第340話炎上アイドルレイラVS愛奈(2)

愛奈は、レイラと祐を会わせたくない。

レイラの「人を人とも思わない暴言」が、繊細、しかも退院直後の祐にとってマイナスでしかないことは、わかり切っているから。

それと、レイラに会ったとしても、祐は特別な感性だ。

「女子に洒落た言葉」は、絶対に言わない。(つまり受けようなんて思っていない)

やさしいことはその通り、でも「ナンパ」の感性も技能もない。

難しいのは、その祐に、女子を引き付けるフェロモンが強いこと。

(かなり強いかもしれない)(その美形、いろんな才能)(可愛らしい笑顔)

だから、祐に接した女子は、離れられなくなる。

(子役時代は、何度も添い寝を強行した)

(今は、純子さんとか真由美さん、朱里さん、春奈さんが狙っているらしい)


愛奈は、不満そうな顔で、見て来るレイラに、言葉を追加した。

「会ったとしても、簡単に仲良くなれないよ」

レイラの顏が変わった。(怒っている)

「一般人のくせに?私、アイドルだよ!」(そういう傲慢さを、祐は一番嫌うのに)


愛奈も、ムッとした。

「レイラ!アイドルが一般人より偉いって何で思うの?」

「マスコミで騒がれるから?それ以外には?」

「マスコミは、仕事で騒いでいるだけでしょ?」

「たまたま、面白いネタがあって」


レイラは、言葉に詰まった。

(レイラ自身、それを利用しているだけとは知っているから)

「・・・受ければいいんでしょ?」

「受けたものがちでしょ?この世界」


愛奈は、レイラの「底の薄さ」が、馬鹿馬鹿しい。

質問を変えた。

「レイラって、寿司屋で何から食べるの?」


レイラは、キョトン顔。

「大トロ、サーモン、美味しいものから」

「当然でしょ?美味しくないもの食べてどうするの?」

「マジ、貧乏臭い、白身のネタなんて」


愛奈は、レイラの感性の低さを知った。

また、質問を変えた。

「音楽で言えば、フォルティシモの連続、アップテンポの連続で、耳はどうなるの?」

「そういうライブバーに入って、どうする?」


レイラは、また首を傾げた。

「難聴になる、耳が壊れる」

「そんな店は、すぐに出て来る」


愛奈は、レイラを強く見た。

「レイラのキャラって、それなの」

「最初は面白い、受けるかも」

「でもね・・・危ないと思うよ」

「マグロ芸とまでは言わないよ」

「臭い香水そのもの、そんな感じ」

「寿命が短い、すぐに嫌がられるタイプ」


愛奈は、「うっ・・・」と涙ぐむレイラに、諭し始めた。

「スマホの子も、最初はすごい子役モデル」

「私より、可愛かった、表情とか真似したもの」

「でも、すぐに、別の世界に入った」

「芸能界の裏も良く知っている」

「音楽とか文を書かせても、超一級品」

「でも、表に出たくない」

「マスコミの程度の低さも知り抜いているから」


レイラが、マジな顏になった。

「愛奈は、その子好きなの?」


愛奈は、素直に認めた。

「好きだよ、でも、無理かな」

「今の彼だと、私はお荷物」

「お荷物は、私も・・・反省している」(夜中の3時間電話を反省している)


レイラの顏から、傲慢が消えた。

「愛奈が、そこまでなんだ」

「難攻不落かな」

「でも・・・ますます逢いたいかな」

「変なことは言わないから」

「どうかな・・・」


愛奈は、率直な反応。

「暴言すれば、すぐにポイ」

「地に足がついていないレベルの低い話でも、同じく」


レイラは、考え込んでいる。

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