第256話桜田愛奈も、実は「祐フェチ」

私、桜田愛奈にとって祐君は、唯一、心を打ち明けられる男の子。(これは、子役の頃から)

何を言っても、「ふんふん」と聞いてくれるし、「気にしないでいいよ」とか、「こうしたら?」とか、アドバイスをしてくれる。

(他の同年代の同業者女子には、絶対に言えない・・・とにかくコソコソ陰に隠れて、意地悪ばかりしてくるから嫌)

(男の子も、オレ様ばかりで嫌、顔だけで演技力はロクにない、勉強もしていない、単なるおバカさん集団)


だから、哲夫先生から「祐が大学生になって千歳山に住んでいる」と聞いた時は、すぐにでも押し掛けたかった。(残念ながら、ドラマの撮影で無理だった)


ところが・・・押し掛けて見ると・・・祐君のまわりは、「どういうこと?」の状態だった。


豊満な純子さん・・・吸い込まれそうな美人。

ハキハキ、キレキレの美少女真由美さん・・・とにかくテンポがいい。

お上品な朱里さん・・・この人も超がつくくらいの美少女・・・下手をすると負ける。


祐君が言うのに、隣の人とか、縁がある人とか、大学の同級生。

でも、複雑だ。

できれば、祐君は、「私だけの祐君」であって欲しかったから。


いろいろ話を続けて行くと、考えが変わった。

祐君の周囲の女性も、実に「いい人」だった。

なにより親身になって話を聴いてくれる。(同世代のアイドルとは全然違う)

こっそり「お仲間にして欲しい」って言ったら、全員が「おいで」なので、涙が出た。

(生まれて初めて同世代の女の子の友達が出来たって感じかな)

(これも祐君のおかげかな・・・感謝だ)


だから、万葉集とか古今和歌集、源氏物語の「お仕事」には、どうしても「ご一緒」したい。

ご一緒できないと、祐君たちから離れてしまうような、不安がある。

ギャラ?そんなものは、どうでもいい。

とにかく、いろんなことを言い合って、提案し合って、楽しく実りのある仕事をしたい。

(現代の異世界とか、恋愛ドラマは、底が浅くて嫌)

(私でなくても、誰でも、ちょっと可愛いだけでできる)

(お人形みたいな女の子を、動かせばいいだけ)


古代の女性の髪形、衣装にも興味がある。

宇治川のほとりの、匂宮と浮舟のモデルを祐君としたい。

(祐君は、超慎重派だから嫌がるかな)

(でも、無理やり引きずり出すのも好き)

万葉集でも、古今でもいい。

とにかく、祐君と一緒になりたい。(七五三のモデルで一緒してから、実は祐君のファン、祐君フェチだから)


気にかかっているのは、祐君のいろんな才能。

音楽は・・・世間に出したくない。

あのビジュアルで、大きなステージに立つと、「ミーハー女」が絶対に騒ぐ。

祐君には、そういう世界には向いていない。

スポットライトは嫌うから。(だから、なかなか写真でも、一緒してくれなかった)


ジュリアは気になる。

あのスタイル、美女ぶり・・・お姉さまの魅力だ。

祐君、取られちゃうのかな。

昔から、祐君は年上グラマー女のおもちゃみたいになっていたし。


私は、悔しいけど、水着に向いていない。

胸の成長は遅れた(まだ、発展途上と諦めないけど)

足も、短い。(ミニは、だから嫌)

(祐君は、それを知っているから、悔しい・・・相談しちゃったけどね)


さて・・・結局、祐君に戻った。

そろそろ、女性たちも、祐君の部屋からいなくなったかな。(夜の11時を過ぎたから)

祐君に電話しよう。

なんか、メチャ甘えたい。

聞き分けのないこと言って、苛めたい。

祐ちゃん、好きって、何度も言いたい。

なんか、ワクワクして来たぞ。

スマホには、祐君と私の七五三写真。(もちろん哲夫先生撮影)

まず、この七五三の祐ちゃんに「ブチュ」して・・・と・・・

「愛しの祐ちゃん」をタップした・・・

ほら!寝ていないで!出なさい!

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