第189話祐君のお米とパン事情 祐君に逢いたい人の登場

「祐君に逢いたい人?」とマスターが言っていたけれど、私、純子は、あまり気にならない。

たとえ、祐君を目指して向かって来たとしても、「私だけの祐君」なので、誰にも譲る気持ちはない。(今まで明太子女、風岡春奈、目の前の田中朱里が祐君の前に来たけれど、何ともなっとらんし)(何しろ、一晩中、祐君を胸ムギュしたのは、私、祐君と腕を組んで胸をしっかり当てられるのも私・・・って胸ばかり?いやいや、せっかくの武器は使わんと)


で・・・その祐君は、ビーフシチューを実に美味しそうに食べる。(それも美しいって感じ)

気になるのはパンを選んだこと。(日本人だから、お米を選んで欲しかった)


でも、私のカレーも実に香ばしく美味しい!(学食とはレベルが違う)

田中朱里のオムライスも、素晴らしい香りで美味しそう。(もう少しお友だち歴が長ければ、分け合って食べたいなあ・・・でも次にこの店に来たら・・・オムライス?いやビーフシチュー?実に悩むなあ・・・)


そんなことを思って食べていると、田中朱里。

「ねえ、祐君は、お米とパンとどっち派?」と気になる質問。(田中朱里も祐君のパンを気にしていたようだ)


祐君は、飲み込んで返事。(やはり、一歩遅れる・・・でも、その間も好き!)

「うーん・・・僕はパンが多かった、特に朝は・・・寝坊することが多くて」

「ごはんだと、面倒」(この・・・ノロマなの?お母様とお姉様のお叱りが見えるような)


田中朱里は、オムライスをほおばる。(美味しそう・・・ほんまに)

「私は、完全お米派・・・パンを朝に食べるってありませんでした」


祐君

「食べられれば、いいかなあと」

「駅から遠かったので、ゆっくり食べて遅刻したくなかった、特に雨の日は」

(それは祐君の寝坊癖が悪い・・・後で、指摘しよう・・・お姉様の気持ちがわかった)


私もお米派だった。

「普通の、おばんざいやったけど、それが美味しいの」

「中学生の頃は、その、おばんざいで、二杯は食べたよ」


田中朱里が、私の話に乗った。

「あ!同じです!私もお米はたくさん食べて・・・」

「お米をたくさん食べる方が、太らないとか。アレルギーを起こさないとか」


祐君は、結局ビーフシチューは食べきれない。

「そういうものかな」

「でも・・・ここ・・・量が多いね」(そう?普通だよ・・・私はため息、田中朱里も祐君の小食を見抜いたようだ・・・心配そうな顔になっとるし)


その時だった。

店のドアが開いた。

途端に若い女性の声。

「ユウ!アイタカッターー」(カタコト日本語風)


金髪ブロンドの、ものすごい美人が店に入って来た。


祐君は「え?」と目を細めている。


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