第354話朱里の思い 祐は新しい境地の扉を見る。

私、朱里は、映像詩のモデルになるなんて、全く考えていなかった。

でも、純子さん、真由美さん、春奈さん、平井先生まで乗り気!(うれしかった)

衣装まで選んでくれて、感謝しかない。

(みんなとのワイワイ感が楽しい)

(スカートが少しだけ短めは・・・うん・・・気合が入った!)


映像詩の試作を自分で見て・・・「?」だ。

(自分でない自分が動いている)

(真由美さんの力かな、すごい才能、乗せられてしまった)

恥ずかしい感じがなくて、うれしい感じのほうが強い。

(自分が一歩高まった感じ)

議論になった「ロケ」にも出たい。(もちろん、東北、岩手も興味がある)


今、思うのは、祐君のグループに入って、本当によかった。

(美女が多いから、まだまだ二人きりは難しいけれど)

(でも、祐君を抱き枕にできたのは、楽しかった、また抱きたいなあと思う)


名古屋嬢のままでは、ありえない体験が続いているし、これからも、どんどん世界が広がる。

生きる気力?それ以上の生きる楽しみ(名古屋では全く感じなかった)が湧いて来て、止められない状態である。




祐は、女子たちの大騒ぎ(喧噪とも)から、少し離れて、考えている。

映像詩は、何とかなりそうで良かった。(試作は概ねイメージ通りに成功した)

今後は、アイディアを考えるだけ。(実は、それが難しいけれど、楽しくもある)

夕食の時に、議論しようと考えているのは、「愛奈」をモデルにする場合のこと。

品行方正、明るい女の子キャラの愛奈を、どう映像詩に表現するのか、実はイメージが浮かばない。

「・・・マジに考えないと、愛奈に深夜電話で泣かれる」


祐が、そんなことを考えていると、純子から声がかかった。

「ねえ、祐君、夕食は鰻が食べたいらしい」

祐は、少し考えてOK。

「個室がいいなあと、恵美ちゃんの店でいい」

「少々相談したいこともあるので、他人に聞かれたくない」


女子たちもOK。

そのまま日本橋の料亭(祐の従妹恵美の両親の店)に向かった。


料亭の前では、叔母美智代が待っていた。(いつもの恵美ではない)

叔母美智代は丁寧な挨拶の後(平井恵子先生もいるので)、苦笑い。

「恵美は、勉強中です・・・それとみんなの顔見ると、伊東に行きたがるでしょ?」

「何しろ、成績が危険な状態、身体も食べ過ぎで見せられない」


祐は、「後で慰めておきます」と応じ、個室に入った。

そして、さっそく相談(祐が司会)を始めた。

「今日は、古今和歌集と、映像詩、朱里さんと真由美さん、皆さん、お疲れさまでした」

「それで、早速ですが、相談したいというのは、愛奈をモデルにした場合、何がいいのか」

「僕は、まだイメージが出なくて・・・早く言わないと、深夜に3時間泣き電話が来るので」


平井恵子が笑いながら、発言。

「祐君の安眠のために・・・そうねえ・・・愛奈ちゃんか・・・真面目な、しっかり娘かな」

純子

「学生服かなあ・・・OLは無理」

真由美

「セーラー服でもブレザーでも似合う・・・でもジーンズはイマイチ、お嬢様キャラだよね」

朱里

「真面目な明るい曲かなあ、笑顔が輝くタイプ」

春奈

「でも、そういうCMとかポスターばかりで、方向転換もしたいはず」

「愛奈は子供顔だから」(祐自身が子供顔、周囲はそう思うので、クスクス笑いが広がる)


少し間があって、平井恵子が、突飛なことを言い始めた。

「ねえ、魔法学園とかは?」

(全員の目が点・・・まさか大文学者平井恵子先生から、その言葉はと・・・)


しかし、女子たちは、ノリがいい。


純子の目が光った。

「ゴスロリ・・・魔法服・・・異世界・・・え・・・面白そう」

朱里の目もキラキラ。

「愛奈ちゃんの部屋の扉を開けたら、とんでもない異世界が・・・そこを魔法服の愛奈ちゃんが歩く?」

真由美は笑顔。

「エルフ・・・妖精・・・いいかも・・・イラスト描いてみる」

春奈も興味津々。

「祐君、音楽のイメージは?」


祐に笑顔が戻った。

「いろいろ・・・プロも使おうかな」


その祐の笑顔は、実に自然で輝いていた。

(また新たな境地の扉を見たような感じ)

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