第114話病院での検査結果 

病院での検査結果は、打撲と少しの切り傷程度、脳波等には異常は見られなかった。

ただ、事情は聞かれた。

祐は素直に答えた。

「徹夜でパソコン作業をして、その後急に」

医師からは注意を受けた。

「根を詰め過ぎたのかな、無理はし過ぎないように」

「今回は軽度で済んだけれど、万が一もあるから」


医師の診断中、待合室にいる純子、真由美は、気が気ではない。

恵美も真っ青な顔で、病院に来て、二人に頭を下げる。

「ごめんなさい、祐君のことで、ご迷惑とご心配を」


純子と真由美は、首を横に振る。


純子はウルウルしている。

「ごめんね、隣の部屋にいながら、何もできなくて」

真由美も泣いている。

「私、自分が情けなくて」


そんな会話の数分後、祐が診察室から出て来た。

神妙な顔で、全員に頭を下げる。

「ごめんなさい、心配かけて」

「打撲程度で、たいしたことはないって」

祐としては、それ以上の余計なことは言いたくなかった。


恵美が祐を心配そうに見る。

「包帯は巻いていないから、それだけでもいいけど」

「何か、無理したんでしょ?」


祐は、表情を変えない。

「いや、僕に能力が高ければ、もっとすぐに終わったけれど」

「それが全ての原因かな」


純子は、涙を拭いた。

「おなかは減っている?」

「何か、食べたいものあるの?」

真由美は、祐の顔色を見る。

「まだ、顔が青い」

「外は寒いから、タクシーを呼ぶよ」


祐は、申し訳なさそうな顔。

「いろいろ、ごめんなさい」

「でも、あまり食欲がない」

「歩けそうな距離だから、歩くよ」


ただ、祐の言葉は聞き入れられなかった。

そのまま四人でタクシーに乗り、アパートに帰った。

夕食は、恵美が中心になって、関東風の「おじや」。

祐も、茶碗一杯は食べたので、女子三人は安心。

恵美は、午後8時に帰り、純子も真由美も同時に自分の部屋に。


しかし、祐は昨晩の現代語訳が気になった。

結局、また点検を始めている。

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