第327話祐は退院。新たな不安?

凶行事件に遭って4日後の午前に、祐は退院した。

(諸検査において、特段の異常は認められなかったため)

祐の家族は、父哲夫のBMWでアパートに。

(純子たちは、アパートで待機していた)

家族は、祐をアパートまで届けた後、純子たちにお礼(旅行券など)を渡し、感謝の意を伝えて、静岡に帰って行った。(長居はしなかった)


祐の部屋で、純子たちは恐縮している。

純子

「なんか・・・もらい過ぎ、大したこと何もしていなのに」

真由美

「私なんて、祐君にかばってもらった立場、それなのに」

田中朱里

「うん・・・活用させていただきます」

春奈

「それにしても、祐君のお父さんのオーラが眩しかった」

「前に立たれると、震えたよ」


祐は、神妙な顏。

「でも、僕が危なかったのを、みんな助けてくれて」

「何が何なのか、今でも、夢見ている感じ」

「お見舞いも、たくさんもらって、もらい過ぎて」(祐の部屋には置き切れないので、森田哲夫神田事務所に保管してある)


そこまで言って、ポツリ。

「今から行って見て来るかな」


しかし、すぐにストップがかかる。

純子

「だめ、まだ大人しくしていなさい」

真由美

「明日でいいでしょ、それは」

田中朱里

「大きな冷蔵庫があったので、そこに食品系は入れたよ」

春奈

「今日くらい、ゆっくりして」

「お昼も私たちで作る」


祐は抗せなかった。

「うん」と頷くのみ。(この時は、まだ素直)


そのお昼は、カレーリゾット(それほど辛くない)。

純子

「みんなで考えたの」

真由美

「病院食飽きたかなと」

田中朱里

「美味しそうに食べているから安心する」

春奈

「うん、完食できたね、良い子だ」


祐は、あまりの「お世話焼き」の連続で、戸惑った。

「みんな・・・もう大丈夫だから、ここまででいいよ」

「それぞれの都合もあるでしょ?」(ようやく、祐の抵抗が始まった)


純子が、女子全員に目配せ、少し笑った。

「夜は添い寝しようかなと、まだ監視対象だから」

真由美は、顏を赤くした。

「今夜は、純子さんと私」

田中朱里も、赤い顔。

「明日は、私と春奈さん」

春奈は祐にすり寄った。

「祐君の看護目的、アヤシイことはないよ」


祐は抵抗やら、確認やら。

「部屋は別だよね」


女子たちは、視線を合わせない。(意図的かも)


「さあ・・・」

「気になる?」

「どうしようかな」

「祐君の寝顔も可愛いよね」


祐は、頭を抱えている。(ホームセンターで鍵を買おうかな、と考えている)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る