第190話ジュリアとの再会

少し、間があった。(私、純子は、ドギマギしている)

祐君は、うれしそうな顔。(ちょっと目が潤む?妬ける、マジに・・・いったい誰?)


「・・・ジュリア?」


「ジュリア」と呼ばれた金髪美人の目も潤んだ。(私は、この時点で、6歳の祐君を品川のプールで助けたジュリアと察した・・・恵美ちゃんと美智子さん情報を思い出した)


祐君は、ゆっくりと立ちあがった。(うん、命の恩人への礼儀かな)

(予想がついたけれど・・・)

「ユウ!ユウ!」とジュリアは大泣きになって、祐君に、ものすごいハグ。(祐君は必死にベアハッグに耐えとる・・・マジ、苦しそう)


そんなベアハッグが約3分、ジュリアは祐君を解放。

田中朱里が気をつかって、隣の席をあけたので、祐君の真正面に座る。


マスタ―も察して、ジュリアの前に珈琲を置く。


祐君は、ジュリアを紹介した。

「子供の頃、品川のプールでおぼれた時に助けてもらった」

「名前はジュリア、僕より4歳年上、フランス人」


ジュリアは涙を拭いて、花のような笑顔。


祐君は、私たちも紹介した。(相変わらず、たどたどしい)

「僕の隣が吉村純子さん、奈良出身で、僕のアパートの隣に住んでいます」

「僕が奈良に住むことが合って、お父さんとお母さんにもお世話になって」

「それから、ジュリアの隣の人は、田中朱里さん、名古屋の出身」

「3年前に、熱田神宮の撮影でご一緒しました」


ジュリアは、花のような笑顔のまま、自己紹介。(祐君の日本語より、スラスラ)

「はい、ジュリアです。フランス人です」

「4月から日本に来ています」

「仕事は、日本のオーケストラでヴァイオリンを弾いているの」

「住まいは、この近く、歩いて5分ほど」

「ここのお店でライブをすることもあるよ、クラシックばかりでなくて、ジャズも弾く」

「最初は、あの森田哲夫さんのカレンダーの写真の話になって、祐君に話がつながって、逢いたくて仕方がなくて」

「そうしたら、マスターが、この店に来るよって、もう我慢できなかった」


祐君が、ようやく口を開いた。

「うれしい、いつか、コンサートを聴きに行きます」

「できれば、この店のライブも、来られたらいいな」(祐君は、実は夜も忙しい、四人の先生の仕事のお手伝いもある・・・可哀想なくらいや)


ただ、田中朱里は、その祐君の引き気味が理解できない。

「どうして?」と祐君に聞きかけたので、私は、田中朱里の耳元で「祐君の仕事の大まかな事情」を伝えた。


「え・・・マジですか?そんなに?」(田中朱里も、ため息をついている)


しかし、ジュリアは、祐君の曖昧な返事に納得しなかった。

「ねえ、祐君、今でもいいの、ピアノ弾いて」

「一曲お願い!」


その手は、祐君の腕をしっかりと掴んでいる。


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