第362話伊東合宿⑥祐の眠れぬ夜。

祐が、「ホクロ問題」に完全スルーをしたので、そのまま音楽の夜になった。

(尚、女子たちは、朝風呂での確認計画を練っている)


音楽は、いつも通りに盛りあがった。

祐がピアノ、女子たちが歌。

元音楽のプロ芳江は、ギターも歌も上手(半端ない)

ジャズ、カントリー、ロック、ポップス、アイドルソング様々。

祐もギターでクラプトンを弾いた。

ただ、合宿初日なので、午後9時でお開き、それぞれの寝室に入った。


さて、元気いっぱいの女子たちの寝室(雑魚寝状態)(祐は隣の部屋で寝ている)では、さっそく「よからぬ話」が始まった。

春奈は笑顔。

「明日の朝、祐君の朝風呂を?マジに?」

愛奈は顏が輝いた。

「間違えたふりして、全員で突入も面白い」

純子は手を打って喜ぶ。

「マジに、アニメだよね、よくあるやつ」

朱里はニンマリ。

「男の子のほうが恥ずかしくなって、もぐるパターンかな」

真由美は、少し考えた。

「前は、恥ずかしいから、お尻だけ見せてとか?」

純子は、それでも祐に同情。

「嫌がるよ、可哀想かも」

愛奈は、少し冷静に戻った。

「私も恥ずかしい、みんなに負けているし」

春奈は考えた。

「でも、祐君、じろじろ見る余裕ないよ」

朱里も、冷静。(別の意見)

「グラビアアイドルとか女優さんの撮影に付き合って、見慣れているかも」


愛奈は即答。

「それは、充分にある、時々話が出る」

「女の子も女優さんも、祐ちゃんの話題が多い」

「お話して楽しかったとかさ」


純子は愛奈を見た。

「・・・もしかして・・・本物を見ているのかな?」

愛奈は首を横に振る。

「それ、祐ちゃんも言わないし、女の子も女優さんも教えてくれない」

真由美は意味深な顏。

「この前の嵐の夜・・・ジュリアの家でお泊りしたよね、どうなったのかな」

春奈は悔しそうな顔。

「聞けないよ、それ・・・」


朱里は小さな声。

「で・・・祐君って・・・大人なのかな?」

純子の声が上ずった。

「マジに気になる・・・あかん・・・」

春奈も、似たようなもの。

「それ・・・どうやって確かめるの?」


愛奈も、ヒソヒソ声に変わった。

「かなり噂があった・・・特に有名なのは」

「中学生の頃・・・あの女優さんが気に入ってね、イニシャルはH・Kさん」

「祐ちゃんと二人だけでドライブに行ったとか」

「それを、H・KさんのライバルのN・Sさんが怒って、一日デートに」

「もう一人は、グラビアアイドル出身のM・Yさん」

「水着選びを祐ちゃんに依頼して、新宿を連れ回して」


純子も声が低い。

「愛奈ちゃんは、平気だったの?」

愛奈は、小さな声。

「気に入らないよ、でも大先輩ばかり、下手なこと言えないしさ、芸能界は怖いの」

「祐ちゃんも言わないし、聞くとなんでもない。何もないって、嫌そうな顔」


真由美

「全員が、祐君より、相当年上の・・・だよね」

春奈

「おそらく、付き合っただけと思うよ、祐君、固いから」

朱里

「ベタベタするのが、嫌いなタイプと思う」

「鼻の下はのばさない人」

純子

「うん、シャイな子だもの」

・・・・

結局、最初の話題に戻った。(不明過ぎて、諦めたらしい)


愛奈

「で・・・ホクロは見るの?」

・・・・・・


祐は、こんな話が長く聞こえて来て、結局、眠れぬ夜となった。

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