第352話映像詩の試作開始

私、純子は祐君の積極性(特に映像詩の話から)がうれしい。

確かに、古文も音楽も、並外れた実力。

祐君本人も、嫌いではないと思う。

ただ、好き勝手にブログに書く、あるいは演奏をするとは違い、「求められて、仕事として」するのは大違い。

(祐君も時々、すごくストレスがたまっていた)

(根を詰め過ぎて倒れて怪我したこともあった)


でも、今回の映像詩は、祐君自身が楽しいらしい。

(目が輝いている!)(ますます可愛い)

(二人きりなら、胸ムギュしたくなる)


祐君自身が言うのは、「映像詩は、その奥行がとんでもなく広い世界」

その中で、祐君が、何を考えて何を表現するのか、私も、女子たちも、楽しくて仕方がない。(期待度Maxだ!)


さて、今日の古今和歌集の新現代語訳作業は、午後3時で終了。

(平井恵子先生も映像詩政策作業にかなり乗り気のため)

さっそく祐君は、森田哲夫事務所と打ち合わせ。(機材のこと)


モデルは、朱里さんに決まった。

衣装選びと小道具選びは、女子全員。(最後に祐君がチェックするとのこと)

(かなりの衣装と小道具があって、選ぶのも楽しい)

(さっそく大騒ぎになった)


「ミニスカ、セーラー服は?」

「でも、モーツァルトの優雅な世界だからなあ・・・」

「私、朱里さんの、太もも好き、残念」

「えーーー?私より真由美さんのほうがきれいだよ」

「いや・・・適度のムチムチ感がいいの」

「・・・そんなこと言っていないで・・・ブレザーもあるけど」

「うん、これもシックな感じ」

「モーツァルトの40番を聞きながら、表情を作るんだよね」

「うん、どうしよう・・・できるかな」

「文庫本はこれ?ゲーテの詩集?」

「ヴァイオリンにするよね」

「へえ・・・チェロもある」

「フルートとクラリネットもある」

「まさか・・・トランペットとホルンも?」

「学生鞄は、革のシックなもの・・・・靴も革靴がお上品」


朱里の着替えが、終わると、女子たちは、また騒ぐ。

「うわー・・・いい感じ」

「キチンとしたブレザー姿、お嬢様風」

「まだ、女子高生で通用するよ、朱里ちゃん」

「・・・でも、おなかがきつい・・・食べ過ぎかな」

「それは、祐君が悪い、心配で食べ過ぎる」

「確かに、それにつられてみんなで食べるから、みんなに悪影響・・・自分だけ小食でスタイル保っている」

「伊東で泳ぐ?小さなプールが別荘にあったよ」

「水着か・・・うん・・・いいよ」

「純子さん、見せつける気満々!」

「はまるかなあ・・・お尻がきつい」

「今日からダイエット?間に合わないよ」

・・・書き切れないので、省略します。


祐の映像詩第一作目(処女作)の製作(試作)が始まった。

スタジオの大スクリーン(壁一面)に、高校の校舎の映像。

その校舎の映像に、夕暮れ時のワインレッドをかぶせる。(機材から出す色)


モーツァルトの40番の二楽章を流す。

(この時点で、すごく高貴な感じ)

(どこにでもある、普通の高校校舎が、何とも言えないくらいに味がある)


祐君は、その色を微妙に調整(森田哲夫事務所の機材なので、高そう・・・でも使いこなしている)


色の調整が終わり、女子高生ブレザー姿、朱里さんが入って来た。(かなり緊張気味)

学生鞄、ヴァイオリンを持っている。


その朱里さんにポーズの指示や、カメラで撮るのは真由美さん。

指示はポンポンと飛ぶ。

「少しうつむいて」「楽譜を開いて」「空を見上げて」

「口を半開きに」「表情が固い・・・」

「一旦深呼吸して」「うん、そう」「顏が音楽に合って来た」「いい感じ・・目をトロンと・・・そう・・・いいよ・・・」

カメラでバチバチ撮って、祐君と、一々確認。(真由美さん、美大生の本気モード全開、目が輝いている)


祐君が別のアイディアを出した。

「並木道映像もあったかな、それに変えてみる」

「朱里さん、その真ん中に立って」

(実際、すぐに並木道に背景が変わった)

(・・・神宮外苑?ヨーロッパ?すごくいい感じ)


祐君は、頷いて音楽を同じ40番の第3楽章に変える。

(第2楽章のたおやかな雰囲気が一気に締まった)

「ここは歩きかな、朱里さん、歩いてみて、うん、そんな感じ」


全員から拍手が出て、朱里さんはうれしそうな顔。

(マジに美少女だ)


そんな感じで、試作は順調に進んでいる。

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