刻してみたいなあ」

「あ・・・嫌そうな顔」

「お尻のホクロ見たいよ、立って見せてくれる?」


祐は湯船から、出られない状態が続いている。

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