第328話傲慢強気な野球部監督岩田 その処分
凶行事件から、5日経過した。(祐の退院日でもある)
健治は、いまだに反省の弁はなく、釈放を訴え続けている。
また、健治が通う高校は、「被害者に謝罪対応を行わない」と決定した。
その理由は、野球部岩田監督の主張する「単なる子供の喧嘩」「健治の釈放を警察に要求する」の意見に、校長が反論できず、押し切られてしまったため(他の教師は、全員反対したにも関わらず)
しかし、そんな傲慢不遜も、自らの言葉で、失脚を招いた。
自分の意見を押し通した野球部岩田監督は、得意満面(かなり舞い上がっていて)取材に来たスポーツマスコミに、顛末を漏らしてしまったのである。(校長は、口外禁止の指示を出していたけれど)
「くだらねえ・・・子供の喧嘩で大騒ぎするなって」
「確かに健治は、嫉妬に狂って、ボールをぶつけようとしたし」
「殺してもいい、って金属バットを投げたよ」
「でもさ、そういうことは、若い男なら、その気になるだろう、ありがちだろ?」
「金属バットがコンクリートで跳ね返って、大学生の顎を打った」
「その大学生は、連れの女をかばったらしい」
「いいところ見せたくて、余計なことするから」
「まさに、馬鹿だよな、かわせよって、思うだろ?」
「健治?早く無罪放免して欲しいよ」
「被害に遭ったのは、被害者がよけきれなかっただけ、健治のせいじゃない」
「よけきれないのは、被害者がポンコツだから、健治は悪くない」
「とにかく記者さんも、警察に圧力かけてくれよ」
「練習が進まないし」
「練習試合のほうが大事」
「栄えある高校野球の邪魔になる」
「記者さんも、そう思うだろ?」
・・・・・
取材に来たスポーツマスコミの記者は、野球部岩田監督の言葉を全て記録(動画で)。
職場に戻り、編集長に、そのまま見せた。
編集長の顏が変わった。
「これは、面白い」
「ガンガン書いてくれ、徹底非難の論調で」
「健治?どうでもいい、どうせ有罪は免れない」
「刑期も長いよ、反省もない」
「健治なんて、都大会の他校からすれば、二流三流だ、どうでもいい」
「それより、都大会に、そんな馬鹿な監督を持つ高校がいるほうが、迷惑」
「試合もしたくないはず」
「まあ・・・大騒動が面白い」
「それから、被害者の身元は書くな」
「上から、厳しいお達しが来ているから」
「すごく上の方らしいが、よくわからん」
「うちも被害者の身元を書くと、甲子園取材に出入り禁止されるらしい」
編集長の指示を得て、取材記事は、翌日の朝に発表された。
紙媒体(新聞)とネットには、岩田監督の動画もあった。
予想通り、大騒ぎになった。
各マスコミ(テレビ、新聞、ネット)で、健治と高校の対応について非難炎上。
校門前には、非難する人が多く殺到。
それをマスコミが撮影するものだから、生徒も教師も、簡単には校内に入れない。
都の教育委員会は、この事態を重く見た。
教育長直々に、高校に訪問。(都の高校野球連盟会長も同行した)
校長と野球部監督岩田の見解を聴取した。
校長は、謝罪し、深く頭を下げた。
しかし、野球部監督岩田は、強気を変えず、自らを弁護した。
「健治をかばうのは、監督の役目ですよ」
「それを果たして、責められる理由はないし、謝罪の必要も感じません」
その強気の野球部監督岩田に、都の高校野球連盟会長が厳しい言葉。
「岩田さん、そんな犯罪者擁護を誇るような態度では、こちらにも考えがあります」
「まず、お宅の高校との練習試合は、いたしません」
「他県も、同じ考えと思います、全国に知れ渡っていますから」
「それから、都の野球連盟からも、除名します」
しかし、野球部監督岩田は、それにも納得しない。
「はぁ?俺が何の悪いことをしたの?健治は悪くない、被害者が馬鹿なだけだろ?」
この言葉で、校長の我慢も限界に来た。
教育長と高校野球連盟会長の前で、岩田の解雇を言い渡すことになった。
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