第342話祐は、アッサリと・・・

祐とレイラの「面会」は、正午、いつものライブバーと決まった。

(レイラのマネージャーが、愛奈のマネージャーに、泣き落としをかけた)

(とにかく祐に会わせてくれないと、生放送番組で大騒ぎするとか、番組をすっぽかす、芸能界引退まで騒ぎ出したから)


さて、その正午・・・約30分前に、レイラはライブバーに顏を見せた。

(大きな黒い帽子、サングラス、黒マスク)

(白セーターに黒ジーンズ、スニーカーのシンプルな服装)

(・・・ミニスカにしたかったけれど、愛奈が止めた:祐に見せられるほどの足でないと)

(愛奈も不安なので、裏口から入って、レイラの監視体制を取る)


レイラが緊張気味のまま、正午近くになった。

しかし、祐の姿は見えない。

レイラのイライラが始まった。

「何よ!一般人のくせに!」

「このレイラが30分も前に来ているのに、立場をわきまえられないの?」


うるさくなりそうなので、愛奈が諭した。

「祐君は、人気者で忙しいの」

「レイラより賢くて、可愛い女性が、周りにたくさんいるの」

「そんな怒り顔だと、女としてのレベルの低さを見透かされる」


レイラは、途端にへこんだ。

「女としてか・・・女性的なキャラでないよね、単なる暴言キャラ」

「確かに、嫌われキャラかな、今はいいけど」(自覚もあるようだ)


約束の正午になった。

ライブバーのドアが開いて、女子たちに囲まれて、祐が入って来た。


レイラは、ビクついてしまった。

「祐君?メチャ、可愛い・・・きれい・・・モデルさんより・・・レベルが違う」

「愛奈の言う通り・・・祐君の周りの女の子・・・負けそう」

「胸の大きな人は、すっごいオーラがある、輝いている」

「うわ・・・あの女の人、美脚・・・見とれる」

「で・・・え?あの子・・・見たことある、名古屋でモデルのトップ」


愛奈は祐に手を振った。

祐は、それでもキョロキョロと探す。(一歩遅れる祐のパターン)


祐が歩いて来て、レイラの前に座った。(表情は固め)(少々面倒そう)

「祐です、愛奈のマネージャーさんがどうしてもって」


レイラは、押されて、噛んだ。

「あ・・・レ・・・レイラです」

「愛奈のスマホ写真を拝見して、どうしてもお逢いしたくなって」

(懸命に説明するが、祐は面倒そうな顔のまま)


祐(愛奈をチラッと見た)

「それは、何となく聞きました」

「で、具体的な用件は何?」


レイラは目を閉じた。(とにかく祐の顏を正視できない、自分の顏が赤いので恥ずかしい)

「あの・・・私もお友だちに・・・」(ここでも噛んだ)(炎上トップアイドルの自信は、崩れている)


祐の声がやわらかくなった。

「目を閉じて言うこと?」

「友だちは、別にかまわない」

「ただ、意味が不明、どうして僕なの?」

「今日、会ったばかりで、愛奈のスマホ見ただけなのに」


レイラは、目を開けて、祐を見た。

(やばい!と思うくらいの美形で、可愛い)

(お化粧してみたい、そんな妖しい思いも発生している)

「いろんなお勉強とか、音楽とか、愛奈から、すごいって聞いて」

「私も、芸を磨こうかなと」

(自然に言葉が出た)(気持ちの奥には、炎上キャラだけでは不安だったから)


祐は、クスッと笑った。

「そのための、お友だちか・・・いいよ」


そのアッサリさに、愛奈はもちろん、純子たち女子は、内心「文句タラタラ」になっている。

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