第70話奈良実家から菓子が届いたけれど 

私、純子の部屋に、ようやく、実家奈良からの菓子が届いた。


・・・が・・・しかし・・・

やけに大きな段ボールである。


「何でも大きくて重い物が贈答品として喜ばれる」


「そんな昭和レトロの発想か?」

と我が母を、つい、「レトロ女」「おせっかい焼き女」と思ってしまったけれど、開けてみた。


納得した。


「店の御菓子が全種類ある」

「饅頭は早く食べなさい?」(当たり前!祐君に無理やりでも食べさせる)

「おせんべいもある・・・これは、わが父ながら美味い」


菓子の下に、地元奈良の米もあった。

「垂仁天皇の古墳近くの水田のお米」と書いてあった。

そうなると、薬師寺とか唐招提寺にも近い。

「歴史好きの祐君に言ったら、どんな顔するかな」(ますます、一緒に食べたくなった)


中身を確認したので、親孝行な私は、母にお礼の電話。(半分ゴマすりだけど)


「ありがとう、祐君と食べます」


「ああ、そうしなさい」

「決して、自分一人で抱え込まないように」(母は、ここで、また余計なことを言う!)


「うん、健康管理せねば」(健康は大丈夫、心配なのはお腹とお尻のお肉・・・)



「ところでね、純子」(この言い方は危険!)



「うん・・・」(条件反射で身構えた)


「古墳ってお墓以外にも意味あるの」

「いや・・・何で作ったか、わかっとるやろ?」


「お墓以外に?」


「・・・なあ、純子、奈良は古墳の本場や、それくらいは・・・」

「ほんまに、知らんの?」


「うーん・・・」

(とても昭和レトロ女なんて軽口を言えなくなって来た)


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