第311話森田哲夫事務所を出て雑談。

祐の一行は、用事を終えたので、森田哲夫神田事務所を後にした。

尚、愛奈は、残った。(残念そうに見送りに出たけれど)


少し歩いて、靖国通りに出た。

祐は、神妙な顔。

「愛奈は、普通に外を歩けない、囲まれてしまうから」

純子

「国民的アイドルの宿命やな、かわいそう、辛いかな」

田中朱里

「祐君と、話すのがうれしそう、本音を言っているような」

祐は苦笑。

「まあ・・・長い付き合い、もう三歳児かららしい」

「実の姉貴より、話が合う」

純子

「こうやって自由に街を歩けるのも、一般人の特権」

田中朱里(名古屋では、有名だったので頷く)

「本当ですね、私も、名古屋を離れて、ようやく自由です」


祐は、少し考えた。

「真由美さんに、柏木典子さんを紹介しようと、柏木さんも美大卒」

田中朱里が、すぐに反応した。

「うわ!いいですね、それ、真由美さん、喜びます」

純子も笑顔。

「真由美さんも、モデルしたら、綺麗だよ」

「あの美脚は、半端ではないもの」

田中朱里も、賛成。

「真由美さん、足が長いですよね、ホットパンツとか、ミニスカ見てみたいです」


三人が、そんなのん気な話をしながら歩いていると、女子高生たちがスマホを見ながら(ペチャクチャ話しながら)通り過ぎた。

祐は苦笑い。

「SNSかな、そんな話だった・・・大声だから聴いちゃった」

純子も笑う。

「炎上とか、シカトとか・・・怖い話」

田中朱里は苦笑。

「フォロワーが何とかって・・・聞き取れなかった」


祐は、どうでもいい感じ。

「そもそも、匿名の人が何を言おうと、関係ないと思う」

純子は、少し考えた。

「でも、酷く攻撃されて、悩んだり・・・それで自傷、自殺の人は多いよ」

田中朱里も続く。

「人前に出られなくなる、登校拒否、社会人になっても自主退職とか」

「匿名で責任を持たない人の意見だよね、野良犬が吠えているようなものだよ」


純子は祐に聞く。

「祐君は、気にしないの?」

祐は、即答。

「気にしている余裕も時間もない」

「勉強も練習も多い、どんどん自分も変わる」

「周囲も、常に動いている」

田中朱里は笑顔。

「祐君、強い、なかなか」

純子は、少し笑う。

「時々悩むけどね・・・でも立ち直る」

祐は、真面目な顔。

「生き物の世界なので、結局は実力社会」

「自分を磨いて強くなって、周囲からの攻撃に耐え切った人が生き残る」


ただ、そんな祐の顏に変化が起きた。

「春奈さんは、苦手」

「つい、声をかけるのを忘れる」

「明後日の美容院のこと、言っていない・・・また怒るかも」

これには純子も苦笑。

「任せて、何とかする」

田中朱里は、冷静。

「春奈さんは、東京が実家、美容院は心配ないかと」


純子は、祐の表情が不思議。

「そんなに春奈さんが苦手?やさしい人だよ、私たちには」

祐は素直。

「うん、顏が怖い、いつも怒られている感じ」

「なるべく、離れて座りたい人」

田中朱里は、思い当たることがあるので、下を向いた。(かつて、教室で高飛車に祐に迫って、遠ざけられた)

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