第226話祐には二人の姉? 姉思いの祐
「えっと・・・」
祐君は、相変わらず、たどたどしい。(少し戸惑っている感もある)
だから私、風岡春奈は祐君の背中をポンと叩く。
「言ってごらん?」
祐君が読んでいたメッセージのことを説明。
「ジュリアンのオーケストラの演奏会が金曜日にある」
「場所は、六本木のサントリーホール」
「開演は、夜7時」
祐君は、また戸惑った。
「ジュリアンにもチケットノルマがあって、10枚とか」
「それで、招待してくれるってこと」
「でも、クラシックに興味がないと、無理かなと」
「僕は行くけれど」
「曲は・・・ベートーヴェンプログラム」
「エグモント序曲、ピアノコンチェルトの5番、田園」
純子と真由美が笑顔。
「はい!行きます!」
私も当然行く意思を示したけれど、祐君は相談を掛けて来た。
「田中朱里さんとか、どう?」
純子はOKらしい。
「もう、大丈夫、アクが取れて来た」
真由美は条件をつけた。
「ああ・・・名古屋嬢ねえ・・・」
「香水を抑えてもらえばいいかなあ」
私は、よく知らないので、どっちでもいい。
祐君は、私たちに頭を下げた。
「ジュリアも日本に来て、友達も少ない」
「少しでも、協力してあげたくて」
純子は人懐こい笑顔。
「お姉さんみたいなものね」
真由美もニコニコ。
「しっかり弟してあげて、私も妹するかな」
祐君は、ようやく笑顔。
「実の姉より、よほど安心できる」
「同い年かな、姉貴と」
ただ、そこまで言って、顔を曇らせた。
「まあ・・・どうなることやら」
私は気になった。(もちろん、純子と真由美も、え?と心配になる)
祐君は、小声。
「鬼姉は、恋愛中らしい」
純子
「ほお・・・」
真由美
「上手くいきそう?」
私
「祐君は、心配なの?取られちゃうとか?」
祐君はプッと吹く。
「取られるのは大歓迎」
しかし、すぐに顔をしかめた。
「でも・・・姉貴は・・・好きになると、夢中になる」
「相手に迷惑かな、と思う程」
「ほれぬくタイプ」
「で・・・ふられると、泣き続ける」
「周りが大変なの」
「今回も、その不安がある」
私、春奈は、「鬼姉と言いながら、姉思いの祐君」と理解した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます