第82話恵美ちゃんからのお誘い

私、純子は、祐君との仲が、また一歩進んだ。(エヘン!と言うほどでもないが)

祐君とのメルアド交換、ラインがようやくつながったのである。(遅い?奥ゆかしいと言ってもらいたい)


ついでに奈良から持って来た、「せんとくん」(お坊さんの頭に鹿の角が生えている)のストラップをあげようと思ったけれど、それはやめた。(やはり、デザインが変)


祐君は、ちょっと下を向いた。

「まだ、いまいち、スマホの使い方に慣れていなくて」


「つまり、スマホ中毒になっていないってこと?」(私もそうだけど)


祐君

「ようやく、乗り換え案内がわかるように、都内では絶対必要だから」


「そうね、地下鉄の乗り換えも」(私は、祐君について行くだけにしよう、奈良の田舎者だし)


そんな話をしていると、祐君のスマホが光った。

「恵美ちゃんから」と断って、祐君は電話に出た。(なかなか律儀な祐君だ、恵美ちゃんなら許す)


「うん・・・元気だよ」

「え?純子さん?今、一緒にいる」(うふふ・・・ちょっと恥ずかしいような、うれしいような)

「わかった、お店に?聞いてみるよ」


祐君は、スマホを保留にした。

「純子さん、恵美ちゃんが、今夜、時間があれば、お店に来てくださいって」

「築地の料亭だけど」


「祐君、スマホ貸して」(祐君は素直にスマホを渡して来た)


「はい、純子です、恵美ちゃん?」


「あ・・・純子さん?いつも祐君をありがとうございます」

「奈良では、祐君が、ご両親に大変お世話になったそうで」(恵美ちゃんの声が弾んでいる)


「いえいえ・・・祐君は、両親のお気に入りで、息子にするって言い張っている」

(まあ、事実だし、実の娘の私より、可愛いみたい)


「あはは!面白い!」

「いいかも、祐君が奈良の人に?好きだから問題ない」(飛躍し過ぎ?でもうれしい)



「祐君、奈良にも詳しくて・・・すごいなあと」(私より奈良の歴史を知っているかも)


「あはは、暇にまかせて散歩したのかな」(さすが、従妹、遠慮がない)

「ところで、純子さん、苦手な食べ物はあります?」


「いえいえ、何でも」(遠慮などしません)


「それでは、午後6時にお待ちしております」

「少し肌寒いので、それなりの服装で」(なんとなく恵美ちゃんの気持ちがわかった)


「祐君が、また風邪を引かないように?」


「そうです!ひ弱なので、あはは!」(面白い従妹だ、好きになった)


祐君は、恵美ちゃんの声が大きいので、聞こえているようだ。

時々、ムッとした顔をするのが、また実に面白くて可愛いのである。

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