第248話サントリーホールロビーにて
金曜日になった。
祐君と私、純子、真由美さん、朱里、春奈さんは、スーツ姿でサントリーホールに到着した。
(たまには、キチンとした姿もいい・・・でも、私も真由美さんも、苦しげ・・・よく食べるのが悪い?)(朱里さんは、さすがモデル、着こなしを習おう!)(春奈さんは、案外バストある・・・全体的に可愛くまとめている)
ロビーにいたら、ジュリアが探しに来た。
そして、祐君を思いっきりハグ!(めりこんどるし・・・ふくよかやなあ・・・)
「祐!ありがとう!」
頬にキスまでしとるし・・・祐君は、顏が真っ赤や・・・
そんなことをしていたら、指揮者のジャンまで、来た。
(うわ!すごいオーラや!豊かな体格からかな・・・祐君を苛めた大学オーケストラの尾高とは、雲泥の差やな)
「この子が祐君?」(うわ・・・日本語話せるんや)
祐君も、赤い顔のまま、自己紹介。
「森田祐です、ジュリアさんには、お世話になっております」(・・・イマイチ、カタい)
ジャン
「お父さんの哲夫先生にもよろしくと」
祐君の目が丸くなった。(その顔も可愛い)
「父をご存知で?」
ジャンは、うららかな笑顔。
「パリのオケの時に、すごいポスターの写真をね」
祐君はにっこり。(うわ!輝いとる!)
「はい、伝えさせていただきます」(しっかり握手しとるし・・・大物感ある)
ジャンの話は続く。
「今度、僕もあのライブバーに出たいなあと」
祐君
「はい、楽しみです」
ジャン
「祐君とジュリアとトリオで・・・何がいい?」
祐君
「ギターとピアノ、フルートなら、何とかできます」
ジャンはにっこり。
「何か、アレンジしておくよ」と、祐君の肩をポンと叩き、また他の客のところに挨拶をしようと歩いて行く。
ジュリアが、祐君を、またハグ。
「フルートは聞いていなかったぞ?」(こら!ジュリア!祐君は抱き人形でない!)
祐君は、苦しそうな顔。
「陸上で怪我した時、暇だったから、練習したの」
「ジャズ吹きたいなあ・・・ブルーノート風」
ジュリアの目が輝いた。
「うわ・・・いい・・・やる!」
今度は、ピアノ協奏曲「皇帝」を弾くソリストが、祐君の前に来た。
若い男性、チケットでは、村越雅弘と言う人。
「あれ?もしかして祐君?」
祐君は、ニコニコ。
「あ・・・雅弘さん、おめでとうございます」
その村越雅弘さんも、ほんとうにうれしそうな顔。
「なつかしいなあ・・・元気そうで」
祐君
「こちらこそ、皇帝楽しみです」と定番に返す。
村越さん
「ところで、ピアノ続けているの?」
祐君は、焦り顔。
「あ・・・適当で・・・この前、中村先生に見つかって叱られて・・・」
村越さんが、笑う。
「それで、八幡山のスタジオを?最近電気がついているなあと」
そして、祐君の肩をポンと叩く。
「見込まれていたのは、祐君のほうだよ」
「僕も、祐君のピアノが、すごく好き」
祐君は苦笑。
「いや・・・なかなかね・・・」
そこまで話して、村越さんは、楽屋に戻って行った。
祐君はようやく説明してくれた。
「中村先生門下で、村越さんは、兄弟子なの」
少し遠くから、杉田香織が怖い顔で睨んでいたけれど、祐君も我々も、一切無視している。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます