第139話真由美は辛くて悩んで「祐君」を抱く。

私、真由美は、涙が出るくらいに辛かった。

仕方ないとは思ったけれど、祐君は純子さんと出かけてしまった。(同じ大学の同じ学部の入学式・・・嫉妬するほうが変?でも、辛いよーーー、ごまかせん、自分の心は)

純子さんは、もう、ニコニコしているし(許せん!と思ったけど、何で?って言われたら勝ち目がない。惨めなほどに)


「でもなあ・・・」

純子さんは、大切な仕事仲間なんだ。(理性で考えないとなあ・・・)

純子さんと私が、祐君を取り合って、トラブルになれば、祐君の「あの繊細な性格」では、苦しむことは、わかり切っている。(それも、辛いよ・・・嫌だ、そんなこと)


アルバイトの仕事も、「え?マジ?」と思う程、ありがたく貴重な仕事。(祐君のおかげ)(そんじょそこらの、単に金目的のバイトではない、比較にならん!)


気持ちが鬱々とした私は、窓を開けて、新鮮な空気を取り込んだ。

ふわっとした、それでいて少し肌寒い風。

その風に乗って、桜の花びらが入って来た。


「可愛い!」

私は、その花びらを手のひらに。

そしたら、祐君と話をしたくなった。

「あのね、窓を開けたら、桜さんが入って来たの」(子供みたい?祐君の前では。子供でもいい、甘えたくなる)


でも、私は、純子さん以上に気にかかっている(警戒している)のが「風岡春奈」。

「なんか、祐君を見る目が、最初に見た日と、先生の家での目と違う」

「あれは、熱い目、祐君を狙う目だ・・・女の感でわかる」


「春奈さんは、私とか純子さん以上に、古今については祐君と話が合うはず」

「話し込んで・・・祐君の気持ちは、春奈さんに?」

「やばいなあ・・・年上の魅力で、祐君を?」


それが心配になった私は。今度は純子さんと話をしたくなった。

二人で「風岡春奈対策を練ろうよ」である。(当然、祐君の前ではできない)


「そんなモタモタしないで、一気に祐君の気持ちを掴めたらいいのに」とも思う。

ただ、それを考えるとすぐに「そんな実力はない」と、思ってしまう(博多女でも、弱気はあるけん・・・情けない)


気持ちが揺れて仕方ないから、ベッドに飛び込んだ。

大きめの抱き枕を、「祐君!」と思って抱きしめた(この時点から、私の枕は、祐君という名前になった)


そしたら、身体も変になった。(わけがわからないほどに)

うつぶせになって、「祐君」を抱いているのだから。(肉食系?・・・でも、抱き枕だ)


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