第12話純子の様々な思いと不安発生

悪友可奈子からの電話の後、頭痛に苦しんでいた私は、重大なミスに気がついた。

それは、祐君とアドレス交換を済ませていないことだ。


街歩きデートも、「フレンチデート」も、「お部屋に入ってご一緒」まで進んだのに、アドレス交換を済ませていない・・・なんてことを可奈子に言ったら、何と笑われることか。


「やはり純子はおっとりだなあ・・・」

「だから彼氏の一人も出来ない」

「祐君も望み薄、はい、決定」

「そんなマヌケだと、隣の可愛い子にすぐに見向きもされなくなるよ」


しかし、私は思う。

祐君みたいな可愛い系の子には、無理やりの肉食系アタックは禁物。

ふんわり、やんわり包んであげるような(そう思いながら、ドキドキする)・・・

じっくりと愛を(これも恥ずかしい)はぐくみ・・・・(ほんとは今すぐでもいい!)

それでストンとお姫様(笑うな!)と王子様の「めでたしめでたし」になるのだと。


そんなことを(顔を赤くしながら)思っていた私は、可奈子の悪癖!を思い出した。


・イケメンに弱い。

・イケメンにすぐに会話をしかける。

・すぐにイケメンと会話は成立するけれど、すぐにフラれる。(惨めなほどに)

・原因は、可奈子の「おねだり癖」と「酒乱」だけど、可奈子は自覚していない。

・特に「酒乱」は酷い。

・酒に酔ったフリ、それでイケメンにベタベタと寄りかかるのが得意技。

・でも、可奈子には、長続きする相手が、まるでいない。


可奈子には何度も泣きつかれた。

「元カレに言われた・・・お前は、はしゃいでいるだけ・・・中身がない、その場だけは面白い、でも飽きる・・・毎回当然のようにねだられてもなあって」

「中身って何?聞いても教えてくれない」


でも、私は可奈子の泣きつきを聞いているだけ、何の返事もできなかった。

(中身って言われたって、私もわからないから)

可奈子の軽すぎるノリが、相手の機嫌を害したのかな、そんな程度と思っていたけど。

ただ、可奈子自身には全く悪気は無いから、かわいそうで言わなかった。



さて、そんな、私と祐君にとって、どうでもいいことを考えていても仕方がない。

私は、やはり祐君とアドレス交換を済ませてしまおうと考えた。

時計を見ると、午後5時少し前。

「上手くいけば、夕飯一緒もゲットだ」

我ながら名案!と自分自身を褒めながら、(顔はニンマリ)声は出せる限りの甘い声で祐君の部屋のドアを「純子です、祐君?」とノックする。


・・・しかし何度も「コンコン」しても、反応がない。


「祐君、どこに行ったの?」

「迷子になっていない?」

「追いかけようかな、探そうかな」


私は、不安のまま、考えがまとまらない。

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